青土社の本

世界からコーヒーがなくなるまえに

世界からコーヒーがなくなるまえに ペトリ・レッパネン/ラリ・サロマー

気候温暖化と目の前の利益の最大化、そして、大量の肥料と殺虫剤を撒く農作物栽培方法によってコーヒーの作地面積は小さくなり価格が高騰。2080年には特別な時しか楽しめない贅沢品になっているか、さもなくば既に絶滅し、思い出の中の嗜好品だろうと予測されているとのこと。コーヒー好きにとって(そうでない人も)由々しき事態について考えさせられる一冊だと思う。

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愛を歌え

愛を歌え 鈴掛真

〝腕まくらされて夜空を見上げてもあなたは違う星を見ていた〟〝今日までの記憶を喪失してもなお初恋として君に逢いたい〟〝ねぇ。あの日「またね」のあとに唇ゆらして君はなんて言ったの?〟〝さっきからあなたがひとつ嘘をつく度に積まれていく角砂糖〟〝言葉などいらないとしてくちづけをする瞬間は誰しも黙る〟〝思い出をいっしょにつくりすぎちゃってぜんぶあなたに見える東京〟〝物語がずっと終わりませんように栞を挟まないままの午後〟

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ユリイカ臨時増刊号(6 2019

ユリイカ臨時増刊号(6 2019 

内沼さんの寄稿「泡」と「水」という視点、「泡」を洗い流すための場所として書店が機能する、いわばハックされまくる日常からのアジールとしての役割を果たすと理解する。いかに「水」を与えられる場所になるのかこれからの書店が目指す道標の一つだ。更にハックされない場所としての書店を考えるときスタンダードブックストア中川さんの対談で出てきた立ち飲み屋併設の書店も面白い。立ち飲み屋は基本キャッシュオンデリバリーだからテクノロジーの入る隙はない。せいぜい店員にコイツの頼むのはいつもレモンサワーとマグロブツだなあと思われるぐらいだ。 奇しくも東西で同じような考えが出てきたことに偶然ではない必然を考える。 昨今立ち飲み屋の隆盛も(単に所得が低くなった可能性もあるが)皆さん、もうハックされるのに飽き飽きしているというかソフトなディストピアに嫌気がさしてるんじゃないかという気もしている。しかしアプリや端末で管理された立ち飲み屋があったらやだなー。資本系でありそうだが。フェイクはダメよ。

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子育てが終わらない

子育てが終わらない 小島貴子/斎藤環(精神科医)

著者が述べるように、思春期までの子育て本は無数にあるが、思春期から成人以降の親子関係のあり方の本は少ない。ひきこもりの子どもとの関わり、子どもの自立を目指した思春期以降の接し方、夫婦関係と親子関係など、参考になる内容でした。 図書館で借りて読んだのですが、少し内容が増えた新装版が出てるようなので、そちらも読んでみたい。

チェーホフの戦争

チェーホフの戦争 宮沢章夫

僕が読んだのはちくま文庫でだ。宮沢は劇作家・演出家。なぜ、それほど人をひきつける魅力があるのか、4つの代表作を劇作家の眼で、演出家の眼で解釈する。チェーホフを読んで、舞台を観て、この本を読む、実に楽しい冒険だ。

記憶の海辺 ― 一つの同時代史 ―

記憶の海辺 ― 一つの同時代史 ― 池内紀

著者の人生を振り返ったエッセイ。文章のうまさとエピソードの興味深さでひきこまれるように読んでしまった。特に学生時代の留学エピソードが面白く、現在20代の私にとって数十年前の外国は全くの異世界であり、それを実感を伴って話されると否が応でも引き込まれてしまった。最近のエッセイの中では個人的には一番。

