創元社の本

現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。

現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。 吉岡乾

パキスタン北部の少数言語を研究しているフィールド言語学者のエッセー集。なぜ少数言語を調査するのか、具体的な方法、実際に起きたハプニング等が皮肉交じりに綴られている。 「現地嫌い」と言いつつ、観光地化する現地に対して切実な思いがあったりと、割と現地は好き。少数言語の研究は、社会的な有用性は低いと著者自身も言っているけれど、言ってみればそれは人類に関する基礎研究なのであって、基礎研究の意義は当座の有用性よりも、(確か日本人のノーベル賞取った人が言っていたと思うが、)「人類の知の地平を広げること」なのだと思う。 無数にある世界の言語を類型化した言語累計学というのがあって、それによれば英語や中国語のようなSVOの語順を好む言語は世界の約4割、日本語のようにSOVの語順を好む言語は約半数というのには驚いた。僕は英語と中国語しか外国語として勉強していないので、世界の日本語以外の言語は皆SVOなんだと思っていた。そういう気付きが「人類の知の地平」の卑近な例なんだと思う。

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よい移民

よい移民 ニケシュ・シュクラ/栢木 清吾

今後、移民はますます増えていくだろうから、ということでコロナ流行以前に予約していた作品。イギリスの移民二世、三世の21人が「白人ではない」ということはどういうことなのか、を自身の体験を踏まえて語った作品。イギリスの作品、というところが重要で、いわば自分の領土の中に解放できない植民地を抱えてしまったアメリカと異なり放棄した植民地からの移民が語る物語は適切な表現かわからないけれども我々にとってよりリアルで分かりやすいのでは、と思った。黒人よりもアジアやインド系が多く、彼らは自分の親以外の有色人種を知らない、というケースもある。片親が白人というケースも多く、自身もマイノリティの自覚なく育ってきて突然人種差別に遭遇した、というエピソードが読んでいてとても辛い。東洋系の中でも東アジア系の移民たちがアイデンティティの確立に苦しむ姿は日本人として他人事ではない。マレーシアから英国に移民した中国系マレー人が中国のこともわからないのにチンクとかジャップとか言われたり、逆に中国について尋ねられて立ち往生したりとか、ウガンダから亡命してきた医者の息子でイートンからオックスフォードまで出ても黒人というだけで同級生の家に入れてもらえなかったり、と辛い話しか収められていない。解決策が示されているわけではないので読んで考えるしかないのだけれど安易な解決策めいたものが提示されていないのでそこが良かったかも知れない。全体的に苦しいけれど惹きつけられて考えさせられる作品です。

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古代マヤの暦:予言・天文学・占星術

古代マヤの暦:予言・天文学・占星術 ジェフ・ストレイ

非常に薄く内容量も決して多くはないのだが、装丁も中の挿絵も古い洋書の雰囲気があり、とても良い。 暦について書かれた本は情報量が多すぎてよく理解できない事が多かったのだが、これはとても簡潔で要点のみがまとめてありとてもわかりやすかった。 古代の人はなぜこんなにも天体の法則に詳しかったのか…? とてもロマンを感じました。 おススメです。

母と子の心理療法:困難な時代を生きる子どもたちをどう癒し育むか

母と子の心理療法:困難な時代を生きる子どもたちをどう癒し育むか 松尾恒子

読みごたえのある本。 臨床心理士や精神科医などが現場の経験から母と子について語る。 母性には、善い面と悪い面があるのですね。 「親自身が、子供を邪魔だとか憎らしいと感じる自らの悪の側面を認め、それを心の中に収めていくことを見守るのが子育ての支援者に大切なことなのではないか」と松尾さんは書かれていて、その通りだな…と思いました。 「母性を育むとは理想的な子育てを要求することではない。むしろその影の側面をしっかり抱えられる力を培うことだと考えられるのである。」

