晶文社の本

ロストブックス

ロストブックス スチュアート・ケリー/金原瑞人

未完の書、未発表の書の経緯。 原著では80人(無名作家1名含む)を掲載しているそう。 翻訳では25人を抜粋。 結末がわからないだけに、出来栄えへの期待と永遠に失われたことへの失望が際限なく続く。 未完のまま発表された書(例としてカフカの『審判』)でも、著者の本来の意向が知られて興味深い。エピソードとしては既に知っているものも多々あり。

ミャンマーという国への旅

ミャンマーという国への旅 Larkin, Emma

しりとり読書3冊目。『紙の民』からの「み」ではじまる本。 年末年始のミャンマー旅行のために読んだ本。(感想書くまでに時間あいてもた。) ジョージ・オーウェルのビルマ時代の足跡を追う著者が訪れたのは、オーウェルが感じ取ったビルマそのものなのか、ミャンマーへと姿を変えた新しい国なのか。 そういった社会への問題も描きつつ、彼女が出会った各地の風景や人々の描写も読みどころのひとつ。 国は「国家」が作るのではなく、土地と人が作るものだと思った。 次は「び」からはじまる本。 ブックデザイン 坂川栄治+田中久子(坂川事務所) カバー写真 山本宗補

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橙書店にて

橙書店にて 田尻久子

熊本の本屋、橙書店の店主田尻さんがお店のこと、お店に来るお客さんのこと、本のことなどを書いたエッセイ。この本は「見る」というより「眺める」という感じで触れた方が良いんじゃないかな、と僕は思います。石牟礼道子さんのことが書いてある部分など本の中に食いつきたくなる部分が沢山ありますが、そういう部分だけに注目してしまうと本の流れや雰囲気が楽しめない、味わえないというか。著者田尻さんの文章のなめらかさ、田尻さんとお客さん、田尻さんが触れた本のこと。それらに触れながら本の全体をなんとなく眺めてみて、本の中の世界を楽しむことをおすすめします。

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つけびの村

つけびの村 高橋ユキ

ルポ。事件のあった村人からの話を読んでいると、今からわずか7年前、平成の時代に起こった事件なのか、私たちと同じ時間を過ごしているのか、とさえ思ってしまう。歪んだ時空が、あの金峰神社の鳥居を境にあるのではないかとさえ思えてくる。田舎ならではの因習などが色濃く残っていて不気味さを一層感じる。ちなみGoogleマップのストリートビューでは今でもこの事件で有名になった「つけびして 煙喜ぶ 田舎者」の貼り紙をそのまま見ることができる。

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レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話 レンタルなんもしない人

レンタルなんもしない人 交通費のみで様々な依頼に答える。 しかし、何かするのではなく何もしない。 まさに空気のような存在。 それでも多種多様な依頼があり、依頼者は満足して いるので面白い。 普通に生活していては経験できないことをたくさん 経験できて少しうらやましい。

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書店に恋して: リブロ池袋本店とわたし

書店に恋して: リブロ池袋本店とわたし 菊池壮一

リブロ池袋店閉店時の店長によるリブロ史、リブロ本は数多く出ているのだが、著者は元々書店畑ではなく百貨店からの入社なので経営に対しての冷静な視線が面白い。 東京時代の20年間は池袋店の新刊台?入口壁面のあの場所が大変参考になり、今の出版状況を一目で把握できるありがたい場所だった。

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樹海考

樹海考 村田らむ

樹海には人を引き寄せる魔力がある。樹海死体マニアのKさんを深く取材して欲しい。

あまりにも真昼の恋愛

あまりにも真昼の恋愛 キム・グミ

最近韓国の本屋や出版事情が話題だけど、文学も面白い。この〈韓国文学のオクリモノ〉シリーズはどれも必読かと。

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人生、オチがよければすべてよし!

人生、オチがよければすべてよし! 立川談慶

ひょんなことから知り合った編集者・ライターの方が関わられていたので落語付きサイン会にて入手した作品。ビジネス誌の連載をまとめたものなので人生論、仕事論エッセイという趣き。何が起こっていて登場人物は誰と誰でその力関係はこうで誰が何を言っていてこのあとどうなると思われるか、はたまたどうすべきか、という説明が仕事に置いては求められたりすることも多いと思う。ある時、これは優れた落語が昔からやっていることだなと気がついた時から興味を持って主にCDで名演を聴いたりしているのだがその辺の説明を実に自然にこなししかも笑いまで取る落語家というのは本当に凄いパフォーマーだなと思う。作者は私大の最高峰を出て一流企業に就職するも一念発起して立川談志に弟子入り、通常の四倍以上の前座修行を経て真打ちになったという経歴の持ち主で本作以外にも多数の著作がある。そういう経歴の持ち主だからか一般人目線もきっちり持っているので仕事論エッセイもきちんとこなせるんだろうなと思った。ああなるほど、こういう風に考えたら楽になるな、と思わせられる内容が多く楽しくてためになる作品。面白かったです。ただ一箇所だけどうしてもわからないところがあったけれども…。

