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読んだなら、書こう、なるべくならば

読んだなら、書こう、なるべくならば

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コメントした本

薬屋のタバサ

並ぶのはなじみのある言葉なのである。ただ、それらが文章として物語として、さざ波のようにこちらへ寄せてくる時、ひやりとした感触とともに、どこか見知らぬ場所へ飛ばされ、迷子になってしまったかのような不安、不穏におそわれる。ややも気色の悪い、今の今まで触れられたことのない箇所、自分でさえも気づいていなかったそこに手をそっと添えられたかのようななんとも言えない気色の悪さと驚きに、読み終えて後、私もまた「放心」させられていたのだった。

12日前

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テリ・ワイフェンバック The May Sun

クレマチスの丘 IZU PHOTO MUSEUM における展示 '' the may sun '' の図録。 テリ・ワイフェンバック、初の個展。展示数は決して多くなかったが、何度も見返し後ろ髪を引かれるように、もう一度、もう一度と '' the may sun'' '' the politics of flowers '' 二つの展示室を行きつ戻りつした今日。 買って帰り、ホテルで眺め、また眺める今。手元に残せたこの一冊はもうすでに宝物である。

7か月前

離陸

離陸。彼、彼女達の突然の死と不在を掌にじっと握るうち、語り手たる佐藤弘、サトーサトー、イローはその比喩に到達する。 文庫帯文にある彼、佐藤本人の言葉にあるように '' 距離というものは、自分とどこかにいる人との位置関係にすぎないのではないか。相手がいなくなれば、二点のうちのひとつが消える。距離も消える。消滅する。'' サトーサトー、佐藤、イローにとって彼、彼女たちはいなくなったのではない。離陸したのだ。まだ距離は存在する。消滅などしていない。いつか近づける。そばに行ける。その願い、祈りは確かに胸を打つ。 のだが、のだけど。

8か月前

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ギケイキ:千年の流転

駆ける、駆け、巡る。早業である。町田康の文体がその加速度、疾走感を更に増幅する。 いわゆる、つづく。To be continued…な、本書は 「やっと会える。やっと兄に会える。」 と兄、頼朝に思いを馳せ、追う義経の誰にも見えないスピードで駆けゆく姿でひとまずの終わりを迎える。 この後の義経と頼朝の関係を何とはなく知ってるとゆか、教わったり、読んだりした知識でしかないが、知ってる聞いてる自分からしたら何だか切ない。が、これから起こる事に期待はあるし、ワクワクもする。 さぁさ、『ギケイキ』これより ハジマリ、ハジマリィ だ。

11か月前

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不滅の書

文庫版にて「イモータル」に改題された本書。 immortal、すなわち不滅となり、受け継がれてゆく智慧とその媒体となる本にまつわる物語は時と場所と語り部を次々に変え、そして戻る。いや収束する。そこはかつてのインドであり、アレクサンドリアであり、パリ、東京である。 漠とした物語だと思う。どんな小説なの?と問われて、ストーリーを語ったところでこの物語の滋味は非常に伝わり難い。 だが、地に打ち伏した目を夜の闇と光る星に向け、「堂々としていろ」と背を叩かれる。すべての先達からその智慧を受け継ぐことを、何度でも顔を上げ、胸を張り、語り継ぐことを呼び起こされ、促される。それは確かだ。

12か月前

第三帝国

第三帝国、かつてのナチス率いるドイツがうごめいた時代のヨーロッパを舞台にしたボードゲームとそのゲームのチャンピオンたる語り部ウド。 彼のバカンスの始まりと共に物語は動き出す。バカンスのためドイツ人である彼が選んだのは、かつて両親と訪れたことのあるスペインの土地、ホテル。 本来、開放的に日々の垢、澱を落とすはずだったその土地で彼は、またゲームのボードを開き目の前に戦争を展開する。 陽光あふれるバカンスの地において生っ白いウドの肌は異質を徴し、そして、ウドの対戦、また対話相手として登場する不穏な男〈火傷〉彼の肌もまた、その引きつりとかさぶたによって異質を際立たせている。 これは一体、何が起こりつつあるのだ?語り部ウドの心情同様にぼうばくとした不安を抱えながらも行き着く場所が予め分かっているかのような確信もまた握りつつ、読み進む。 読み終えて、しばらくこの物語の霧に未だ包まれたかのようでいる。妙な、ただただ妙な…今はまだそうとしか言えない。

