野崎歓の訳書

マノン・レスコー

マノン・レスコー アントワーヌ・フランソワ プレヴォ

The童貞文学。 最初の方は童貞がファムファタルに振り回されて身を滅ぼしていく話なのかなあと思っていたが、読み進めていくうちにこれは童貞が初恋の相手のストーカーになる話なんだと思った。やっぱり15歳ぐらいまでに初恋は終わらしとかないとダメよ。歳を取ってからの初恋は危険。 男にとって都合のいい小説なのでフェミニストにけちょんけちょんにしてもらいたい。

フランス組曲

フランス組曲 イレーヌ・ネミロフスキー

オールタイムベスト級の傑作。アウシュビッツで亡くなった著者が娘に遺した原稿が2004年に出版、今、日本に届き今私が読んでいるという奇跡的事実を抜きにしても(でも今さら抜きにはできない)、素晴らしいストーリーテリングにため息が漏れる。自ら渦中にいながら時代に翻弄される人々の群像劇をあくまで客観的に、各々の個人的な体験として描く技術の高さに、胸がしめつけられる。中でも「ドルチェ」でのピアノを奏でるシーンの美しさは秀逸で、タイトル「フランス組曲」を象徴するように思え、聞こえないはずの音色が今も頭から離れない。

ランサローテ島

ランサローテ島 ミシェル・ウエルベック

ハードカバーだけど半分くらいが写真で本文は六十ページぐらい。 『闘争領域の拡大』で扱った愛の不平等性の話はあまり出てこず。『素粒子』に出てきたクローンや不死の話、なんだか全てが上手くいかない人の話が再び出てくる。ウェルベックの興味の向きが変わったのかな。

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地図と領土

地図と領土 ミシェル・ウエルベック

まさに現代アーティストの姿、市場の様子が描かれている。主人公のアーティストの最初の展覧会が、ひょんなことからトントン決まって進むあたりの状況は、一昔前な雰囲気もあるけれど、作品の描写などは本当にその物が実在するかのように描かれていて素晴らしい。アートの要素とミステリーの要素、両方から楽しめた。

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ちいさな王子

ちいさな王子 サン=テグジュペリ

この夏、ジェラール・フィリップの朗読CDを買って、真夜中にひとりで何度も聴いた。映画「リトルプリンス 星の王子様と私」を観る前にもう一度活字で読み返したかったので、特にお気に入りの野崎歓先生の新訳を選んだ。ちいさな王子さまが広大な砂漠に立ち尽くしている光景を何度も想像してしまい、何度読んでも胸が締め付けられて涙が出る。それも大人になるにつれて益々… 日常の些末なことを大切に生きようと思う。

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浴室

浴室 ジャン・フィリップ トゥーサン

おすすめに流れてるのを見て、とても懐かしく感じました。 高校生くらいの時に何冊か読みました。その頃はポール・ボネさんとか、シムノンのメグレ警部ものとか、フランスの香りにどこか憧れがあったのかもしれませんね。背伸びしてたのかな。

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ムッシュー

ムッシュー ジャン‐フィリップ トゥーサン

「浴室」と立て続けに再読したけど、たぶん誰もこんな言い方しないだろうけど、わたし的には、初期のこの2作はかなりトンがってる、と思います。トーンがミニマルだから、トンがってるって言い方ピンとこない人ばかりだと思うけど、やり口としてはかなりトンがってる。その後の3作を先に、去年くらいに再読したけど、もうひと周りしようかな。

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逃げる

逃げる ジャン=フィリップ トゥーサン

フランスでいろんな賞を受けているジャン=フィリップ・トゥーサンの作品。 正直にいうとやはりこういう仏文には馴染めないな...主人公がパリから海~北京を旅し麻薬取引に巻き込まれて逃げた挙句、彼女の父親が死んだという報に接してイタリアはエルバ島まで戻ってきて...という話。 背景理由も心理も説明されないまま、バイオレンスありエロテックあり... さくっと読めてしまうけど...何を言いたいのかよく分かりませんでした^^;

ある秘密

ある秘密 フィリップ・グランベール

ナチス時代フランスに暮らしていたユダヤ人家族の物語。作者の親兄弟たちに起きた悲劇は実話だ。過去の話として家族の悲劇が淡々と語られる。

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素粒子

素粒子 ミシェル・ウエルベック

はぁ〜ツラ〜。『闘争領域の拡大』に負けず劣らず読んでいてツラい。ただ『闘争領域の拡大』と比べて一旦人生が上向きになるのでさらにツラさが増している。非モテはいくら努力しても非モテなんだと言い切った前作に比べて、非モテでも本当の愛は見つけられると示してくれた本書は非モテの心の支えになる。が、しかし悲しい。 難しいことを考えずに、とりあえず非モテの人はこれを読みましょう。そして非モテはツラいな〜と言いましょう。

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地図と領土

地図と領土 ミシェル・ウエルベック

ウエルベックって現代社会を忌避してるイメージがあるけど、そんな現代社会の中で幸せに生きるとはどういうことか、幸せになるにはどうしたらいいかについてこの世でいちばん真剣に考えている作家なような気がする。『素粒子』以降この作品の前までは未来に希望を見出していた。しかし、今回第3部に出てくる警官夫妻に現代社会での幸福を詰め込むことで、現在にも幸福を見出している。芸術と資本主義という大きいテーマの後ろにある、社会から見たら小さいそのような個人的なテーマにこそ、ウエルベックが描き出したいものがあるような気がする。 それにしても本当に文庫版の帯は許せない。ネタバレにもほどがある。

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