グループと瞑想

グループと瞑想 野田俊作

この本での瞑想は、日本的な禅ではなくて、集落トライブがやるような「踊りや歌」みたいなもので、トランスするものを指しているみたい。 また、グループセッションで「心理的なカタルシスを特別に感じさせる様な事をするよりも、日常生活に戻った時に効果がある様なグループセラピーやカウンセリングが良い」と言っている。 これには大きく同意する。 これはいい本だ、アドラー心理学ブームの中で、多くの人に知って欲しい本だ。

車両の見分け方がわかる! 関西の鉄道車両図鑑

車両の見分け方がわかる! 関西の鉄道車両図鑑 来住憲司

関西圏の鉄道車両図鑑。A5サイズながらも分厚くフルカラーなのには驚くし、車両も各会社2017年9月現在で在籍する全車両を網羅。なので、外観を楽しむ(大まかにどこでどの車両が走っているかを知る)には本当に素敵な本だが、日進月歩で変わってしまう点は対応できないのは否めない。また、車内まで載っていない。しかし、遠方で関西方面の車両に疎いと思ったら『買い!』と勧める1冊。関西に行くときに持っておけば一助になる一冊。

ケルトの芸術と文明

ケルトの芸術と文明 ロイド・ラング

貸借書籍(公共の施設(市立図書館)からの借り物の本)なので…未(ま)だ本題はおろか著者の前書きも読んでません(ただし翻訳者の案内は除く)。 けども金にも近い色系統の表装、遺品のカラー写真が結構魅力的なので…論文形式での記述が玉に瑕ですが、愛好家ならば読めますので…是非御一読の御再考を…。

丸暗記 原始棒銀戦法

丸暗記 原始棒銀戦法 高橋道雄

将棋の初心者がひたすら棒銀で勝利を目指すためのひたすらわかり易い丸暗記教科書。なんでこう打つかがストレートでわかる。これでAIに勝てるかはこれからやってみないとね。

聖なるもの

聖なるもの ルードルフ・オットー

私にとっては非常に難解な本でした。内容自体の難解さよりも、文章のニュアンスを一つ一つ拾い上げるのが大変でした。 宗教感情についての話なんですが、多くの分野にまたがって思考が刺激されていく感覚は心地よかったです。理解出来たのは全体の2割にも満たないんですが、しかし言わんとすることの雰囲気はわかります。 論理で扱うことの出来ない分野でありながら荒唐無稽さは一切無かったように感じます。宗教を通して人間とは何かを問われているようでした。心も感情も不合理なものでありながら、人生に意味を与えるのは結局この二つであるという矛盾に突き当たってしまいます。そして、この結論に何の異論も無く受け入れることが出来ました。恐らく著者の意図とは違うところに着地しています(笑)

なくなりそうな世界のことば

なくなりそうな世界のことば 吉岡乾

日々の過ごし方や、物事への感じ方が異なると、「えっ、こんなことにまで、単語を割り当ててるの?」と驚くばかりです。たとえば…ウェールズ語の「HIRAETH」なんて、「もう帰れない場所に、帰りたいと思う気持ち」だそうで、これは日本人ならば通じやすくて、「わかるなあ…」と思いそうです。 そしてなによりも、この本の構成が切ない。

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10才からはじめるプログラミング図鑑: たのしくまなぶスクラッチ&Python超入門

10才からはじめるプログラミング図鑑: たのしくまなぶスクラッチ&Python超入門 キャロル・ヴォーダマン

正直このような書籍であってほしいと願ってやみません。文字ばかりを追いたくない。険しい気持ちで未知への挑戦をするならぜひこちらのようなフォーマットでよろしくお願いしたいですよね。活字が辛くなった方にもやさしい仕様です。ですが、単純に習得しやすいかどうかは別だと思います。そうだとしても個人的には珍しく興味を持って読めるプログラム関連書籍でした。そこまで読むこと自体が苦にならないことはそれだけでも長所であると思います。ただ、私の場合はプログラムを正常に動作させたことがまだないのであまり参考にはならないかもしれないですね。暗礁に乗り上げています。

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