尾澤和幸の訳書

捏造される歴史

捏造される歴史 ロナルド・H. フリッツェ

かつて大西洋にあったとプラトンが語ったアトランティス大陸。あるいは現生人類を作ったのは遥か彼方から地球を訪れた宇宙人で、その宇宙人の存在は聖書に書き残されているという文明宇宙人起源説。そんなことは科学的に見ればありえないことは明らかだけれど、それを頑なに信じる人々がいる。中高生くらいならともかく、いい大人になってまで。そしてそうした妄説は意外にしぶとく生き残る。 なぜそうした妄説が生き残るのか。妄説は、黒人やユダヤ人、そうしたマイノリティたちによる精神の拠り所でもあるのだった。ここでは取り上げられてないが、ウラ・リンダ年代記や日本の竹内文書、あるいは韓国起源説などという偽史も自分たちの祖先の権威づけだ。それが日常生活に何かをもたらすわけではないが、時折過激な形をとることがある。苦笑いしてやりすごせるだけのリテラシーが必要なのだということか。 詳細な記述がときおり退屈で、何度も寝てしまったけどよい本。ただし校閲はだらしなさすぎ。わずか2ページの間に同じ人物の表記が異なる3通りで出てくるとかありえない。数行先に出てきた人名表記が違うって普通気づくだろ。訳者も悪いけどこういうのは編集がなんとかすべき。何やってんだ版元。