松下祥子の訳書

赤い夏の日

赤い夏の日 オーサ・ラーソン

オーロラの向こう側に続く2作目。 一作目と同様、主人公レベッカの北方の故郷を舞台に起こった宗教関係者を被害者とした事件。 前作はレベッカも事件を探っていたけど、今作はレベッカはどちらかというと外野で、主人公がレベッカなのか、アンナ・マリア警部なのか、はたまた狼なのかよくわからなくなってきた。(とはいえ狼は完全なサイドストーリーで、巻末で訳者も言っているが、その孤独だけど力強く生きている様子がレベッカと重なる) ミステリーとしては、真相に迫るドキドキ感や緻密な伏線があるわけでなく、ちょっと物足りないけど、ひたすら北国の美しい自然が味わえる。 読み終わった後の爽快感や満足感はあまりないけど、今作でますます傷が増えたレベッカが浮上するのを見たくてまた続きを読んでしまうのだと思う。

パディントン発4時50分

パディントン発4時50分 アガサ・クリスティー

人生初のアガサ・クリスティー。正月休み中に読み切れてよかった。読み始めてからどうやらシリーズものだったらしいと気づく、その程度の読者。メイドさん大活躍の話が読みたかったのでその点は満足。犯人が分かってから終わるのが早すぎて呆気なく感じてしまった。エマさんがひたすら不憫だったから、面倒な血縁者たち全員ぶっちぎってどこか新しい場所で幸せになってほしい。

黒い氷

黒い氷 オーサ・ラーソン

弁護士レベッカ・マーティンソンシリーズ第3作。 1作目と2作目は宗教家が被害者の事件で、教会やその内情が詳しくかかれていたが、今作は打って変わって鉱山会社の役員の女の死体発見から、株とマネーとアフリカの内紛に話が及びスケールが大きくなっている(検事となったレベッカの金融知識が大活躍!) このシリーズは北欧神話や動物への投影が多くてミステリを読んでるというよりも文学を読んでる気になってくる。普通のミステリほどの気楽さもなく、3作品ぶっ続けによんだあとは結構疲れ果てました(と同時にやりきった感) 本国では5作目?まで出ているみたいだが、邦訳はこれが最後。今までこれでもかというくらいボロボロにされてたレベッカに幸せの予兆が現れたのが救いです。