ユリイカ

ユリイカ 

「地図は記号である」今尾恵介 地図リテラシーとは記号の向こう側に広がっている世界を創造する力である、それは対象が記号化され縮尺が小さくなるほど見えなくなるからであるとの意に膝を打つ。 そして関西出張からの帰り道に2人掛け左側車窓から見える煌々と輝く軍艦みたいなイオンモールを利用する人たちの生活に思いをはせる。掛川駅前のホテルくれたけインに泊まる人たちの生活も。 「地図の対談」にあるカーナビは自分もノースアップ派なのだが、地図会社社員にもヘッドアップ派がいると知り驚く。プロがそれでいいのか?とは思うが宗教論争になるのだな。 また都市地図で言えば確かにその文法で書かれたものは割と短く「ミリオン」から始まったメッシュ式を発展させた「街建」で完成を見せたが現在その座はネット地図によって奪われてしまった道路地図含め生活必需品から嗜好品への変化として売り場も縮小の一途をたどっている。残念だが時代の流れだ 情報量や見やすさを含め「ミリオン」が使いやすかったのだが市場からは消えてしまった。プロのドライバーさんにも使用率が高かったのではないだろうか。

フェミニズムの現在

フェミニズムの現在 

補遺としてトランス差別の論考載せて炎上したことを覚えておきたい。鼎談でざっと現在の研究シーンを俯瞰できたのがよかった。

エネルギーの人類史 上

エネルギーの人類史 上 バーツラフ・シュミル/塩原通緒

ビル・ゲイツが推薦していたので手にとってみました。先史時代から現代に至るまでの人類とエネルギーの関わりを綿密に網羅した作品。人類の文明の進化とはエネルギーをいかに効率的により多く使えるようにしていった過程に他ならない、ということが分かる。現代においては限りのある(しかしどのくらいの限りなのかは誰にもわからないとも指摘している)化石燃料による電気を中心としたエネルギーを主に使っている時代ではあり二酸化炭素排出が問題になっているが、その前の段階、人力と役畜をを中心とし、木材を中心としたバイオマス中心の時代にも森林破壊の問題があった、というように何が正解か、を冷静に分析しようとした作品。つまり原子力の全否定であるとか化石燃料の問題点を指摘する、とかバイオマス礼賛、という立場と目線では全くない。結論めいたこととか未来予測はなく、言わば過去経緯を示して正しい方向を共に考えましょう、みたいなスタンスかと読み取った。高校の物流や代数幾何で赤点を連発した自分のような者には荷が重い箇所がかなりあってちゃんと読めたのか甚だ疑問ではあるが…。

文化水流探訪記

文化水流探訪記 やけのはら

録音されなかった音楽。水木しげる、ある種のフンイキをもった場所には、ある種の形と性質が自然に感じられる。いずれにしても人間が感じたことなのであろうから、ソレを感じることによって妖怪は生命を得るのかもしれない。ヘンリー・ダーガー。田中一光。プライベートレコード。

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人新世とは何か ―の思想史

人新世とは何か ―の思想史 クリストフ・ボヌイユ

いま地質学的年代区分として人新世という言葉が出てきているらしい。石油なんかを燃やしたり、プランテーションで本来の産地とは違うとこに単一的な作物を育てたりしている人間の活動が、地質学的に無視できないレベルにまで達していることから提唱されたという。例えば核実験が行われるまで存在しなかったプルトニウムや海洋に漂うマイクロプラスチックなんかは確実に後世の地層に人間の痕跡を残していくわけで。おー人間すげえ。とか言ってる場合ではなく、数千万年、数十億年もの時間をかけて形成されてきた環境をわずか数百年で後戻りできないほどに変化させることの意味を振り返る必要がある。 ターム自体の提唱は最近のことだとしても、人新世という用語が唱えられるまで、我々はこうした事態について何も知らなかったのか、また何もして来なかったのか? それを問いなおすのが本書。先人たちは自分たち人間の活動に無知でもナイーブではなかった。科学者は危惧を表明したし(シャルル・フーリエはやはりすごかった、アルシブラ万歳)、農民たちは反対運動を行った。が、それらは脱抑制されてしまった。政治や産業、あるいは時代の要請に。 はっきり言ってこの本が描く現状は暗すぎるほど暗い。シンギュラリティとかAIとか、そんなことさえ言ってらんない。コネクテッドカー? 何言ってんの。それらが拠って立つ基礎が、もはや取り返しがつかない状況にまで追い込まれているっていうのに。 でも、脱抑制から逃れて、一人一人が声を上げればまだ変えられるかもという希望も抱かせてくれはする。さあどうだか、と思いつつも、パンドラの匣の底を覗くしかないんだろうか。 しかし、ほんと青土社の本は校正が弱くて参ってしまう。誤植が本の価値を毀損するわけじゃないが、それにしてもさ…。

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