土屋政雄の訳書

ダロウェイ夫人

ダロウェイ夫人 ウルフ

たまたま手に取った初のウルフ作品がとんでもなく面白くて一気読み。 土屋さんの翻訳もやっぱり見事でした。

終わりの感覚

終わりの感覚 ジュリアン・バーンズ

友達に薦められたし、ブッカー賞も受賞している、ということで読んでみました。 60過ぎで引退生活に入った男のところに、20代で自殺した友達の日記を遺贈する旨、当 時付き合ってた女性の母親からの遺言が500ポンドとともにもたらされます。 自殺の真相を知るべく、昔の彼女に連絡をとる主人公。 そして昔のことが諸々判明してきて…という話。 前半は「こころ」って確かこんな感じの話じゃなかったか、と思いながら後半は憂鬱な感じで読み終わりました。 正直、昔の若気の至りをいつまでも根に持たれても、と思ったし、それならそれでちゃんと言いたいことは言えばいいのに...思わせぶりをタラタラと…ということで自分には全く合いませんでした。残念。

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イギリス人の患者

イギリス人の患者 マイケル・オンダーチェ

このうえなく美しく、悲しく、力強い、詩篇のような物語。 砂漠に墜落した複葉機から救い出された死にかけの患者。彼を看取るために従軍看護部隊を脱する女。二人は無人の洋館に身を寄せ、互いに心を近付けながら、やがて心を通わせてゆく。男が語り出したのは、かつて誰よりも愛した女性と、彼女と過ごした日々の記憶。砂漠の地理、知る人の無い遺跡、ヘロドトス。 全ての情景が静謐な美に溢れ、一枚の絵画を眺めているかのような感慨が沁み渡る。

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ねじの回転

ねじの回転 ヘンリー・ジェイムズ

女性同性愛的だと感じたら、やはり解説にもそんなことが。本当に亡霊的な現象なのかそれとも妄想のようなものなのか、という問いを事前に聞いていたので考えながら読んだけれど、やはりどっちとも判断がつかない。それを誘っているのだろうか……。

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コンゴ・ジャーニー〈上〉

コンゴ・ジャーニー〈上〉 レドモンド・オハンロン

あのカズオ・イシグロが大絶賛している、ということをどこかで見かけて手にとってみた作品。タイトルそのままイギリスの紀行作家というか冒険作家がアフリカはコンゴの奥地にある湖まで旅した旅行記。さすがイギリス人というか凄まじくひねくれた内容。そもそも作者の目的がコンゴ奥地にある湖で目撃情報があるという恐竜モケレ・ムベンベを見つけたい(そして儲けたいと)いうことだし、旅行記そのものもリアルというかこれを読んで自分もこういう旅をしてみたいという人は恐らく精神的に病んでいるであろうと思われる内容。賄賂をすぐに要求してくる政府の役人、害虫だらけで危険だらけの旅に呪術を真面目に信じている人々に振り回される日々。冒険に同行してくれることになった政府の役人兼学者とその親族も一癖も二癖もある連中で旅の途中で会う人々もどこかおかしな人がほとんど。そもそも原題は「No Mercy」だし。しかしそれだけならあの大作家が絶賛するわけもなく…めちゃくちゃな旅の記録ではあるのだけど全く美化されていない内容の中に深く考えさせられる記述がちらほらと出現し飽きさせない。旅に同行したアフリカの学者が思いの丈を吐き出すシーンなどは壮絶ですらある。そして無事、旅を終えて出国しましためでたしめでたし、とは全く異なるラストには驚かされた。長さもさることながら内容もヘヴィなので力のある時に読まれることを勧めます。すごい作品。面白かった。

出島の千の秋 上

出島の千の秋 上 デイヴィッド・ミッチェル

幕末日本の出島を舞台にした物語でブッカー賞候補作のベストセラーということだったので手にとってみた。 主人公は出島のオランダ商館に新しく赴任してきた事務員。彼の出島での新たな生活が描かれる前半三分の一は静謐な感じでストーリーが進むのだが中盤から副次的なストーリーがいくつか大きく動き出す。 出島に出入りしている学者の娘、新興宗教に凝る出島近辺の藩主、藩主の悪行を知りこれに立ち向かおうとする通詞、オランダに取って代わろうとするイギリス軍艦の艦長などなど。 事務員を軸にいくつかのサイドストーリーが動いて最終的に収束していく形。 日本人的には変な部分がいくつもあったりちょっと詰め込み過ぎの部分もあるけど、史実に適度なフィクションが混じってなかなか面白い作品ではあった。ただ、幕末日本で二人称が「君」とかちょっと翻訳は考えて欲しい部分がいくつか。

わたしを離さないで ハヤカワepi文庫

わたしを離さないで ハヤカワepi文庫 カズオ・イシグロ

描かれている世界が普通でないことは序盤から窺える。導入部では注意深くチューニングを合わせるように自らを馴染ませていく。そして焦点が定まったことに気付く暇もなく、緻密に構築されたリアリティのある物語に潜り込んでいる。これは前知識なしで読んでこそ味わえる心の揺さぶりがあると確信します。

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わたしを離さないで

わたしを離さないで カズオ・イシグロ

自叙伝と錯覚してしまった。 カズオ・イシグロさんという人の作品というよりはキャシー・Hさんの作品と思う。そのぐらい忠実に書いてある。 作家はどうしてもらしさを感じると思うけど、この作品は感じなかった。 作家はどれだけの想像力を持っているのか。改めて凄さを感じた。 暗く、底が震えるような物語の中で、何を考えたらいいのか。救いはフィクションであること。 しかし、読み終わった後も反芻してしまう作品。

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日の名残り

日の名残り カズオ・イシグロ

カズオイシグロの作品として最初に読んだ本でした。読み始めてどのような話か最初はわかりませんでしたが、謙虚な執事、使用人の会話の内容、また今と違う時代の流れを感じました。ゆったりとした。心落ち着く内容でした。

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