講談社の本

鬼火(上)

鬼火(上) マイクル・コナリー/古沢 嘉通

もはや大家といってもよいミステリの大御所の邦訳最新。デビュー作から邦訳は全て読んでいるがこれが33作目だとか。メインシリーズであるハリー・ボッシュものなのだけどベトナム帰りという設定の刑事なので本作ではもはや古希。ロス市警を不幸な感じで辞めて暫く小さい街の予備警官をやっていたがそこも辞めることになり現在は異母弟の弁護士を手伝うかたわら現役の夜勤刑事バラードと非公式のタッグを組んで主に未解決事件に取り組んでいる。本作では新人時代のメンターが亡くなりその未亡人から故人が自宅に持ち帰っていた殺人調書を託される。それは路地裏で殺害された麻薬中毒の若者の事件で故人が何に関心を持っていたのか不明なまま事件に取り組むことになる。一方、判事の殺害事件で異母弟が無罪を勝ち取るのだが調査に協力したことで古巣のロス市警から非難されることになってその真相究明に取り組むことになり、更にはバラードが関わっているホームレスが焼死した事件も以外な展開を迎え、ということで三つのそれなりに入り組んだ事件の捜査がこんがらがることもなく進んでいくところはやはり見事。ものすごく面白いのだけど…途中で放り出された箇所があるような気がしてどうにもすっきりしない。ざっと読み返してみたのだけどやっぱりどこかおかしい気がする。少し間を置いて再度最初から読んでみようと思うけどそんな感じ。面白いことは面白いし、このボッシュとバラードのシリーズは今後も楽しみなんだけど…どうにも気になる。

Sokki! : 人生には役に立たない特技

Sokki! : 人生には役に立たない特技 秦建日子

男子大学生ってやつは、 誘われる相手が美人だったらどんなサークルにでも入るものなんだろうか。 誰かに検証してほしい。 変な青春ものは結構好きです。

なでしこ力 : さあ、一緒に世界一になろう!

なでしこ力 : さあ、一緒に世界一になろう! 佐々木則夫

オリンピック前のモチベーションから急に読みたくなった一冊。 なでしこジャパンがワールドカップで優勝する前までの軌跡と、佐々木則夫監督のマネジメント理論。 女性中心の組織をまとめるための苦労と気遣いが参考になる。 監督になったからといって、僕という人間が偉くなったわけではない。 同じ目線で、同じ目標を目指すことの大切さ。 佐々木さんのマネジメント姿勢、とっても共感!

長い一日

長い一日 滝口悠生

 本書は夫、妻、友人、第三者と様々な視点に移り変わる。それは作中のテーマと考える 時間と記憶の感覚が混在するように視点も混ざり合い一つの世界を作り出していく。 「何かを思い出せば言葉になり、その先には誰とはっきりしなくとも誰かが宛先らしく立つ。どんな楽しい事でも、思い出すという行為の中には、必ず少しの寂しさがあって当たり前だが寂しさは過去形のなかにしかないし、誰かに向ける言葉も過去形のなかにしかないが、過去がなければ幸せだと感じることもたぶんなく、寂しさも幸せも思い出す愛着の影」p.27 「この日の八朔さんの涙もまた、表面的な理由や昂ぶりの下にもっと個人的な、絡み合ったいくつもの時間があって、そこに潜むなかなか言葉にはできない悔いや遠ざかってしまった喜怒哀楽に涙するのではないか」p.69 「もちろん子どもの頃や若い頃にはもっと複雑な思いや憧れや悩みがあったはずで、何かがあった影のようなものは思い出せても、いまではもう仔細にはよみがえってこない」p.158 友人である窓目君三十五歳の自意識過剰な滑稽さの裏にある悲しみが愛おしい。 そしてしょうもない妄想にふけることになる立ち寄った美容院で流れていたジム・オルークのアルバムは [Bad Timing]1998 リリー・フランキーではなく友沢ミミヨイラストがジャケットの2作は ①[Eureka]1999 ②[Insignificance]2001 そして、こちらも友人の八朔さんが住んでいるのは、阿佐ヶ谷と鷺宮の間で道路建設計画の為立ち退きになる可能性があるとのことだから補助第133号線にかかる白鷺のあの辺りなのかな。

アルスラーン戦記(15)

アルスラーン戦記(15) 荒川 弘/田中 芳樹

アンドラゴラスとアルスラーンの再会。 そして扱いの酷さ。 タハミーネの無関心。 この親子は本当何なんだろうと思ってしまう。 この秘密は絶対知りたいと思う。 この扱いを知ったヒルメスが何か変わるのか? .その辺も気になります。

