早川書房の本

ストーンサークルの殺人

ストーンサークルの殺人 M・W・クレイヴン/東野 さやか

猟奇的な連続殺人なのに 陰鬱さや残忍さを感じず イギリスの田舎に来た気分 カンブリア州のストーンサークルや 荒涼とした土地に羊飼いの家 スパニエル犬のエドガーと 四輪バイクで走りたくなる ミステリに目新しさはない でも楽しく読み込ませてくれる 登場人物もみんな好ましくて 魅力がたくさん 次作も読みたいです

ナイルに死す

ナイルに死す アガサ・クリスティー/黒原 敏行

冒頭を以前の訳者と読み比べ 雰囲気を壊さず、 細部に神経を使ってると感じたので 新訳を買いました 読後、翻訳者のお話を聞く機会があり 原文の上の強調の点を消すことで 露骨な伏線をやめて 犯人が分からなくなる工夫をしてるそうです 犯人の最後の心理については 翻訳者さんとクリスティファンの意見が 違っていたのが面白いなと思いました 延期になりましたが 映画は果たしてどうなのか?! 待ち遠しいですね(^-^)

宇宙へ 下

宇宙へ 下 メアリ・ロビネット・コワル/酒井 昭伸

それでもわたしは宇宙に行きたい。 1950年代を舞台とした歴史改変エスエフ。男性優位、白人優位の世界に挑んだ女たちの物語。 優れた資質を持ちながらも、男社会の壁に跳ね返されてきたヒロインが、様々な壁を乗り越えて立ち向かっていく姿を描く。 宇宙開発モノらしい、終盤の激アツ展開が心を打ちまくる。これも年間ベスト級確定。

宇宙へ 上

宇宙へ 上 メアリ・ロビネット・コワル/酒井 昭伸

宇宙飛行士を目指し奮闘を続けるエルマ。 初の女性宇宙飛行士の苦悩や葛藤が丁寧に描かれている。個人的にはちょっと長いかな、と思った。 宇宙開発チームの計算手なる人たちの存在を初めて知った!なるほど、こういう人達が沢山いて宇宙開発を支えていたんだ。 表紙イラストの加藤直之氏の装丁は最高です。

特捜部Q-アサドの祈りー

特捜部Q-アサドの祈りー ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田 奈保子

邦訳が出る度に読んでいるデンマークのミステリシリーズ。これで8作目。優秀だが社交性に乏しい主人公の左遷先として設立された未解決事件対応部署である特捜部Q。主人公にアシスタントとして素性が知れない自称シリア人がつけられた二人だけの窓際部署のはずだったのだが目立つ実績を上げてしまったことから存続し、癖のある奴ばかりだがメンバーも総勢4名となっている。本作ではついに謎のシリア人が主人公でその素性が明らかになる。スペインのかなり食い詰めたジャーナリストが報道したキプロスの海岸に打ち上げられた難民の女性と何人かの生存者の写真。その報道写真はジャーナリスト自身、アシスタントの自称シリア人、そして引きこもりでゲームに没頭している青年、の3人に大きな影響を与える。過去との繋がりから難民グループを追いかけるアシスタントと主人公、いっぽうで引きこもりの青年からの殺害予告を追いかける残りのメンバー、そして難民グループ、の主に三者の動きから構成されるストーリーが相互に干渉しあいスリルのある展開となっている。アシスタントの素性とその壮絶な過去の物語は果たして今後どうなっていくのか心配になるほど。適度にアクションやテクノロジーも盛り込まれていて破綻もなくまとまっているところが見事で中だるみとも無縁。早く次作が読みたい素晴らしいシリーズだ。

イエスの幼子時代

イエスの幼子時代 J・M・クッツェー/鴻巣友季子

この本をどう感想したらいいのだろう。例えばある地域で起きた大きな災害か戦争から逃れる移民船で出会ったひとりの男と少年。たどり着いたのはスペイン語を用い、哲学を論じる労働者がいるノヒージャという街。少年はダビード、男はシモン、ダビードの母親を探しながら性愛の相手も追い求める。面白いのか面倒くさいのかよく分からないが、続編を読みたくなった。

もし今夜ぼくが死んだら、

もし今夜ぼくが死んだら、 アリソン・ゲイリン/奥村 章子

舞台はニューヨーク郊外の小さな街、高校生と中学生の二人の男の子を育てるシングルマザーが主人公。この街でスクールカーストの上位にいる人気者がひき逃げで亡くなってしまう。このひき逃げが普通ではなく落ちぶれたポップスターの車が強奪された時に起こった事件という設定。SNSの投稿などから主人公の長男が犯人とみなされ、この長男が芸術家肌でちょっと変わってることもあっていわばネットリンチのような状態になり一家も村八分になっていく。親として息子を信じたいのだが確かに怪しい言動が多くて…。一方で警察側にはやはりトラウマを抱える女性警官がいて、ということでちょっと登場人物を盛りすぎかな、という印象。警官側のトラウマはストーリーにそんなに関係ないし。あと真相の判明に至るところが安易というかちょっと都合よすぎかな、という気もした。という欠点があるけれどもそれら置いといて読ませる魅力がある。SNSとかネットの怖さであるとか、地域で孤立していく恐怖感であるとか、落ちぶれたポップスターの造形とか、そして一番は弟の描かれ方が良くて結果としては良い作品だと思いました。面白かった。

100文字SF

100文字SF 北野勇作

2020年95冊目。流行ってるなあこういうの、くらいに何気なく手にとってみたらすごかった。p59がよかった〜と思ったけど、100文字しかないから記録しとこ。「自分よりも自分が書いた小説のほうが賢いらしい、ということに気がついて、わからないことや困ったことをすべて小説にすれば、自分で考えるより賢い答えが得られるのでは、と思いついたのは、自分なのか小説なのか。」20200615

