NHK出版の本

「いいね!」戦争

「いいね!」戦争 P・W・シンガー/エマーソン・T・ブルッキング

SNSが政治や戦争に及ぼしている影響を軍事研究家がまとめたもの。SNSを日々使っている者としては目を通しておくべき内容かと思い手にとってみた。前半の1/3くらいはインターネットの誕生とSNSの生い立ちについてまとめられているのだがこれがかなりコンパクトで分かりやすく良かった。中盤以降がSNSがいかに「悪用」されているかの実例で、ISISのSNS活用、ロシアによる情報操作とアメリカ大統領選に及ぼした影響、同じくロシアによるウクライナ紛争、インドの大規模テロにおけるSNS活用、メキシコの麻薬戦争におけるSNS活用などがこれでもか、と列挙されている。フェイクニュース、それも怒りを駆り立てる情報は真実の報道よりはるかに早く広がる、という指摘が悲しい。何気なくいいねやシェアをすることで知らないうちに我々のような一般人も戦争行為に加担してしまう可能性がある、という指摘が怖い。SNSが生まれてから実はそんなに日が経っておらず、その意味では規制なども考えられていくだろう、ということだが我々自身も気をつけなければならない、ということが分かった。それにしても透明性を気にしない国家、要はロシアと中国のことだが、のITの「悪用」の上手さはちょっと驚くほど。ロシアの活用した4つのD(批判を一蹴「dismiss」、事実を歪曲「distort」し本題から目をそらさせ「distract」、聴衆を動揺させる「dismay」)が新たなSNS時代の戦争行為における文法であり戦略であるのだそうだ。しかしいろいろな事例を解説、分析しつつもよくある規制を強化せよ、みたいな文脈にならないところはやはりアメリカの研究者だからか。なにげに使っているSNSだけれども気をつけなければいけない、と分かった。ためになりかつ面白い作品だった。

55歳からの時間管理術

55歳からの時間管理術 齋藤孝

まだ少し先かなと思って読みましたが、将来を見越して今の時間を大切に過ごしたいという気持ちになりました。

「古今和歌集」の創造力

「古今和歌集」の創造力 鈴木宏子

1100年前の日本でうまれ紀貫之が編集者であり代表的な歌人。   「時とともに移ろうもの、あるいは移ろうことに対して鋭敏な感受性を持っており‥ 春の桜、秋の紅葉が古今集の自然美の双璧」 1番印象的だったのは、 雪のうちに春は来にけり鶯のこほれる涙今やとくらむ (雪がまだ残っているのに、立春もすきで春が訪れた。冬の寒さで凍っていた鶯の涙も今はもう解けているだろうか)

発現

発現 阿部智里

戦後と現代と二つのストーリーが、実態のないものによって、繋がる。 戦争体験者とその家族の悲しい話。 個人の感想としては、阿倍智里さんの八咫烏シリーズは面白かったけど、これはそれほどでもなかった。

酒場歳時記

酒場歳時記 吉田類

良い酒場をみわけるポイントは『使い込まれた旧さや清潔感』。立呑みに行きたくなる。

NORTH 北へ―アパラチアン・トレイルを踏破して見つけた僕の道

NORTH 北へ―アパラチアン・トレイルを踏破して見つけた僕の道 スコット・ジュレク

世界的に著名なウルトラマラソンランナーである著者はそのキャリアも終盤に差し掛かり近年は目立った成績を残すことも難しくなってきた。40代に入りもう一度自分を限界まで追い込むべく、アメリカ三大トレイルコースの一つであり起伏が多く険しいアパラチアン・トレイルの最速踏破記録に挑戦する。全長3500キロを1日平均で80キロ、45日間で踏破する計画だ。 命の危険まではないとはいえ、襲い掛かる身体の不調、人知を超えた自然の猛威、遭遇する厄介な人々それらを乗り越えひたすら前へ前へと進む。 本文中、所々この挑戦を支え続けるパートナーであるジェイル―回想が挟み込まれるのだが、実際この挑戦はジェイル―の支えがなくてはなしえなかったといっても差し支えはないであろう、本書は40代を過ぎた中年の限界への挑戦でもあり夫婦の物語でもある。 「ところがもっとも経験豊富で、偉業を達成してきたウルトラランナーたちは、サポート抜きでは簡単に挫折してしまうことをよく自覚している。力を貸してくれると心から信じられるクルー、自分のことをよく理解してくれるクルーがいなければ、自力でなし遂げることなど不可能だ。」P.305~P.306 奇しくも最近読んだ登山家山野井夫婦の話と共通するところが多い。 ひとりで成しえることには自ずと限界があり人は誰かの支えなしでは生きていくことは難しい。本人はひとりで生きていると思ってもいてもだ。

