古市真由美の訳書

氷の娘

氷の娘 レーナ・レヘトライネン

フィンランドで絶大な人気を誇るらしい女性警察官マリア・カッリオシリーズの邦訳第2弾。 第1弾の「雪の女」は、その前作が未訳で読んでいないこともあって、主人公にあまり共感できないし若干冗長なかんじもあってそれほど面白いと思えなかったけど、今作は妊娠した男勝りの主人公が、赤子の誕生を待ち望みながらも、今までのように働けないことに葛藤しつつ事件を解決しようと邁進していて、その様子を読んでいるとなんとなくマリアに愛着を持てるようになってきます。 話の構成も、最後の事件解決の展開は若干いきなり感があるけど(最後34ページで突然犯人と動機をひらめく(!)のです)、色んなとこに撒かれてた伏線を一応回収するというかたちでうまくまとめられてます。犯人の意外性も、、、まぁあるかな? このシリーズやレベッカ・マーティンソンシリーズなんかは、同じ北欧シリーズものの特捜部Qやミレニアムみたいなハラハラドキドキ感や事件解決後のスッキリ感は得られないけど、なんとなく北欧の社会制度を学び、美しい自然の描写、それぞれの登場人物の憎めない個性をゆったり楽しむのが醍醐味なんだと思う。

四人の交差点

四人の交差点 トンミ・キンヌネン

これはフィンランドの小さな村に住む、ある家族の物語。 この家には、伝えなかった言葉があり、使われなかった拳銃があり、燃やされた手紙があり、家族にさえ言えない秘密がある。 互いの胸のうちに秘密を抱えたまま、理解できない家族のふるまいに怒ったり泣いたり傷ついたり…それでも、毎日を生きていく。 そんな家族の100年の物語。 本書はマリア、その娘のラハヤ、ラハヤの息子の嫁カーリナ、そしてラハヤの夫オンニの四人の章に分かれている。 数年おきに起きる小さな事件が、時代を行ったり来たりしながら語られる。 違う章で同じ出来事を違う人物が語ると、出来事はまったく違う様相を見せる。 秘密を明かさない故に、寂しさも愛しさもまっすぐに伝わっていないことが読者だけはわかる。 それが本当に、せつない。 ただよく読むと、実は彼らの秘密はいつの間にか次の世代にひそかに伝えられていることが分かり、それはそれで救われる思いがする。 そして、その秘密の最後の継承者が血の繋がりのない嫁カーリナであることが、またいい。 この家の秘密は、血ではなく、それを引き受けられる強さと感受性を持つ者に継がれていくのだ。

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