中央公論新社の本

幸村を討て

幸村を討て 今村翔吾

初っ端から話はズンズン進んでいく。核心までが長いというありがちな展開ではなく。ページはそんなに繰っていないのに、あっという間に名場面ラストに。「幸村を討て!」 幸村の行動に不安を抱く家康の鋭さが怖い。 真田の過去を描きながら、諸将達の動き、家康の動きが語られて行く。 有名な史実をくどくど連ねることもなく、歴史の苦手な読者にも流れがわかるように書かれてあるのが素晴らしい。 出でくる諸将の名前は、歴史苦手な人間には「だれ?」と思うかもしれないが、それがなおさら、諸将も一人の人間としてこの時代を思いを持って生きているという事を感じさせてくれた。 さて「幸村を討て!」肝はここにある。ラストの名場面があっという間にやってきた事も、諸将が叫んだ意味も。 そして歴史嫌いな読者ですら知る「真田幸村」という名を。 「幸村。聞いたことある」と思ってしまったあなたは、既にこの本の核心に触れさせられてしまっているのだ。

SRO9

SRO9 富樫倫太郎

オビに「完結⁉︎」という煽りがあって、それは寂しいなぁと思っていた。 …読むまでは。 結論から言うと、おそらく完結はしない。 ただ、現状の続編という訳にはいかないだろう。 それくらい衝撃的な変化があった。 失われた命、失われたかもしれない命、その価値は物語に多大な影響を与えるだろう。 まさか、こんな展開がくるとは予想もしていなかった。 『SRO』読者は、是非この巻を読んで頂きたい。 そして、感じてほしい。 この物語の世界で何が起こっているのかを…!

源頼政と木曽義仲

源頼政と木曽義仲 永井晋

今、能の『頼政』を勉強してる関係で読んだ。最近、テレビで鎌倉殿の13人とかやってるらしいが、頼朝や義経以前に頼政が平家に対し叛旗を翻したことはあまり話題にならない。最も巻き込まれた感もあるし、事を起こす前に清盛に知られることになっちゃったんだけど。 人間頼政、好きですね。

大人になったら、

大人になったら、 畑野智美

久しぶりに穏やかな恋愛小説。所々、グサッとくる文章もあるけれど、読了後はすっきり。

8
宗教図像学入門

宗教図像学入門 中村圭志

キリスト教や仏教、イスラーム、ヒンドゥーやシク教、儒教道教に至るまで、古今の宗教的シンボルを読み解いていく一冊。 宗教的視覚表現を、非信仰者の立場から相対化した文化カタログ。図版が多いので見ていて楽しい。

星を掬う

星を掬う 町田そのこ

最初の方、読んでて顔がゆがんじゃうぐらい辛かったり、それぞれの過去の話とかも女性だからこそ余計辛いものがあったけど、6章目の途中からがががーーって物語が進んで、最後すんごいあったかい気持ちで読み終われて読了後の気持ちは素敵になれた、、 あったか涙出た〜良いお話だった、、

少将滋幹の母 他三篇

少将滋幹の母 他三篇 谷崎潤一郎

小倉遊亀の挿し絵と谷崎潤一郎の母恋物語。谷崎の流麗で艶やかな文章を読んでいるとふくよかな柔らかい温もりのある女人に包まれている心持ちになる。

荘園

荘園 伊藤俊一

墾田永年私財法から応仁の乱まで。750年にわたる荘園の歴史を教えてくれる一冊。 土地や税制の側面から日本史を考え直すという視点を与えてくれていて、なかなかに新鮮。 守護と地頭、国司と郡司。複雑極まりない土地制度の変遷史を分かりやすく解説してくれている。

三千円の使いかた

三千円の使いかた 原田ひ香

書店オススメに惹かれて。 お金の価値観について、環境が違う4人の女性視点で描かれた物語。 お金の使い方には、生き方が凝縮されてる。 正解がないだけに、いろいろと考えさせられた。

8
物語ウクライナの歴史

物語ウクライナの歴史 黒川祐次

東西ヨーロッパ、そしてアジアへの接点ともなっていたウクライナ地域の地政学的な特徴について知ることができます。 東ローマ帝国、キプチャク汗国、オスマン帝国、リトアニア、ポーランドそしてロシア、ソヴィエト。 この地は、古代から支配民族がめまぐるしく入れ替わり、周囲を大国に囲まれて、民族独自の国家形成が遅れた。 かれこれ20年以上前の本なので、最近の事情は書かれていません。ただ、「ウクライナがどうなるかによって東西のバランス・オブ・パワーが変わるのである。」という、筆者の指摘は、今日の事態を予見したように思えて、感慨深いです。

