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しえす太

素敵な本に出会いたい。

素敵な本に出会いたい。

68

コメントした本

アリス殺し

夢は見ている本人だけのものである筈だが、主人公たちは夢の世界を共有し、アリスやハンプティダンプティとして“不思議の国”で生活し、そこで死ねば現実世界でも死んでしまう。 延々と続くイカれた会話は噛み合っていないようでいて辻褄が合っている。やや強引なトリックだったが、見事に騙された。軽く読める作品だが、我々は何を根拠にこの世界を現実だと信じているのかという哲学的な疑問も楽しめる一冊。

1年前

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月の本―perfect guide to the MOON

眩しい太陽と違い、夜の静かな時間に心ゆくまで眺めることができる月は、古来から人々の関心を引き、神秘的な面では想像力を刺激し、科学的な面では研究が重ねられ、1969年遂に人類は月に到達した。 本書はどの頁も月の写真だらけの嬉しいレイアウトで、神話、科学、ムー的な怪しい話、月面図、浮世絵、そして漫画や文学の紹介など、とにかく盛りだくさんで、なんと狼人間のなり方も載っている。「月」は元は「憑(ツク)」と発音したというだけあって、憑かれたように読んだ。

1年前

ラピスラズリ

城館に住まう一族の奇妙な宿命は、羨ましくも怖ろしい。彼らは《冬眠者》と呼ばれ冬の間を眠りの世界で過ごす。 銅版画を鑑賞する冒頭から引き込まれ、その絵の中に迷い込むようにして2作目3作目と読み進めるうちに、次々と変わる視点や時系列に翻弄され、“読み手である自分”という存在が揺らぎ、自分がどの“世界”に属する存在なのかわからなくなりそうだ。 物語の筋は掴み辛く、やっと掴んだと思った途端に消えてしまう儚い雪の結晶のようである。幻想に溺れたい者にのみ心を開いてくれる小説ではないだろうか。

1年前

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闇に眠る骨であるわたし

大聖堂に祀られた《思考する骨》は自らの来歴を語る。 貧しい農村に生まれ、少年愛好者の地主に愛された幼少期。医学の道に進み、死期を予見する能力に目覚めた青年期。そして壮年期、皇帝付きの医師となるも革命が起こり、皇帝と運命を共にすることとなる。 《思考する骨》という特異な存在、昔の未熟な医療、解剖学、革命期のヨーロッパ…それらが醸す退廃的な空気は、“純愛”という物語のメインテーマが霞んでしまう程圧倒的だ。

1年前

マチネの終わりに

“静寂の美”と対峙し苦悩する天才クラシックギタリストの男と、テロの生き残りという心の傷を抱えた女の物語。 「未来は過去を変える」という主題と、知的で洗練された会話の数々に魅了され、美しいフレーズを何度も読み返しては惜しみながら頁を捲った。 さらに着目すべきは、恐ろしく緻密な描写力である。思考を奥底まで掘り下げ、ふとした仕草や表情の奥にある感情までも抉り出すように描写している。 新聞連載時にも読んでいて、少しずつしか読めないのがもどかしく、10ヶ月間毎日身悶えていた。単行本化され、やはり素晴らしい物語だったと何度も頷きながら読んだ。

1年前

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竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

「ははーん、さすがかぐや姫…僕の胸を焦がすアツアツの恋心…」 豪華作家陣による、古典作品の現代語訳である。 背伸びして原文で読んでも、内容をなぞるだけで終わってしまいそうだが、この新訳は登場人物たちの細かな心情や、美しい和歌をじっくり味わうことができ、笑うべきシーンでは笑うことができる。 特に素晴らしいのは、中島京子訳の「堤中納言物語」だ。和歌を現代語でも5・7・5・7・7に訳した手腕は圧巻である。

1年前

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フォトグラフール

「私は身の毛がよだつほど嘘が嫌いである」という一行目から嘘をかましてくる写真大喜利の一冊。 写真を見て妄想したことを書き連ねているだけなのだが、流暢に語られる嘘の数々は笑いを誘う。適当にふざけているようでいて、リズム感を大切にした少々古風な文体は流石、町田康である。

1年前

はじめての和装本―身近な道具で作れます

本にするような原稿がなくても、文章が苦手でも気後れしなくていいというような事が書いてあって安心した。 収集帳としての応用方法が豊富に提案されていて、絵葉書や写真を挟み込むのは是非やってみたいし、箸袋や酒瓶ラベルのコレクションも面白い。 数種類の製本方法が紹介されているが、まずは、時代劇などでよく見る“四つ目綴じ本”と、御朱印帳のような“折り本”に挑戦してみたい。

1年前

(016)妖

谷崎潤一郎の『秘密』は僅か数十頁の短編だが、耽美な非日常の世界にどっぷり浸ることができる名作だ。 秘密を持つということの妖しい魅力に取り憑かれた男は、夜な夜な白粉を塗りたくり女の姿となって街に繰り出す。 「…鏡に映して凝視して居ると、廃頽した快感が古い葡萄酒の酔いのように魂をそそった」 秘密は秘密のままにしてこそミステリアスな魅力があるのであって、それが暴かれると同時にその魔力は失われてしまうのではないだろうか。

1年前

不思議の国のアリス・オリジナル1987年発行/ALICES ADVETURERS UNDER GROUND/LEWUS CARROLL

大英図書館所蔵の『アリス原本』を再現したもの。 函入り2冊組の美しい装丁で、1冊は著者の手書き文字が楽しめる英語版で、味わい深い挿絵は著者の手によるものだ。 もう1冊は日本語訳で、挿絵はお馴染みのテニエル。物語のモデルとなったアリス・リデルのキュートな写真も満載で嬉しい。 随分前に友人からいただいたものだが、何度読んでもワクワクした気持ちでウサギ穴に転げ落ちてしまう。