至福の味

至福の味 ミュリエル・バルベリ/高橋利絵子

この人の別の本をさがしてましたがなくて。 料理評論家の死にゆく人の周りの人、物、などさまざまな反応を短くつづりながら、主人公の至福の味なんだったっけさがし。心境や周りの人たち、たべものや過去のことも無駄なくまとめています    個人的には目新しさはありませんでした 日本人の死生観がよみたくなったくらい しぬときまでに答えをみつけたいから 名声やキャリアはわきにおき、自分がなにが好きか 本質的なものをかんじ心を解放してくれるものを 必死でさがしている フランスの著者らしく、神に近づくには自分の好みを考えて自分なりの答えをみつけろといっている 自分も死を意識してまわりじやなく自分の内面にフォーカスしていくのも大事だとおもった

リモートワークの達人

リモートワークの達人 デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン/ジェイソン・フリード

6年も前に書かれていた「テレワークのすすめ」本。 今こそ出すべきだろ!って事で文庫化されたようです。 単行本時の元タイトルは『強いチームはオフィスを捨てる』 まさか自分のテレワーク生活が半年を超えるとは思わなかったので、感慨深く読みました。 テレワークの長所も短所も、経験してみないと、なかなか実感出来ませんが、確かに可能性は感じますね。 コロナ禍で一気に進んだ日本のテレワークがこれからどうなっていくのかが気になります。

楽園とは探偵の不在なり

楽園とは探偵の不在なり 斜線堂有紀

天使が顕現する世界。二人殺せば地獄に堕ちる。この制約下でいかにして連続殺人を実現させるか。 世の不条理の象徴としての天使が気持ち悪い(褒めてる)。 探偵と犯人を祝福するため、装置としての常世島だったのかな。と、思える。 みんな大好き青岸くん。以前の話も読みたくなる。

イエスの学校時代

イエスの学校時代 J・M・クッツェー/鴻巣 友季子

続編を読みたくなった、と書いたので読んだ。扉には『ドン・キホーテ』からの一節、“一説によれば、後篇がうまくいった例しはない。” シモンが前篇の性愛伝道師ではなく、ダビードのしもべのようになっている。J.S.バッハと後妻のアンナ・マグダレーナをもじった人物も登場する。これはタイトルが表すダビードという少年ではなく、シモンの物語なんだろう。

闇中の星

闇中の星 五代 ゆう/天狼プロダクション

これまでは年に二回は出ていたけど、今年一冊目がこのタイミングでは、年内はこれが最後かも。 「あのお方」が表紙を飾るのは何巻ぶりだろうか?少し人相悪くなってるような。さて、どんな謎が隠されているのやら。

探偵は絵にならない

探偵は絵にならない 森晶麿

エピソードに繋がりがあったりしたら良い読後感があったんじゃないかなとか。 ただそういうのが多いだけで、普通こんなもんだよね。 出てくるキャラは各々アロマを漂わせていたんじゃないかな。※(アロマ使いたくなった) わかってるのに止められない、もしくは 止めないで人を傷付ける言葉を放ってしまい 後悔するとかあったなとか過去を振り返ってみたり。 浜松市の人はより多くを得られるのではと思う。 鰻、食べたい。

按針

按針 仁志耕一郎

三浦按針。 個人的に三浦半島と縁があり、年々その縁が深くなってゆく個人的事情から(出身ではないし住んでいるとかでもない)この本を手に取る。 京急に乗るとアンジンヅカという駅があるというか通過する。 普段ならば電車の中でアナウンスを気にもとめず本を読んでいるものの、ある時「ヅカってなによ。アンジンってなによ」なんて思ってしまい、路線図を目を細めて見上げると「安針塚」とある。 はぁ、人の名前みたいだなぁ(安 針塚さん?)とまったく無教養なことをポケッと考えつつ、個人名がそのまま駅名になる訳がないなぁと、しらべると、三浦按針という人物に行き当たる。 驚くべきことに彼は大航海時代に流れ着いたイングランド人であり、しかも徳川家康に重用されたとある。 そんなことがあるのかね、と思っていた矢先、『按針』なる歴史小説が発売された。 歴史モノはあまり好まない。 なぜなら歴史的登場人物が過剰に人間臭く描かれていたり、或いは、偉人と偉人との関係性がこれもまた過剰に親密・信頼しあっているような描写がこそばゆい場合が多々あるからでもある。 そして、この『按針』もそのきらいがある。 けども、物語としてとても面白い。 大航海時代のイングランド人がそんな訳ないだろ!とかいちいちツッコミを入れてはならない。 日本の歴史の中でも驚嘆すべき戦国時代とその終焉、江戸幕府のはじまりである。 物語はまるでSFのようだ。 恒星間航行中にワープシステムが故障して見知らぬ惑星に不時着、戦争に巻き込まれる。 現代の?感覚ではそのくらい奇想天外な人生だったのではないか。 そして、これも驚いたが「八重洲」はこの三浦按針と共に漂着したオランダ人「ヤン・ヨーステン」の名から取られていたという。 知らなかったぞ。 この物語では三浦按針とその周囲の人たちは魅力的で暖かく、ユーモアに満ちて熱心な人たちび描かれている。 ほっこりなんて言葉は使いたくないがほっこりする。 エンターテインメントとしては楽しめる。 P.245に誤植?DTPのミスなのか構成ヌケなのかがあるのはいまどき珍しいご愛敬。