クジラアタマの王様

クジラアタマの王様 伊坂幸太郎

これ、いつ描かれた作品!? 途中で思わず発行日を調べてしまうくらいリアル。 いつもの伊坂幸太郎作品に比べ、ファンタジーな要素がイラストと組み合わさり、それが伊坂ワールド独特なリアルな部分との交錯が絶妙。 「現実は、僕の触れるこの、今体感しているここだった。情報でも、ましてや夢の中でもない。」 物語の展開も、後半に向かうにつれてグングンとスピードアップ!ページをめくる手が止まらない。 伏線回収も相変わらず絶妙。 一気読み、そして読み直し間違いない!

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バシレウス

バシレウス 塚本青史

中華統一の物語。 呂不韋。秦の公子嬴異人(始皇帝の父)を人質から救い出し、王位につけた大商人の伝。 商人の目からの秦国の成り立ちの様子を描いている。 アレクサンドロスの血脈が、語られている。 有名な人物やお話があったので飽きることはなかったが、それなりに頑張って読んだって感じです。 「キングダム」読まないと!

発現

発現 阿部智里

ホラー仕立てなんだけれど、ホラーじゃない。 新しい視点からの作品だと思います。 過去と現在が重なり合い、仮説を描いていく。 人が殺し合う戦争ってなんなのか、改めて考えさせられました。昨今戦争が歴史になってしまっている気がしますが、決して昔の話ではなく伝承されるべきものだと思いました。 ページ数がもっと多くても良かったような気がします。

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いだてん 前編

いだてん 前編 宮藤官九郎

今年の大河ドラマが何倍も楽しめ、 来年のオリンピックが待ち遠しくなるに違いない一冊! 制作者や豪華出演者の物語に挑む熱い意気込みと、日本人のオリンピックにかけた歴史。 そして、この本の表紙にもなっている「いだてん」のポスターに込められた想い。 知りたくない?

4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した

4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した マイケル・ボーンスタイン

少し前に映画ライフ・イズ・ビューティフルをみていたこともあり、場面、場面が頭の中で映像化されました。途中、涙と鼻水でグショグショで何度も文字が見えなくなりました。また一つの大作映画をみおえたような満足感があります。ホロコーストを扱った映画の大半は、収容所から生還したところで終わりますが、その後の人生まで知ることができたのは、新たな発見です。

プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する

プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する チャールズ・モア

【プラスチックスープの海】 著者の研究者としてではなく、一人の海を愛する人としての熱意が伝わる。 ページ数も文字数も多かった。 でも、内容は今まで読んだプラスチック汚染関連の本の中で最も優れていると感じた。 ニュースでしか知ることができないそんな現状に対して、世界には自分の目や耳に触れない現実なんていくらでもあることに気付いた。 たとえ自分の力は微力でも、自分の活動に希望を見出してくれる人がいるのではないか。 そうして行動を起こす人が増えていけば、世界がよくなるのかもしれない。 この言葉はとても素敵。 義を見てせざるは勇無きなり。孔子の論語にもあったけど、知ってるのに行動しないのはただ勇気がないだけ。自分が何かできる自信もないけど、研究で解決すると言う覚悟はある。 未来の世代にプラスチック汚染を置き土産にするのは絶対に防ぐ。 大学院進学を決めたのも、原子力のバックエンドの部分で環境問題解決をしたかったから。 希望の大学院に行くことは叶わなかったけど、中学から憧れてた場所には行くことができて、幸せ。 プラスチック汚染と放射性廃棄物の処理はいつも説明で一緒に出てくるから、何となく因果を感じる。。。 根本的な分野である環境問題の解決ではやりたいことが同じ。今の研究も楽しい。 毎日、ワクワクしながら研究できてる今が一番幸せかも。 これからもやりたいことと楽しことずっとやっていこう。 それが誰かの為になれば、より良いかなと思います。