急に具合が悪くなる

急に具合が悪くなる 宮野真生子/磯野真穂

本書は哲学者である宮野真生子さんと人類学者である磯野真穂さんという2人の学者の間で交わされた2ヵ月間の往復書簡を収めたものである。 女性2人の往復書簡と聞けば食べものや旅行のことなどを中心に展開しそうだが、実は手紙を交わす当初から宮野さんは進行性の病によって「急に具合が悪くなる」可能性を主治医から警告されており、その事実が同じ歳、同じような環境にある2人の書簡に緊張感を与えている。 この往復書簡は、死に向き合わざるを得ない宮野さんがどのようなことを感得して、そしてそれを人にどう伝えるべきかという(書籍化されることは予定されていたので)疑問や迷いを磯野さんに問い、彼女の応えにまた宮野さんが思索を深めて改めて問う、という反復作業になっている。 2人のやりとりは、友情とかそんなレベルではなく、専門分野は異なっても互いに学者としての誇りや探究心に満ち満ちていて、文字通り「真剣勝負」。 宮野さんはもちろん、彼女の「痛みの中で死に接し言葉を求める」切実な思いに応えねばならなかった磯野さんはどれほどの覚悟をもって臨んだのだろう、と考えてしまった。 自問自答しても容易に出てこない言葉が、互いに尊敬し信頼する相手にぶつけることでまったく思いがけない反応となって跳ね返り、それを受けてさらに深まる思索と新たな発見…というこの2人のやり取りは、読んでいてその容赦なさに震えが来た。 宮野さんはだからこそ、最終書簡でこう言ったのだ。 「私は、出会った他者を通じて、自己を生み出すのです。」 死が近づいていても、人は思考することを止められない、いや、止めてはならない。 なぜなら人間は生きている限り枝分かれする可能性の中にいて、偶然と運命によって他者に出会い、自己を生み出し世界を愛することができるから。 そのことを痛みと悔しさに耐えながら宮野さんと磯野さんの2人が教えてくれた。

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原子力時代における哲学

原子力時代における哲学 國分功一郎

フロイトは、幼児期に誰もが持ちながら成長とともに消え失せた全能感は、ある条件が揃うと「誇大妄想」という形で現れるという。 そこで著者は、スタンドアローンで完全に自立・独立できる原子力こそは、その全能感へ寄り添って離れない、つまり「贈与を受けない生」の実現として人間を魅了するのだと位置づけます。 脱原発に対しての分かりやすい理由があったとしても、それは政治的ドクトリンにすぎず、根本からの解決はない。いつでも同じ理由で原発推進に取って代わるだけたからと、安易な賛同を懸念します。 そんな「思惟からの逃避」が原発を推進し続けてきたとし、原子力を使いたくなる人間の心性を、ハイデッカーからフロイトを用いて、じわじわと明らかにする。 とても刺激的な本です。

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異教の隣人

異教の隣人 釈徹宗

興味深い皆さんが話題に出されていたので手にとってみた。日本の特に関西を中心にいろんな宗教施設や団体を僧侶でもある宗教学者を中心としたメンバーが訪問し対話する、というもの。とりあげられている宗教団体はイスラム教、ジャイナ教、ユダヤ教、台湾仏教、シク教、ベトナム仏教、ヒンドゥー教、正教会、韓国キリスト教、コプト正教、朝鮮半島の巫俗、で他に外国人墓地、修道院、ペルーのカトリックの祭、日本人ムスリム、ブラジル教会、ムスリムのファッション、ラマダン明けの祭、タイ仏教の終末ケア、イラン人の商人、在日クルド人、春節を祝う人達、なども訪れる。共通していることは異郷にあって同一の宗教体験を共有できることが人々の心を強くしている、ということ。文章は記者が手がけていて読みやすく、日本にもこれだけいろんな宗教が入っているのか、という驚きもあり非常に興味深かった。

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cook

cook 坂口恭平

毎週末、podcastを聞きながら料理をする。ぼーっとしながら平日のお弁当に備えるこの行為があることで、私はかなり救われていると思う。 何も考えない、無の時間。それは、自分で自分をケアする時間でもあると思っていた。 この本では、まさに"ケアとしての料理"について力説されている。単に料理ができるようになりたい!というポジティブで元気な原動力なんて、なくてもいい。料理はひとを救うことがある行為なのだと、改めて感じた。

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病気をしない暮らし

病気をしない暮らし 仲野徹

こちらはよく売れた人間がなぜ病気になるのかを説明した本の二匹目の泥鰌として出されたものらしい。タイトルのとおり、病気になりにくくするために日常どういう注意をすればよいか、という作品。前作と異なってこちらは専門用語も少なく非常に分かりやすく自分にもほとんど理解できたと思います。風邪とインフルエンザの違いや、どうして風邪に対する解決策がないのか、またどういう注意をするとよいか、についてが特に良かった。いや、知らなかったな。これは。他にアルコール依存の問題や癌についてなど興味深い内容でした。こういう内容を非常に楽しく読めるというのは意味があるなと思いました。

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毎日ワールド・ミュージック1998‐2004

毎日ワールド・ミュージック1998‐2004 北中正和

14年前の本だけど、世界中のワールド・ミュージックの紹介とそのアルバム。キューバのソンやフィンランドのヨイク、明るく爽やかな風のようなマリの音楽やボスニア・ヘルツェゴビナ、パレスチナの歌や地中海音楽。任意のページをめくり、アルバム全て買えないので、YouTubeで検索して聴いて楽しむ。目と耳でワールド・ツアーに出かけよう!(CMみたいだな)

鯨

鯨 チョン・ミョングァン

母子二代にわたる途方もなく脂っこい大河ドラマ。この長大な物語の荒波を渡り切った後だけに見ることができる景色は、曲者ばかりが跋扈するキテレツな躁状態からは思いもよらない、底なしに深い静かな祈りだった。まさかそんな角度から心をえぐってくるとはー!

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