浅倉久志の訳書

スペース・オペラ

スペース・オペラ ジャック・ヴァンス

スペースオペラといえば、昼下がりの安っぽいメロドラマ、ソープオペラと同じく、ヒーローが大活躍する、粗悪というかあまり出来のよろしくないSF宇宙活劇をさすちょっと意地の悪い言葉だが、それをストレートにひねらずーーいや、逆にひねったのかなーー宇宙を旅する歌劇団の物語にまんまと仕立てあげてしまったブラックユーモア炸裂の表題作を含むアンソロジー。もちろんユーモアだけではなくて全くの異世界文明との相互理解の可能性について、レムなどにも見られるような鮮やかや思考実験がとても心地よい。表題作もギャグ満載で楽しかったが、異性の海の鈍重そうな生物とのコミュニケーションを描いた「海への贈り物」が出色。著者は元船員だったそうで、その経歴も迫真の描写に役立ってるのだろう。最後のシーンは予想されることだとしても胸が熱くなる。 このアンソロジーはシリーズだそうでこれが3巻目の完結編だそうだが残りも読んで見なくては。

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ユービック:スクリーンプレイ

ユービック:スクリーンプレイ フィリップ・K. ディック

『バーナード嬢曰く。』の中で傑作と褒められていたので読んでみた、古めのSF小説。 1992年の未来(過去)、家電がことごとくチップを要求し、死者は「半生者」として降霊術の如く呼び出す事ができ、超能力者と反能力者?がいる世界。主人公がてんやわんやなって大変なことになる小説。 確かに面白かったが、最後が腑に落ちない。古典SFを読むと大抵こんな微妙な気持ちになるのは何でだろう。 ただこの本は「スクリーンプレイ」、つまり映画向けのシナリオとして著者であるディックが再解釈を加え加筆修正をしたものらしく、オリジナルとは異なるらしいのが気になる所。

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トータル・リコール

トータル・リコール フィリップ・K・ディック

鬼才ディックの短編集。その多くが映画化されているのは、やはり発想の見事さと、秀逸なストーリーテリング技術なのかもしれない。表題作トータルリコール、マイノリティリポート、ペイチェックなど。SFの未知の世界観は映画だけではなく、原作小説も眠る前のひと時に丁度良い。

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ユービック

ユービック フィリップ・K・ディック

時間逆行能力に時間退行現象、そして死者による世界干渉etc・・・ 様々な画期的なSF的仕掛けを用意しておきながら肝心のトリックは至ってシンプルな方法、だから何回も騙される。 そしてテーマはそこには無く、もっと本質的な話でいかにもあっさりと締めくくる為、読者はいきなり現実に戻された感覚になる。 ディックの魅力である現実と虚構の間で生じる”世界の揺らぎ”が今回も申し分なく表れていて、それが読んでいる最中に自分の世界でも感じられてしまう。 一冊の中に様々なメッセージが込められていてどこを切り取っても熟慮に値する作品だ。

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重力が衰えるとき

重力が衰えるとき ジョージ・アレック・エフィンジャー

P81 苦痛は、いつになったら人生がふたたび耐えられるものにもどるだろうか、と疑いたくなるほど長くつづく。だが、快楽は、踏みつけられたクチナシの花とおなじように急速に色褪せ、記憶はその甘い香りをむなしくさぐる。

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語 テッド・チャン

間もなく公開の映画『メッセージ』が気になるので、原作となる本書表題作、が載ってる『SFマガジン』2001年9月号を引っ張り出して読む。ヴォネガット『スローターハウス5』とシモンズ「夜更けのエントロピー」を掛け合わせたようなイメージ。これをどうやって映画化したのか気になる。

ガラパゴスの箱舟

ガラパゴスの箱舟 カート・ヴォネガット

随分と今とは異なった人類のいる未来から、どうして人々がそのような道筋を辿るに至ったかを語る物語。 シンプルに生きることが困難だからこそ、世の中を複雑にするあの知性というやつを捨てた新人類が少し羨ましい。 所々登場する新しい人類の描かれ方が、ぼくにはどうしても退化には思えない。

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ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを カート・ヴォネガット・ジュニア

P146 「こんにちは、赤ちゃん。地球へようこそ。この星は夏は暑くて、冬は寒い。この星はまんまるくて、濡れていて、人でいっぱいだ。なあ、赤ちゃん、きみたちがこの星で暮らせるのは、長く見積もっても、せいぜい百年くらいさ。ただ、ぼくの知っている規則が一つだけあるんだ、いいかいーー なんたって、親切でなきゃいけないよ」

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