河出書房新社の本

白の闇

白の闇 ジョゼ・サラマーゴ/雨沢 泰

ポルトガルのノーベル賞作家ジョセ・サラマーゴの作品。 視力を奪う謎の感染症。 隔離施設に送られた患者たちは、眼が見えない中、 自分たちの力だけで生活することを強いられる。 わずかな食料を奪い合う生活。 日に日に悪化する衛生状態。 そして増え続ける患者。 疑心暗鬼に囚われる人々。 そして武装した男たちの、 暴力による支配がはじまる。 ノーベル賞作家が書いた、 感染症モノというだけあって、 エンタメ系のパニック小説というよりは、 極限の状況下で、人間としての尊厳は保てるのか。 人間の醜さ、本能的な狡さ、 性への衝動みたいなものが、 赤裸々に描かれていて凄味を感じさせてくれる。 地の文章と、登場人物の会話が交じり合う。 会話に一切「」を使わない 独特のサラマーゴ文体に、 最少は戸惑ったものの、 訳が良いのか文意は容易に読み取れる。 中盤以降は一気読みでした。

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寿フォーエバー

寿フォーエバー 山本幸久

なんとなく選んだ本。 ウェディングプランナーの主人公。 自分も結婚式をしたので、 プランナーさんはどんな気持ちだったのかなと 心配になった。 世の中の仕事はどれも大変よね。

アダムとイヴの日記

アダムとイヴの日記 マーク・トウェイン/大久保 博

もしアダムとイブが日記をつけていたら… (しかもマーク・トウェインが解読) 迷わず手に取りました ふたりの個性が溢れる文章、構成、挿絵の違いを存分に楽しみました 最後はしっとりまとめてくれてます ユーモア溢れる素敵な一冊でした

大親分!

大親分! 北野武

最後の粗忽長屋が良かった。世相と毒舌、ユーモア。

オイディプスの刃

オイディプスの刃 赤江瀑

何人かの人々の死と、生きている人々の思い。 自分にとって、 本当にしなければならない、たったひとつのこととは何か。 中学生の時に初めて読んでから20年。 いまだにこれだと言い切れないまま生きている。 絶版が多かった赤江作品がここ数年復活してきていて、 本当に嬉しい限り。 他作品たちの復活も強く望む。

自生の夢

自生の夢 飛浩隆

2月11日朝8時半、将棋観戦の前、有楽町マリオンのカフェでコーヒーを飲みながら飛浩隆の本を読む。スローテンポの誰かの曲、少し離れた席のヨーロッパ風の男と髪の長い日本人女性の会話。コーヒー豆を挽く音。文庫本の文字が頭の中を埋めていく。『海の指』はスタニスワフ・レムのソラリスを思い浮かばせる。 あ、次第に客の数が増えて現実に引き戻されていく。読み始めると途端に飛浩隆の生と死と夢と幻の世界に引き込まれていくのに。

アメリカーナ 下

アメリカーナ 下 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/くぼた のぞみ

※上下一冊になっているタイプを読了 (あらすじ) ナイジェリア女性の恋愛物語。時代はオバマ大統領選より少し前から始まる。 憧れのアメリカに移住した件の女性は、黒人差別、ジェンダー差別、階級差別、ありとあらゆる問題を考え、提起し、ブログにぶつけ有名人に。セレブな白人彼氏やパーティー三昧の日々。 同時進行的に、イギリスに不法滞在する元恋人も、ギリギリの生活の中、世の不条理や辛酸を舐め尽くす。 ナイジェリアで移住の夢を見、憧れた未来で2人が手に入れたのは虚しさ。 そんな2人それぞれが故郷に戻り、再び出会う。 (感想) 差別や不条理、人の持つ個々の弱さや特質、某強国へのモヤモヤをスパスパーッと全て言葉に出来るアデイーチェに、脱帽です。 『アメリカーナ』とはつまり『アメリカかぶれ』らしい。

トップナイフ

トップナイフ 林宏司

TVドラマ化 この本を読んでおくと主人公などの背景がわかるので、ドラマが分かりやすくなる。 ドラマ見るなら、早めに読んだ方が良いです。

空腹ねずみと満腹ねずみ 上

空腹ねずみと満腹ねずみ 上 ティムール・ヴェルメシュ/森内 薫

ヒトラーが現在に蘇るのだがコメディアンとしか受け取られず...というかなりブラックな前作が面白かったので手にとってみた本作のテーマは難民、ということで前作も本作もドイツでよく出せたな、という驚きがまずあった。一時期メルケルが難民の移民を受け入れたものの社会不安が起き世論に押される形で受け入れを停止しアフリカ諸国に資金援助を行うことで難民キャンプに移民を足止めにするという方針に変換しているドイツ。本作では既に首相はメルケルではなくなっているのだが方針は変わっていない。その難民キャンプを到底社会派とはいえないセクシータレントが取材に訪れるのだが…いろんな要素が噛み合わさった結果、15万人の難民がドイツに向けて歩き出す、という話。砂漠を越えてアフリカからドイツまで徒歩で、という一見荒唐無稽な設定なのだけどその辺はよく考えられていてもしかしたら実行できるかも、というところがなんとも上手い。ドイツ側のマスコミや政治家の動きもデフォルメされているんだろうけどかなり上手く描き込まれている。通過していく国の対応や最終的に30万人に膨れ上がった行進をどう始末つけるのか興味深く読んでいくとまさかのラスト。風刺というのはこういう風にやるんだよ、という見本のような作品。面白かった。

