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きこる

87年生まれ

87年生まれ。 http://Instagram.com/kicolu

15

コメントした本

侍

舞台は17世紀初頭、陸奥の小さな村で百姓同然の暮らしを送る侍。その男の人生を翻弄することとなる、慶長遣欧使節団の旅を下敷きにした歴史小説。 藩主(史実では伊達政宗)の命により、ローマ法王への親書を携えて、もう一人の主人公である宣教師ベラスコと共に海を渡る侍。メキシコ、スペインと苦難の旅を続け、ローマではお役目達成のために洗礼を迫られる。しかし日本では情勢が変わり、徳川に依るキリシタン追放令が発布されていた。侍たち使節団の目的は、彼の留守の間に完全に放棄されていたのだ。 大凡の結末は予想がついたが、ドラマチックな展開に心を揺さぶられざるを得ない。遠藤周作の手腕たるや...。クライマックスでは、同著『沈黙』に描かれる象徴的な波の音が聞こえてきた。神の沈黙、またしても。

約4年前

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ことばの食卓

食べものに纏わる古い記憶が綴られたエッセイ集。 繊細な感性の窺える文章自体が素敵だが、一冊を通して著者の人生を辿る感覚になれることも魅力。

約4年前

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おとなになるってどんなこと?

おとなって?友達って?普通って?生きるって?がんばるって?...。社会でひたむきに生きてゆくための道標となり得る著者なりの悟り、と言えるのではないでしょうか。 まえがきに「(読者にとっての)お守りみたいな本が作りたかった」とあるが、その願いが温度のある言葉に依って確と伝わってくる素敵なエッセイでした。

約4年前

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草枕

小説の筋など些細な事、多彩で律動的な文章を追っていると、だんだんと随筆と物語の間を彷徨い歩く感覚に陥る。 平たく言えば、俗世間を憂う青年画家が芸術に打開策を見出さんとする話ですが、風変わりな本でした。

約4年前

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誕生日の子どもたち

"昨日の夕方、六時のバスがミス・ボビットを轢いた。それについて何をどう語ればいいものか、僕にはよくわからない" 印象的なプロローグ。一瞬にして以前読んだことを想起させられた。学生の頃に図書館で読んだ単行本と、その匂いまで。 収録作品は表題作をはじめ『クリスマスの思い出』など、少年少女の無垢さをテーマに描かれた6篇。純粋で美しい反面、ナイーブで時に残酷さを纏う無垢さ。 どこか翳りがあるも牧歌的な風景がみえる作品群のなかで、異彩を放つのは『無頭の鷹』。物語の内容よりも不気味に光る文章に強く惹かれる。 背表紙には「カポーティのこぼした宝石のような逸品六篇」とあるが、的を得ていると思えることが嬉しい。初読時(5、6年前)と比べたら、"少しは"小説を読む神経が形成されたのかもしれない。

約4年前

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沈黙

描かれている葛藤に、自分の中で落とし所をみつけないことには立ち上がれない。 舞台は17世紀初頭、島原の乱が鎮圧されて間もない長崎。ある宣教師の書簡が物語るキリシタン禁制の実状。 中学生の頃だったか、教科書の僅か数行から学んだ"踏絵"。これに関わった人々と、渦巻く思想について、小説を通して初めて考えることが出来た。 神も信仰も、異国の地では必ずしも普遍的なものではない。布教活動に身を捧げる宣教師、政治的な立場から彼らを迫害する日本の奉行人、どちらにも言い分がある。表題が示すのは"神の沈黙"、その意味を考えるのは、その場その場の人間個人。

約4年前

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お伽草紙

堪能した...。日本や中国の寓話をベースに、登場人物の個性を際立たせ、人の業を浮き彫りにさす物語群。単純におもしろい。 弁明、否、ひけらかしにも似た前書きから入り、その物語の寓話たる所以を述べて括る構成もいい。因果応報など大層なものではなく「性格に依る悲喜劇」、これに賛成。 身を切るように綴られたデカダン作品こそが太宰、という気がするが、それを抑えた職業作家太宰も最高だ。