1年前

奇譚を売る店

「また買ってしまった」と呟きながら古書店を後にする男。購入した本を行きつけの喫茶店で読み耽るうち、本の内容と現実がリンクして、怖ろしい体験をする。 実店舗で店主の視線に耐えながら古書を漁るという光景が懐かしく、さらに各短編に登場する『帝都脳病院入院案内』とか『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』とかちょっとイタい題名の本が乱歩的な昭和ノスタルジーを醸している。 各話の不条理な繋がりにモヤモヤしながらも、最終話では種明かしがされ、恐怖と狂気の物語に昇華する。

1年前

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好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

SF作家の円城塔が怪談『雨月物語』を訳したと聞いて読まずにはいられなかった。 原文「雉雊龍戦」 新訳「へんなはなしばかりである」 読みやすく親しみが湧く訳だ。 『雨月物語』は9編の短編からなり、歴史から材を取り古典を巧みに引用した幻想的で哀しい趣のある怪談ばかりで、こんなに美しい物語だからこそ江戸時代から長きにわたり愛されてきたのだと納得した。

1年前

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銀河鉄道の夜 他十四篇

死後の世界の旅というとダンテの『神曲』を一番に思い浮かべるが、本作も忘れてはならない。 カムパネルラをはじめ銀河鉄道に乗車するのは、既に人生を終え“各々の理想の世界”へ向かう死者たちである。主人公のジョバンニは、人それぞれに理想や神が違い、皆がひとつの真実の信仰を持つことができないのは何故だろうと悩む。 生命や鉱物が煌めく夢のような景色の中を旅しながら、自由思想、自己犠牲、そして本当の幸せとは何か、穏やかな心で考えることができる。 沈没したタイタニック号の犠牲者と思われる人物たちが出てくるのも、当時の賢治の関心を反映しているようで面白い。

1年前

ロマンシエ

ピカソもシャガールも夢中になったリトグラフ(版画)の魅力が少し理解できた気がする。リトグラフの鮮やかな色彩には幾度となく感動してきたものの、所詮は印刷物だろうと軽んじていたが、間違いだった。アーティストが自由自在に表現でき、多くの人が気軽に所有し楽しめるのがリトグラフの魅力なのだ。 主人公のオネエ言葉になかなか馴染めなかったが、カミングアウトができない同性愛者としての悩みを抱えながらも明るく生きようとする性格には好感が持てた。幸福なラストで良かった。

1年前

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鑑賞のためのキリスト教美術事典

意外と不真面目な事典で、何故かユルいイラストが豊富。“バベルの塔の建築現場”や“ユダの接吻”の4コマ漫画はユルユルすぎて和む。 深く掘り下げるのには不向きだが、アイテムや人物を調べる程度であれば役に立つ楽しい事典。

1年前

いちばんわかりやすいハーブティー大事典

庭で雑草の如く茂っているハーブを消費する為に。 ハーブは心身の不調を改善する効能が期待される半面、高血圧や妊娠中など、体調によっては飲んではいけないものも多くあるため、それらが記載されているのは心強い。 シソ、ヨモギ、ユズをはじめとした身近な日本のハーブも収録されており、サクラが解熱に良いという事も初めて知った。 “香りを楽しむだけ”から卒業して、中世の修道士や魔女のように薬草を使いこなせるようになりたい。

1年前

罪の終わり

小惑星衝突後の崩壊した世界で物資は不足し、食人が横行する。禁断の肉を口にした人々を罪の意識から救ったのは、食人を肯定してくれる“神”だった。一人の青年が神と呼ばれるまでを描いたハードボイルドな物語である。 倫理観について深く考えさせられながらも、個性的なキャラクター達やSF的なアイテムが魅力的で途中で飽きる事もなく、脳内で映像化しながら読み進めるのが非常に楽しかった。そして3本足のカールハインツ(犬)にすっかり情が移ってしまって、最後はこみ上げるものがあった。

1年前

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彼女がエスパーだったころ

巻末の宮沢賢治の引用にゾクリとした。 短編ということもあって気楽に読んだ一冊だったが、本質を見極めきれなかった自分にがっかりして再読した。 科学と信仰の世界の間で生きる現代人は、科学的に証明できるか否かで、真偽の判断をしがちだが、今一度考え直す必要がありそうだ。 表題作も良かったが、脳の可塑性について書いた「ムイシュキンの脳髄」が特に気に入った。

1年前

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新ハムレット

「僕は、大馬鹿野郎だ、いったい、なんの為に生きているのか」 あまりに太宰的なハムレットである。 先ず、はしがきが面白い。著者自身も言っているが自己弁護だらけで笑えてくる。「原作の註釈書でも新解釈でもない身勝手な創造の遊戯に過ぎない」とのことで、ストーリーはかなり変えられている。台詞も昭和のモノクロテレビから聞こえてきそうな口調で、懐かしいような親しみを感じるような、そんなハムレットだ。

1年前

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フランダースの帽子

「わたしは消えてゆく記憶を惜しんだりしない。どのみち、ぜんぶ抱えこむことなどできないのだから」 小説というのはノンフィクションでない限りは作家の作り上げた嘘の世界を楽しむものだと思うが、これはまさに読めば読むほど嘘に感染してしまう物語だ。しかし決して不快ではなく、心地良く、そして頭を使いながら物語に仕掛けられた数々の嘘の世界に浸ることができた。 こんな嘘に騙されてみたいし、騙す側にもなってみたい。

1年前