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感傷的な午後の珈琲

感傷的な午後の珈琲 小池真理子

冬に読んだ藤田宜永著『大雪物語』繋がりで、図書館で借りて読み始めた。小池真理子の本を読むのは初めて。あまり私の肌には合わない気がして今まで読んだことがなかった。この本はエッセイだが、小説も読んでみようかと思い始めている。

肝心の子供/眼と太陽

肝心の子供/眼と太陽 磯崎憲一郎

「ビスマルクってこう言う声だったんだよ」。細身で身長が高く、顔が黒い、そんな初老の高校教師が頭頂部からインディアンの如く高い声を繰り出す。そのナンセンスさが過剰なまでに膨れ上がったギャグは、弁当の匂いが充満した昼下がりの教室には少しばかり刺激的すぎたのかもしれない。そのビスマルクの声に誰も気づいていない。いいや、高校生だったから僕らはその笑いの巧みさを理解し得なかったのかもしれない。 ビスマルクの声はどうだったのか。か細い声で、それでいて高い声だ。などと言う問題は河合塾の模試になんか出ないだろうし、ましてや人生で考えることもないだろう。「失われたもの」が世界史には多すぎる。暗黒の時代とされた中世にだって、ギャグもあれば愛もあったはずだ。イヴァン4世はいつも雷帝と呼ばれていたわけではないし、ルターは常にどこかジャガイモのような顔でこちらを覗いて宗教革命を先導したわけでもあるまい。 そこで僕たちは「失われたもの」を想像力で補う、いいや補う以上に作り出すことができる。ビスマルクの声のように、イヴァン4世の歩きかたを語ることもできるし、ルターの髪の毛の洗い方だって語ることができる。 礒崎憲一郎『肝心の子供』はそれを、ブッダでやったということなのだろう。ブッダとラーフラ、ティッサ・メッテイヤの親子三代について、語る。確かに語るだけであれば、優れた歴史書やあるいは歴史小説に任せれば良い。むしろそのほうが劇的で、ドラマ的だ。 しかし、この小説は違う。むしろ、ノンストーリーに近い。劇的な展開は皆無だ。 この小説で試みられるのは、それぞれが「生」を発見するというその当人の経験の描写だ。世界のあることが素晴らしいというその感覚。blessedというのか。その存在が祝福されたしか言いようがない。日本語で言うと、享受するというのか。 この小説は想像力によって登場人物のその感覚、生実感を描くのに成功している。それは歴史書にも書いていない。ブッダがどう呼吸をしたのか、何を見たのか。その領域は歴史ではなく、小説(詩)になる。 蛇足になるけれど、高橋新吉という詩人に「るす」という歌がある。 留守と言え ここには誰も居らぬと言え 五億年経ってから帰って来る ブッタはキリスト以上に詩的かもしれない。

はっとりさんちの狩猟な毎日

はっとりさんちの狩猟な毎日 服部 小雪/服部 文祥

猟銃片手に野山に分け入る登山家の妻は、 ワイルドな世界とぼくたちの生活圏の狭間 に居てくれる。 お金持ちやほんとは環境のことなんて これっぽっちも考えていない大企業の なんちゃってエコロジーとは違っていて、 生活の中に自然を感じるのがいい。 じゃなきゃ横浜でニワトリを飼った際に 近所の人に「うるさかったら言ってください。 すぐシメますから」と旦那が語る訳がない。 飼ってたニワトリをいただいたり、 鹿を解体して、食べることだったり、 お肉を食べるってほんとはそういうこと たよなぁって思うエピソードかたくさん。 スーパーで値札と睨めっこするのとはちと違う。 悪いことじゃないけど、そこに命をいただくということのリアルはないもんなぁー。 あとは何気に巻末の旦那の後書きが ひねくれていていい味出してるぜ。 さすが密着ドキュメントのラストで 谷底に滑落した男は違う。 いやそんな生活に付き合う家族がすごいのか。

かわいい夫

かわいい夫 山崎ナオコーラ

エッセイ。旦那さんの話だけでなく、家族の話。大事な人を失くしてきたナオコーラさんだから書ける話もある。

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出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子

日本版「あなたを選んでくれるもの」 ハラハラさせっぱなしで突き進む私小説です どんな経験も全てが今の彼女の人生に続いていて、人徳のなせる業なのかななんて思います お気に入りはラスボス戦 戦えて本当に良かったなと感動です 彼女の行動力が眩しい ちなみに おすすめの書籍がほとんど知らなくて反省しきりでした…

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呼吸をふわっと整える

呼吸をふわっと整える 片山洋次郎

呼吸が人の身体にどのような影響を与えるか、著者が自らの経験に基づいて解き明かす。生活の中で、こういう経験あるなということに、一つの答えを提示してくれる。古来から、養生法や武術で呼吸は重視されてきた。東洋においてはヨガや禅、太極拳、日本の古武術など。自分の呼吸を通して、自分の身体を操作する、相手との関係を作っていく。からだから心へ、心からからだへのサイクルの中で呼吸がどれくらい重要な位置を占めているか気づかせてくれる整体書。

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イチョウ奇跡の2億年史

イチョウ奇跡の2億年史 ピーター・クレイン/矢野真千子

装丁の美しさで手に取った本。かつては、世界中に生息し、繁栄を極めた後、氷河期には最後の一本となり、絶滅寸前まで、追い込まれる。その後、中国の山奥→日本の長崎→欧州、そして再び世界中に広がり、今日の繁栄にいたる歴史が、丁寧に描かれています。科学的な本ですが、イチョウと人の歴史書とも呼べる、奇跡の一冊です。