闇の盾 政界・警察・芸能界の守り神と呼ばれた男

闇の盾 政界・警察・芸能界の守り神と呼ばれた男 寺尾文孝

山口組の作品を手に取った時に並べて売り出されていた作品。これも言わば闇の世界の大物が書いた回想録ということで興味を惹かれたので手に取ってみた。作者は長野の高校を卒業後に警視庁に入り機動隊で活躍するも将来に疑問を感じ警察を辞め、実業の世界に入った時に元警視総監の参議院議員秦野章の私設秘書となりそこで得た人脈や経験を活かして危機管理会社を経営、暴力団の組長から企業の経営者、果ては芸能人に至るまでのトラブル解決屋として活躍してきたのだという。作者の会社は電話番号非公開、ホームページも無く紹介制で年会費二千万ということなのだが多くの顧客を抱えているのだそうだ。作者の一番の功績として多くのページが割かれているのがバブル期のエピソードで、暴力団上がりの仕手筋に食い物にされつつあった日本ドリーム観光に秦野章から指示されて副社長として乗り込み闇の勢力の排除にあたったというもので数々の興味深いエピソードが描かれている。ということで最初は面白かったのだが読み進めるうちに要は一部の政治家や高級官僚、資本家たちがいかにずる賢く自分たちだけ特権と利益を得たのか、という物語であることに気がついてどんどん不愉快になった。そもそもがろくな担保も持たない作者が議員の口利きで多額の融資を受け都心にビルを所有するに至り、その収入で議員の交際費を全て賄っていたことがまるで美談のように語られている辺りから頭の中に疑問符がチラつきだし銀座で豪遊していて作者がバブルの崩壊で危機に陥ったあたりではザマみろとすら思ったほど。心の広い方は楽しく読めると思いますが自分は無理でした。

GIANT KILLING(58)

GIANT KILLING(58) ツジトモ/綱本 将也

「それよりお前は、自分のプレーに集中すればいい。ゲームに出始めた頃みたいに、周りに活かされ、周りを好きに使え。お前の周りには俺たちがいる。だからミスを恐れずプレーしろ椿。」

きのう何食べた?(18)

きのう何食べた?(18) よしながふみ

ケンジかわいいよケンジw食べ物は好きか大好きしかないとか。 そして今回特にシロさんの深い(重い)情が胸を打つ。 周囲の人との確かな絆を育みつつ、ゆっくりやってくる老いなど社会の営みを描いていて、ラブコメやグルメ漫画やBL?とかといった、単一のカテゴリに収めきれない漫画だと思う。

土葬の村

土葬の村 高橋繁行

タイトルだけ見るとホラー小説みたいですが、現代の日本では極めて珍しい、土葬の習慣を残している地域の取材レポートです。 奈良県の山間部では、2010年代くらいまでは土葬が健在であったらしい。 座棺(寝かせないで座らせる棺)の場合、死んだらすぐに脚を曲げておかないと、死語硬直で棺に入らないとか。 四十九日過ぎたら、墓を掘り起こし、棺を砕いて、死体を埋め戻す「お棺割り」の風習(過酷過ぎる!)とか。 生々しいネタの連続で、瞬く間に読み切ってしまいました。 土葬以外にも、野焼きによる火葬や、南の島に多い風葬についても記載あり。 いずれも失われていく習慣ですが、人の死が身近にあった時代のよすがを感じることが出来ました。

男子高校生を養いたいお姉さんの話(3)

男子高校生を養いたいお姉さんの話(3) 英貴

ちょっとずつお姉さんの秘密がわかってきた 実くん お姉さんを好きになり始めてないかなぁ 高校生男子の前に美人で巨乳でいろいろ世話をしてくれて ちょっと変態入ってるけど好意を向けてくれる人がいたら好きにもなっちゃうか 実くんも健全なる男子だし お姉さんの取り扱いにも慣れてきた実くん 今では年上のお姉さんの方が掌の上で転がされてる?

ψの悲劇 The Tragedy of ψ

ψの悲劇 The Tragedy of ψ 森博嗣

再読。 島田文子さんがここまで主要な登場人物になるなんて、全く予想してなかったです。 自作でGシリーズは終了のようですが、いつ発売されますかね。読みたい.....!

獅子渡り鼻

獅子渡り鼻 小野正嗣

0238 2021/06/20読了 表紙のポップさとは裏腹に、暗い翳りのある話だった。 今生きているところでは明るいけど、元々暗い子でもないけど、尊と兄の環境が周りからすると「暗い可哀想な子たち」で。今のほうの世界でも大人たちは知ってるのか知らないのか。 母と兄がどうなっているのか語られないけど、明るい希望の話なんだろうなあとぼんやり理解…。

