平凡社の本

星野道夫 約束の川

星野道夫 約束の川 星野道夫

星野道夫さんの素朴な文章からアラスカの激レアな体験を追体験できる感じがします。圧倒的な原初の自然を前にするシーンでは自分も素晴らしい自然に囲まれた時のような充足感を得られます。 好きな人はとことん好きだと思うのでぜひぜひ読んでみてください。

猫町

猫町 萩原 朔太郎/金井田 英津子

金井田氏の版画?や装幀がなんとも良くて手にした散文詩風な小説(ロマン)と銘打った大人の絵本。 多和田葉子氏の「百年の散歩」をちょっと想起した。 古い街並みの珈琲店で、リパッティのピアノを聴きながらマンデリンなんかを飲みながら読みたい、とか思ってしまう。

みんなの民俗学(960)

みんなの民俗学(960) 島村恭則

民俗学は田舎の風習を調べるだけの学問ではない。民俗学は現代学である。 おかんの作った怖い話から、消防隊の賄い飯、ぼんぼり祭りに、アマビエの大流行まで。 民俗学の懐の広さを感じさせてくれる、初学者向けのガイドブックでした。 民俗学のキーワードといえば、かつては「フォークロア」だったように思えるのですが、最近は「ヴァナキュラー」という言葉に焦点が移っているらしい。 ヴァナキュラーは反権威、非合理性、普遍でも中心でも主流でもないもの、公的な制度から距離のある「俗」の概念を意味する用語です。 知識のアップデートの大切さを知る。

なにごともなく、晴天。

なにごともなく、晴天。 吉田篤弘

いつものように、大きなことは何ごとも起こらないけど、このなんてことない日常の雰囲気が、いいですね。 そんな話ですが、ぜひ映画になってほしいなあ…と思います。 主役の美子は、綾瀬はるかがいいかな。 そして地の文も、全部ナレーションにして読んで欲しいのですが。

地下鉄の駅はものすごい(942)

地下鉄の駅はものすごい(942) 渡部史絵

東京メトロと都営地下鉄メインの鉄道ウンチク本。 地下鉄は地中を掘り進めなければならない分、通常の鉄道よりはるかに設置の技術難度が高くなる。 川の地下を掘る際に、川底の層を冷凍固定して開削した話とか凄いと思った。

我々はなぜ戦争をしたのか

我々はなぜ戦争をしたのか 東大作

1997年、かつてベトナム戦争を戦ったアメリカとベトナムの当時の外交、軍事関係首脳がひとつのテーブルで対話をした。サイゴン陥落から22年後のことだ。 なぜ何のためのに戦争をしたのか、どこで戦争を回避出来たのか、なぜアメリカは空爆をしたのか? 激しい論争の末に生まれた結論は「我々は相手を知るために、戦争当時から直接対話を行うべきだった。」 翻って現在。わが日本もアメリカも国の首脳は、このように敵視する相手を知るために、真摯な姿勢で対話など出来るのだろうか。考えてしまった。

センスのABC

センスのABC 岡尾美代子

フェリーで出かける時とかにぴったりだなあ、この本、と思いながら読んでいる。  植えた植物と雑草が共存する野原のような庭のことを「メドウガーデン」ていうのか。ふむふむ。私もそんな庭が理想なんです、オカオさん。   『自分で作ったものが食卓に並ぶ。なんてまっとうで素敵なことだろう。』 そうそう、そんな庭も理想なんです、オカオさん。

チョコレート・ガール探偵譚

チョコレート・ガール探偵譚 吉田篤弘

2020/6/24読了 途中までは、「チョコレート・ガール」という魅力的なタイトルの成瀬巳喜男監督の映画が、フィルムが存在しない映画だということから、著者が残された資料やエピソードから新たに小説として書いたものが最後の方に載るのかなぁ、と思いながら読み進めていた。まさかの国会図書館のマイクロフィルムで原作小説が残されているのを発見するくだりに、この本が「チョコレート・ガール」という作品をめぐるノンフィクションだったことを初めて理解した。タイトルからキラキラした可愛い冒険譚やひと夏の思い出的な小品をイメージとして思い浮かべてたから、実際の内容はだいぶ違ったなー。

生きづらいでしたか?

