中村佳子の訳書

2084 世界の終わり

2084 世界の終わり ブアレム・サンサル

明らかに実在するとある宗教を思わせる一神教が全てを支配する国。年号も定かでなく、過去はすぐに書き換えられ、歴史らしい歴史などは存在しない。すぐに思い起こすのはオーウェルの『1984』のようなディストピアだ。実際、タイトルもオーウェルの小説から一世紀後でもあるし、関連性は明らかではある。その上で、本作はとある宗教、有り体に言えばイスラム教の、特にその中でも原理主義のふりかけがまぶされていることが大きな特徴だろう。 とはいえ、異様なまでの密告社会、隅々にまで宗教的な戒律が染み込んだ窮屈な世界という設定でありながら、ところどころあれっと思うような破れが見えてしまうのは少し残念。そうした監視社会の破れを描こうとして、物語自体に破れが見えたようなそんな感じ。 ディストピア大好きなウェルベックが推薦してるそうだけど、ちょっとそこが…。 著者はアルジェリアの元エリートで、政策に楯突いたために公務員の職を追われたが、そんな迫害の中でも同地に住み執筆しているという。しかし、執筆したものはほとんど国内では発禁になるそうだ。 そうした背景を考えれば、この小説に切迫したアクチュアリティを認めることは可能だろうけど、そんなものは物語にとって夾雑物でしかないとも言えるわけで…。

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闘争領域の拡大

闘争領域の拡大 ミシェル・ウエルベック

愛をください。 非モテ、しかも頑張る非モテに対する同情が溢れ出る。そこでハタと気がつく。この非モテの頑張ってないバージョンが自分であるということに。アッアッ。ぼく、このままだとヤバいかも......ウァーー。 金の不平等より愛の不平等の方がタチが悪い。

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プラットフォーム

プラットフォーム ミシェル・ウエルベック

ヒロインのヴァレリーが非モテ男子にとっての理想像過ぎる。愛しちゃった。この小説を読んでいる間中ヴァレリーを愛してたって胸を張って言える。だからこそ、ラストで心が大きく揺れてしまった。 いつも通り愛の話であることに変わりはない。今回のスパイスはセックス観光、東アジアなどにおける買春について。つまりは人間の欲望について。

ある島の可能性

ある島の可能性 ミシェル・ウエルベック

『素粒子』と『ランサローテ島』を読んでから読むことをオススメする。 人が生きるためには何が必要か。それは愛だ。しかし愛は不平等だし、たいてい永遠に持てるものではない。というウエルベックの主張がより強まっている。だが、今回もそんな世界に抗う男が登場する。抗った結果何が見えたのか、永遠の愛なんて存在するのか、ウエルベックなりの回答が用意されている。

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