国家情報戦略

国家情報戦略 佐藤 優/コウ・ヨンチョル

約15年程前に書かれた本。 この手の本は、古い本を読んでもあまり得られるものはないと思っていたが、父親に譲ってもらった本ということもあり、読んでみた。 なかなか自分の知らない世界のことが書いてあり面白く、また、その未来である今読むことで答え合わせ的なこともしながら読んだ。 日本人には、「こういう国家情報(インテリジェンス)は大切だけれど、エライ人が頑張ればいい、あまり自分には関係ない、自分の生活に関わってこないし」という人、未だに多いんじゃなかろうか。

花野井くんと恋の病(8)

花野井くんと恋の病(8) 森野萌

花野井くんのお父さんはハーフで 花野井くんはクォーターだったなんて しかも父方の両親はイギリスにいて 花野井くんは一週間 イギリスに行くことになって初めてほたるちゃんと離れ離れ それだけで2人とも寂しくなっちゃうなんて どんだけラブラブ ほたるちゃんに片想いしている八尾くんも 想いが消せなくて辛いけど こればかりは仕方ない ほたるちゃん いい子だもんなぁ

ヴァンパイア男子寮(2)

ヴァンパイア男子寮(2) 遠山えま

美人(みと)は男装女子だけど ルカや蓮や周りの人達は男であると疑いもしない なのにルカや蓮は美人のことが気になって気になって仕方ない 2人は気付いてないがそれは恋愛感情 男だと思っているが本能で女だと感じてるのかな 吸血鬼のルカは運命の相手しか好きになってはいけないルールがあるため 美人に対する気持ちに踏み込めない だけど蓮は居場所がない者同士 美人のそばにいて守ることができる 蓮を好きになったら美人は楽になれるのに

密やかな結晶 新装版

密やかな結晶 新装版 小川洋子

この人が薦めるのだから面白いはずと捜した本が見つからず…の時に有名な作家さんなのにそもそも読んだことが無いなと思い、何か一作と背表紙の情報だけで手に取ってみた作品。正直なところここまですごい作家さんだとは思っていなかった。舞台となる架空の島では次々とモノが消滅していく…この消滅の仕方が物理的に無くなるのではなくて人々の記憶から抜け落ちていく、というもので記憶から抜けてしまったものを人々が消滅させる…というか消滅させられる。例えばある花が「消滅」すると人々はそれが何かわからなくなってしまい、その花は物として存在するのだが人には意味をなさなくなるため破却しなければならない。このならないというところもポイントでまとめて燃やしたり川に流したりするわけだがそれを怠ると秘密警察の取り締まり対象になってしまう。記憶をずっと保持できる人もいるのだがそういう人たちは秘密警察に連行されて…という物語。こんな分かりにくい設定〜自分の説明が下手なだけではないと思う!〜の荒唐無稽な物語をこんなに自然に読ませるというのは只者ではない気がする。イデア論とか実存主義とかそういう哲学的な深い背景があるような気もするがそれが鼻につく感じもなく物語世界に引き込まれててしまった。マッカーシーとかオースターとか欧米の作家のデストピアものとは一線を画す静かな物語。素晴らしかったです。不学を反省し、他の作品も読んでみたいと思いました。

喰うか喰われるか 私の山口組体験

喰うか喰われるか 私の山口組体験 溝口敦

正直なところ作者については暴力団もの専門ライターと思っていてまともに先品を読んだことがなかったのだけど「食肉の帝王」を読んで感銘を受けたのと本作の世評も高いので手に取ってみた。山口組のルポタージュで世に出て、その後にいくつか書いた内容の一つが気に食わないと山口組から攻撃を受けるハメになり自身はもとより息子までが刺されて怪我をし、果ては出版社まで襲撃される事態を招いたというある意味かなり腹の据わった書き手が取材相手である暴力団とどう付き合い、どう取材してきたのか、をまとめた作品。かなりあけすけに人物評価も書いてしまっており〜評価が高いのは竹中四代目とその兄弟、評価が低いのは渡辺五代目と宅見若頭、中野会会長、山健組の先代、当代、司六代目、などなど要は竹中以外のほぼ全員(笑)〜普通はどういう報復があるか分からないので怖くて人前で口に出すのも憚られるような内容もあけすけに書いてしまっている。そりゃこんなこと書いてたら刺されるよ、という感じだが、だからこそ貶されている相手にも一目置かれるに至った感じがよく出ていて非常に面白い。リアルタイムに一和会の分裂や四代目の暗殺事件、宅見組長暗殺事件、五代目の追放などを報道では知っていたものの事件の背景や真相などはよくわからないと思っていたのだが本作を読んでなるほどそういうことだったのか、と腑に落ちた感じがする。思えば暴力団が白昼堂々と抗争や暗殺、果ては気に食わない一般人まで襲撃するというすごい時代があってどこか作者もその時代を懐かしんでいる、そういう印象を受けた。今の若い人にどこまで響く内容なのか疑問だがリアルタイムに報道に接していた年代の人にはかなり面白い内容と思った。