北条義時

北条義時 岩田慎平

あまり知られていない、地味な二代目、北条義時の生涯を追いかけた一冊。 幼い将軍実朝を補佐していくため、将軍不在でも回る組織を作って行ったら、結果として北条執権体制が、出来ちゃいましたという論旨 陰謀論よりは結果論。こないだ読んだ本郷センセとは、また異なる見解 三浦義村が、いつも美味しい場面で活躍していることもよくわかった。義村居なかったら、義時5回くらい死んでるぞ。

ニセ姉妹

ニセ姉妹 山崎ナオコーラ

新しい家族の関係性。 血が繋がってなくても姉妹になれるし、親にもなれる。 「美しい距離」とも通じる。 阿佐ヶ谷姉妹とのけん談も面白い。

おまえなんかに会いたくない

おまえなんかに会いたくない 乾ルカ

スクールカーストモノ。10年ぶりに開かれた同窓会の顛末を描いた作品。 高校生活最後の文化祭。校庭の隅に埋められたタイムカプセル。10年の歳月を経て、カプセルを開封しようとする卒業生たち。 同窓会を前にして、SNSには、いじめが原因で転校を余儀なくされた生徒の存在を匂わせる書き込みがなされる。それは被害者の復讐なのか? いじめた側にも、いじめられた側にも、誰にも感情移入出来ない内容なんだけど、先が気になってあっという間に読んでしまった。 コロナ禍を背景に描かれており、リアルな感じがする一方、十何年か過ぎたら、不思議に思う人も出てきそう。

狙われた楽園

狙われた楽園 ジョン・グリシャム/星野 真理

フィッジェラルドの生原稿が盗まれた顛末を描いた前作は村上春樹さん翻訳ということもあってかなり注目されたように思う。自分もかなり楽しませてもらったのだが早くも第二作が出たので手に取ってみた。今回は訳者も変わってがっかりしたという声がAmazonのレビューにちらほらあるみたいだけど自分は全然気にならなかったかな。前作で重要な役目を果たしたフロリダの独立系書店主…本土と一本の橋で繋がった島で営業している…が本作でも活躍する。前作ではかなり微妙な登場の仕方をしたのだけれど結果として余りにも魅力的な人物になってしまったので作者も主人公にせざるを得なくなったのでは…と推測しているのだけど果たしてどうだろう。本作品では主人公が書店を営む島をハリケーンが直撃しその最中に島に住む作家の一人が殺害されてしまう。発見者となった主人公はその真相を暴こうとするのだが、という話。リゾートを舞台にした小粋なミステリのはずが事件のバックグラウンドが重たすぎて少しバランスが悪い気がしたがそれでもまだかなり魅力的な作品。シリーズ次作が出たらやはり必ず読んでしまうだろう。面白かった。

愛なき世界(下)

愛なき世界(下) 三浦しをん

愛ある人々による愛なき世界の研究。登場人物みんながそれぞれ研究・仕事に真摯に向き合っていて清々しい。ずっと読んでいたい。

古代中国の24時間

古代中国の24時間 柿沼陽平

秦漢期の史料をもとに、古代中国の人々の1日に寄り添ってみた一冊。巻末の膨大な出典表記がスゴイ。 歴史に名を残すことのなかった「ふつうの人々』たちが、日々どんな暮らしをして、どんなことに悩み、どんなことに幸せを見出していたのか。 これまで顧みられることのなかった「日常史」にスポットを当てているのが面白い。

国際政治

国際政治 高坂正堯

『菊と刀』を読んでから政治に興味が湧き、手に取ってみた。内容は自分にとっては大変難しいものであったけれど、政治が何故これほどまでに複雑で、政治家や外交官は何に悩みながら仕事をしているのかが少し分かるようになった。 理想と現実の板挟みに苦悩しながらも、世の中を少しずつ善いものにしてきた、している人々に敬意を。

やさしい猫

やさしい猫 中島京子

本屋大賞になって欲しい! 入管のことを知ってもらうために、たくさんの人に読んでもらいたい。 私も入管についてたくさんのことをこの本から知りました。

天正伊賀の乱

天正伊賀の乱 和田裕弘

中公新書のニッチな合戦シリーズ大好き。 あまり知られていない織田家VS伊賀衆の戦いを扱った一冊。 信長の息子、信雄が大敗した第一次。信長が本気を出した第二次。本能寺の変後の第三次。 国衆が割拠し、有力な大名が育たなかった伊賀国が、巨大な勢力に飲み込まれていく過程を描きます。