約1年前

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ヤマネコ・ドーム

混血戦災孤児、GIベイビー、括られ方は様々なれど戦争と占領により生まれた子供たちの半世紀。終着点は東日本大震災。 晴れた夏の日に落下する彼。溜め込んだ濁りを定期的に爆発させる彼。そして呪いのように浮かぶオレンジという色。 ここかしこに放射能という不可視の恐怖を思わせ、示唆する場面、キーワードが描かれる。 「なぜ?どうして?」ずっと問われ、問い続けてきた声に答えは無いままに終わる。 いや、終わってはいない。その問いは私たちが応え、また私たちが問い続けなければならない。

約1年前

Xのアーチ

アチラと思えばコチラに。闇へ、光へ。黒へ、白へ。見失いそうになりながら、ようやくつかんだと思えば、もだえる、暴れる、震える、いななく。もう、ダメか。諦めそうになりながらたどり着いた火山の噴火口。そっとこぼれ、舞い、昇る名。 時間も、読む体力も確かに削られる。が、等しく、いや、分厚く塗り直される。それは否応なく。 スティーヴ・エリクソン。その幻視力、圧倒的。

約1年前

ウエストウイング

椿ビルディング。 もう、ずい分と古いビルらしい。暗く、湿った空気をまとい、取り壊しの噂さえある。 その建物の西棟、ウエストウィングに通い、働き、学び、する人達。ネゴロ、ヒロシ、フカボリ。 彼ら三人の語りを軸に物語は進む。三人三様に向き合う不安や課題は、身につまされるものがあり、想像される背景は常に灰色に暗く潰れている。 ただ、なんであろう。しんどくない。むしろ、最近の雨、続く天気に少し沈んだ気持ちから何とはなくすくわれたかのようでもある。不思議な小説だ。

1年前

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ダンス・ダンス・ダンスール 1

破天荒かつ繊細かつ真剣、だからこそのバカ。突破する者の物語。まさしく、ビリビリ ビカビカ ドッカーン だ。 ジョージ朝倉、ここにあり。

1年前

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忘れられた巨人

記憶と忘却。記憶も忘却も私、貴方、彼、彼女による日常の営みであり、その記憶、各々の主観により様々に変容するそれら記憶は「事実」を「史実」に変える。 アーサー王という実在、不在が未だ解き明かされてはいない伝説の人物が亡くなってしばしの物語。 この物語、歴史の主観は誰のものなのか。語り部は?アクセル、ベアトリス、ガウェイン、ウィスタン、エドウィン、常に三人称の登場人物。最後の最後、唐突に現れる一人称。その存在。その役割。 示唆的な登場人物達と彼らの会話、行動は一読だけでは読み取れない意味が散りばめられている。いつかの再読必須。読み終えた誰かと語り合いたくなる一冊。

3か月前

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からくりサーカス 1

さあ、始まる。長い、長い冒険譚。遂に文庫化。 幾度も心を震わせ、そして奮わされてきたあの記憶。鳴海、勝、しろがね、そして数多くの光も影も濃く際立つ登場人物と人形たち。 歳を重ね、白髪も増えた。だけど、僕はきっと涙だって流し、そして、たくさん笑うことだろう。 既に次巻が待ち遠しい。

8か月前

トーベ・ヤンソン・コレクション 2 誠実な詐欺師

もう早、春に近しい今であるが、冬に読む本として毎年とは言わずとも繰り返しこの本を冬に僕は読む。 トーベ・ヤンソンは「ムーミン谷」シリーズで広く知られた作家だが、過去、放映されたアニメと巷にあふれるグッズによりどこか誤解されていることが多い気が僕にはする。彼女は画家であると同時に小説家である。 「ムーミン谷」シリーズはもちろん素晴らしい。が、このトーベ・ヤンソンコレクションシリーズを僕は推したい。 そしてその中でも特にこの『誠実な詐欺師』は怖ろしくも秀逸な一作だ。 カトリとアンナ、マッツと名もなき犬、彼らが過ごした一冬の共同生活。その中で起こる各々の変化は劇的であり、何とも心を乱される。が、同時に、それらは冬の深い雪に音を吸われたかのように、静かであり、乱された心を冷やし均す。 また、いつかの冬、この本を僕は読むだろう。