生きづらいでしたか? 細川貂々

問題が起こる前に防いだり、解決したりはしなくていい。誰でも苦労の経験をちゃんと味わう権利がある。何をするかではなく、何をしないか。べてるの家。アルコール依存症は医療の中で唯一、「医者が依存症を治すのではない 仲間の力で治す 語る事で回復する」と言われている病。弱さの開示。 人間は弱さを託されたもの。病気も神様からの贈り物。自分に自己病名をつける。心にたまってるヘドロをどうやって浄化できるか。心の奥底に抑圧されて隠す事を、必要があって隠してる訳であるが、健康な人はやってもいいけど、病気の人にはタブー。めんどくさいけどいいやつが居るとして、めんどくさい部分をコトとして捉えて伝える。ヒトとコトを分けることで コトに対して素直なコメントが言える。俺はインプットの仕方が悪いな、整理されて入ってこない。だから情報量だけ増えてごちゃごちゃになっていく。 問題とそれ(問題)を抱えている人 に分けて 「問題」を主役にする。

世界史のなかの文化大革命

世界史のなかの文化大革命 馬場公彦

言葉として知ってるけどなんなのか分からなかった文化大革命を知りたいと思って読んだ。 中国で何が起きたのか、インドネシアの9・30事件や華僑への迫害、毛沢東のことなど、現代史を学んでいない自分には興味深い内容で面白かった。 1960年代の世界や第二次大戦後のアジア、ソビエトに新たに興味が湧いた。

昼の学校夜の学校

昼の学校夜の学校 森山大道

 「昼の学校 夜の学校」森山大道著平凡社、大道さんが学生の疑問にラフだけど真摯に答える。写真論、都市論、哲学論、世代論「重箱の隅つつくように、今の若い人はなんて言ってもしょうがないしさ、そんなヒマがあったら若いやつなんてしっちゃいねえやって自分の写真とっていたほうがいいわけでね。でもさっき言ったように、若い人って皆かつてのぼくだからね。迷ったり、気負ったり、落ちこんだり、突っぱったり、自意識過剰だったりさ」p.97突き放しながらも優しい。年を重ねることの利点といえば無駄な自意識からの解放だ。誰もあなたのことは見ていないというよりは気にすることはない。 「昔を懐かしんで街を鑑賞したり、時代に美学を当てはめようとしても駄目でね。街はつねにリアルでアクチュアル。」p.47特に東京は変わりゆくのが街の持つ宿命だしいつかなくなるが故の儚さが魅力だったりもする。大道さんの写真がノスタル爺にならず新鮮なのはそんなところなのだろう。 「スナップショットって必然に支えられた偶然というか、偶然が必然を呼び込むという感じでもあるから。どちらかといえば向こうから来るという感覚のほうが少し強いかな。」p.67 まさに「量のない質はない、ただもうそれだけです」p.51だ。

日本マンガ全史(944)

日本マンガ全史(944) 澤村修治

2021/07/29 読了 鳥獣戯画や国芳の浮世絵に心惹かれるのは、そこに漫画的表現を見るからか。かつては不良出版物であった漫画も今ではアニメに映画にクール・ジャパンとして世界に売り出し中。これからはIT技術とも繋がってどのように展開していくのか。 全巻読み通した漫画から名前は知っているが読んでいないものまで、懐かしい漫画がいっぱい。引っ越すたびに処分してきた漫画。あゝ、もう一度読み返したい。京都国際マンガミュージアムに通い詰めるしかないか。

ドイツ料理万歳!

ドイツ料理万歳! Kawaguchi, Emi Mān

 あまり美味しそうなイメージのないドイツ料理の愛溢れた1冊。  読んだあと楽天で本に出ていた食材を探して2度楽しんでみました。  白アスパラは高い^^;

フィンガーボウルの話のつづき

フィンガーボウルの話のつづき 吉田篤弘

吉田篤弘さんの本を読むのはこれで3冊目だ。 この人の書く物語はいつも優しい。ずっと、終わらなければいいのにと思うほどに読んでいて心地よい。 見つけた人から幸せになっていくおまもりのような本です。

独裁者のデザイン

独裁者のデザイン 松田行正

0216 2020/12/20読了 洋の東西を問わず、プロパガンダのデザインに通じているものが視線ということに驚いた。言われてみればたしかに…。 言葉や政策の怖さもそうだが、視線が皆怖いし恐い。 戦争に翻弄されるデザイナーやアーティストたちの活動も印象的。戦争後に手のひら返される人もいれば、うまくすり抜けて活躍する人もいる。 政策を推し進める強さももちろんだけど、デザインやイラストなどに戦意高揚とか扇動する力があるということをしっかり認識しているところが嬉しいような悲しいような。 レタッチの技術もすごい。戦争は破壊するくせに新しいものを生み出すんだよな…。 最後の書物が重要視されていたところも、嬉しいような悲しいような。現代は情報統制に変わっただけで、何も変わっていないけど…。