約4年前

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老人と海

この作品の確固たる力強さといったらもう。そう感じさせるのは文章なのか、孤高の漁師である老人なのか。冷静にみれば物語は至って簡潔にリアリズムな文章で綴られている。やはり老人がそう錯覚させるのだろう。 物語の大半を占めるのは独りの老人によるたった一回の漁だ。独白はあるものの心理描写は殆どなく、ひたすらに肉体的行動が描かれている。 この読後感はとても予測できなかった。ハードボイルド且つ哀愁ある結末に、憐憫の情を抱くことは皆無。確と見届けるという責務を果たした手応えが静かに残る。

約4年前

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カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ

なぜ生きるのか。そのことを知るために生きるのだ。 胸をえぐられながらする共感を辿って、結局は読了してしまった。この本を鼻で笑い、途中で放り投げてしまえる人間であるほうが、きっと楽に人生を歩めるのだろう。かく言う僕も、周囲からはそれなりに日々を過ごしているように見えるかもしれないが、以下の著者の言葉がすっと腑に落ちる。 生きるのが辛くない人が生きていても、そこにはとりたてて道徳的な価値はない。それはただの自然現象だ。だが、ぼくが30年来つきあっている哲学者カントと共に言えば、生きるのが辛いからこそ、それにもかかわらず生きているのは道徳的なんだよ。 精読した翌日、部屋のペンダントランプを付け替えてみたり、近所にオープンしたケーキ屋に行ってみようと思ったり、お盆とは別に与えられる2日間の休みをいざ使わんと小さく喜んだり、なんだか滑稽に思えたがいとしい日常に生きていると感じた。

約4年前

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夏の花

あの日、広島で1日を送った著者に依る克明な記録小説。原爆投下の瞬間から数日後までの様子がスケッチのように描かれている。 ここに描写されている悲惨な光景は『はだしのゲン』で見たものと一致、いやそれ以上に無慈悲に映った。

約4年前

惑いの森 ~50ストーリーズ~

50の短い短篇たち。就寝前に少しずつ、至福の時でした。ひとつ読んでは咀嚼して。人に勧めるには特異ですが、琴線に触れる1篇がみつかるかもしれません。

約4年前

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NOVEL 11, BOOK 18 - ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン

内容を予測する術のない表題。村上春樹の翻訳に依って初めて日本に紹介されるノルウェイの作家、ダーグ・ソールスター著。 物語の筋も何も知らぬままページを繰っていく感覚は懐かしく、まだ小説に不慣れな頃の読書体験を思い出す。 結末を知ると同時に250ページ分を振り返ってひっくり返った。村上さん、これは前衛的でしょう。

約4年前

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海と毒薬

九州の大学病院で行われた米軍捕虜生体解剖実験。人間とは?罪の意識とは?究極の問いは、戦争末期における実在した事件を題材に描かれる。

約4年前

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わたしを離さないで ハヤカワepi文庫

描かれている世界が普通でないことは序盤から窺える。導入部では注意深くチューニングを合わせるように自らを馴染ませていく。そして焦点が定まったことに気付く暇もなく、緻密に構築されたリアリティのある物語に潜り込んでいる。これは前知識なしで読んでこそ味わえる心の揺さぶりがあると確信します。

約4年前

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兎の眼

ひと昔前の話。ゴミ処理場がある街の小学校、劣悪な環境で暮らす生徒のいるクラスを受け持った新任教師・小谷茉美。やるせない出来事に悶えながらも、子供達と向き合い奮闘する。 脇を固める役者陣は、頼れる教員ヤクザに意地悪な教頭(ここで漱石の『坊ちゃん』が頭を過る)..etc...。泣くな、小谷先生。胸を張れ、こどもたち。 僕はここに描かれている境遇とかけ離れた小学校生活を過ごしたが、純粋に胸に沁みる物語は普遍的なものだ。疾うの昔に克服したと思われる小さな古い傷みを、小学生当時まで遡って肯定してくれたように思う。久方振りに清い涙が流れた。

約4年前

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