10か月前

ジョージア・オキーフとふたつの家 ゴーストランチとアビキュー

ジョージア・オキーフとふたつの家。ゴーストランチの家とアビキューの家。それらは心身共に疲弊し、ついには病んでしまった彼女が移り住んだニューメキシコのたおやかな山々と砂漠、苛烈に変化する季節に囲まれた原地独特の壁と扉、そして、美しくも堅固な梁に支えられた屋根によって象られる。何とも素朴でありながら目を惹く外観。それは、そこに住まい作品を生み出す彼女。ジョージア・オキーフそのものに近しい。彼女は家の壁に大きく開かれた窓から、はしごをかけた天井から山々を、川を、空を、砂漠を、道を眺め、見出し、描き続ける。 オキーフとその作品について詳しく述べられるほど彼女のことを知ってはいないが、彼女の描く色数の絞られた抽象的な風景画、特に扉のシリーズにはとても惹かれていた。 本書にはそれら作品群の原風景となる写真と作品が並び掲載されており、思わず長く見入ってしまう。 端正に整えられた室内写真も数多く収録されており、建築写真好き、アーティストの部屋、現場好き?にも一見の価値あり。

11か月前

なつみはなんにでもなれる

年末を終え、年始を迎え、足元があやふやなほろ酔い加減で立ち寄った書店で目に留まり、手に取ったこの本。 …完敗です。なつみちゃん。 あさり、にはもうおじさん完敗どころか、乾杯である。

約1年前

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首折り男のための協奏曲

伊坂幸太郎は、誰かと話したく、語りたくなる小説を書く。 解説にもあるが、つながり、と、断絶にいつもながらほんろうされる。途切れるからこそ、つながりに目が向けられ、そして、そのつながりに、断絶によって生まれる謎めいた事ごとに様々な推測がよび起こさせられる。 首折り男と呼ばれる大藪と彼と容姿はそっくりなれど、性格はまるで違う小笠原。そして、時空のねじれの話。ああ、話したい。こうじゃないのかな?そうじゃないのかな?

約1年前

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日本人の身体

日本人の、と前置きはあるが、決して讃歌でなく、懐古論でもなく。著者の「現代人は自分の身体を気にしすぎるのではないか」という疑問から発せられる様々な提議と、かつてこうあった、そしてそうあれるはず、にまつわる様々なヒントが散りばめられている。 昨今の若さ至上主義?を打ち出す各メディアに疑問符しか浮かばない40代に突入した自分にとって「花」という考え、見方はとても響いた。

約1年前

螺旋

トマス・マウド「世界の約半分の人の読書習慣を変えてしまった」正体不明の作家とその作家を探す旅に出る編集者ダビッド。 ゆったりと、しかし力強く流れて行く物語、魅力的な登場人物達と共に解った謎の作家の正体とラスト。久方ぶりに楽しくも素晴らしい読書をしたと言える一冊だった。

約1年前

箱崎ジャンクション

読後感は、鈍く、重く、苦しい。が、引き込まれる。決して気持ちの好い話ではない。途中で投げ出しても良い。にもかかわらず、そうさせない。いや、させてくれない「果て」からの語り、呟き。 「お客さん」 「川上さんよ」 「室田さんよ」 呼びかけの言葉、一つ一つが粘り気を帯びていて、頭に張り付く。

1年前

地図と領土

ジェド・マルタン、ある架空のアーティストとその作品、彼やそれらを耳に目にしているような錯覚と現存するアートの潮流、市場についての描写にページをめくる指が早まる中、唐突に登場するミシェル・ウェルベックという本作品作家と同様の名と経歴を持つ小説家。 そして、事が、事は起こる。 「世界を説明したい」 その末に至ったジェドの表現。目にしてみたかった、が、既に目にしたかのようにも思えるのは何故だろうか。 他のウェルベック作品に比して、確かにとっつきやすい感はある、が、しかし、やはり、ウェルベックはウェルベック。その読み応え、半端なものでない。

1年前

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