小竹由美子の訳書

ジュリエット

ジュリエット アリス・マンロー

表題の『ジュリエット』3部作は、ほんの短い短編3つに、若き日に遭遇した出来事と芽生えた恋心、年老いた両親との向き合い方、理解できない道に進んでしまった娘との距離、多くの女性が体験するであろう人生の節目を見事に描き出している。人生経験を積んできたものなら、重ね合わせる一瞬もあるでしょう。ジュリエットの気持ちを、すべて書いてしまわないからこそ追体験できる絶妙の距離感。『トリック』は初恋と純粋な約束、酷い砕かれ方とどんでん返しの顛末にゾクゾクする面白さ。誰にでも訪れる転換の瞬間に立ち会える8編。

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屋根裏の仏さま

屋根裏の仏さま ジュリー・オオツカ

写真だけを頼りに新世界アメリカに旅立った日本人の「写真花嫁」たち。 彼女たちを待っていたのは、写真とは似ても似つかぬ花婿や、約束された住まいや仕事とはかけ離れた過酷な境遇、そして差別。 懐かしい故郷、母の元には、帰ろうにも帰れない。 ここで生きて行くしかないという諦めと覚悟を、今度は戦争が引き裂く。 一人称複数の「わたしたち」だけで書かれた物語に、ただただ圧倒される。 まるで詩のように、心地よく、さざ波のように繰り返すたくさんの「わたしたち」。 かつて確かに存在した私の同胞たち。 その手を取って慰めてあげたい同志たち。 最後に、日本人花嫁たちだけでない別の「わたしたち」が語り手となり、気づく。 世界はたくさんのたくさんの異なる「わたしたち」で出来ている。 どれもかけがえのない大切な「わたしたち」で。

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ディア・ライフ

ディア・ライフ アリス・マンロー

カナダのノーベル賞作家アリス・マンローの最終短編集。たまたま手に取った前短編集、「小説のように」が面白かったのでこれも読んでみた。 先入観かもしれないけども、前作はノーベル賞から想像される難解さが無くてストレートなストーリーながら適度な深みがあって良かったんだけど…これはちょっと先入観どおりのところもあったかな^^; もうちょっと古い時代のものを次は読んでみよう。 ま、技ありですよ。面白かったけど。

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イエメンで鮭釣りを

イエメンで鮭釣りを ポール・トーディ

自国(イエメン)の川に鮭を呼びたい、という理解し難い大富豪の要望に官邸が興味を示したことで半ば無理やりプロジェクトに巻き込まれる主人公。 とは言え、陰謀やハラハラはなく、ユーモア混じりに顛末を描いています。 ウッドハウス賞を受賞しており、映画化されたものも賞を取っている、日本ではあまり馴染みがないですが、海外では評判の高い作品です。

善き女の愛

善き女の愛 アリス・マンロー

カナダのノーベル賞受賞作家の中編集。ノーベル賞作家というと小難しい印象があるのだけどこの作家の場合は物語があって分かりやすくとても読みやすい。本作には比較的長めの作品が収録されているのだけど特に白眉はやはりタイトル作品。「静かで恐ろしい作品」という評が背表紙に載っていたけどもまさにそう。映画のスタンド・バイ・ミー的な一章、それとは全く関係ない、訪問看護婦が昔の同級生の瀕死の配偶者を世話する話の二章、そしてこの二つが合わさって、まさかこうなるかの三章、という見事な展開に感心。しかも余計なことを語らずにスパッと物語を終わらせる見事さ。他に収録されている作品もそれぞれ見事。この作家については未読の作品がどれくらい残っているのだろうとそれが気になる。

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アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること

アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること ネイサン・イングランダー

「どうしてイスラエルではバスもトラックもすべてメルセデスなのか知ってるかい?」 「そりゃあ罪の意識に基づいた大幅な割引きをしてくれるからだろ?」僕は答える。「でなきゃ、ユダヤ人を運ぶ車両を作るのはメルセデスが一番うまいから、彼らがある種のコツを心得ているからかなあ?」

あの川のほとりで〈上〉

あの川のほとりで〈上〉 ジョン・アーヴィング

翻訳ミステリと歴史物しか読まないのも問題と思い、適度に純文学も読もういうことで、昔、すごく好きだったアーヴィングの作品を久しぶりに手にとってみました。 実に面白かった。正直なところ読み終えるのが勿体ないくらいだった。 ニューハンプシャーの山奥、既に衰退しつつある林業の街。 樵向け食堂のコックとその息子がとある事件をきっかけに、コックの親友である樵の助けも借りながら街から逃げて逃亡していくことに。 逃亡の途中で息子は成長し作家となり有名人となっていく。 一方、コックはレストランを転々とする中で実力を増していく。 レストランとアメリカンな料理の描写も楽しい作品です。 あとは個人的に奈良は吉野の山奥にルーツを持っているので樵とかの話に弱いのかも知れない。

小説のように

小説のように アリス・マンロー

ノーベル賞受賞作家となると私の場合なかなか手が出ないのですが...というのもたぶん難解で面白くないのでは、という先入観があって...ちょっと余裕があったので試しに手にとってみました。 先入観はいい意味で裏切られたな~わかりやくてそして上手い! そういう角度からそういうふうに描くか、といった感じの話、そして短編だからすいすい読めてしまう。 他のも読んでみようと思いました。良かった!

イラクサ

イラクサ アリス・マンロー

短編の女王とも称される作者。以前読んだものどれも素晴らしくじっくり味わいたいので手に取るのを控えていたのだがたまらず読んでしまった。女性の作家にこういう表現が良いのかわからないけども骨太かつ繊細な作品が9編。短編集の原題は「Hateship, Friendship, Courtship, Loveship, Marriage」という。このタイトル作の邦題が「花占い」。 とにかくこの人の短編、これまで駄作があった記憶がない。強いていうとこういう邦題のつけ方くらいかな…不満があるのは。舞台はだいたいカナダの片田舎、設定が突拍子もないわけでもなく大事件が起こるわけでもなく…なのにこれだけドラマを感じさせる短編が書ける人も珍しいのでは。本作ももちろん全編が素晴らしかった。ノーベル賞受賞後しばらくして断筆宣言してしまった作者。まだ翻訳されていない作品や読んでない作品がいくつかあるのが救い。まだ楽しみたいと思います。

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