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マシマロウ

若い頃は若い連中が読まないものを、歳をと…

若い頃は若い連中が読まないものを、歳をとってからは青くさいものを好む天邪鬼かもしれません。よろしくお願いします。

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コメントした本

冬空トランス

可愛すぎる名探偵・樋口真由と、弱小映画研究部長・遊佐渉のコンビが、謎を解き明かしていくシリーズの3冊目。今回は、二人がが3つのトリックに挑戦する。観覧車、校舎、放送室という密室で事件が起こるのだが、その日常性に比してトリックそのものが少し非現実的な感じがした。ただ、楽しみはこの二人の関係がどう進展するかにもあり、次に期待したい。

10か月前

ストレイヤーズ・クロニクル ACT-3

考えてみれば、これまでも人類は数々の試練を乗り越えてきたわけで、現代が最良の状態とは言えないまでも、少なくともこの地球上ではあらゆる種をさしおいて我が物顔に闊歩している。たぶん、大いなる勘違いをしながら。 そんな人類に警鐘を鳴らすかのように、人類に危機が迫る小説はいくつかある。ある時は、地球外生命の到来。ある時は、突然変異による新人類の登場。 この小説では、人間が作為的に人間を進化させ、人類のさらなる飛躍を画策する。そのようにして作られた人間(?)が与えられた超人的な能力で自らの運命に立ち向かう。

10か月前

ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1

石ノ森章太郎作『サイボーグ009』を彷彿とさせる設定だ。ただし、この小説では4人の超人的な能力を与えられた男女が活躍する。そのグループを統括する若手の政治家は、決してギルモア博士のように正義感からメンバーを動かすわけではない。そして、同じように特殊能力を持つ敵対グループとの戦いを余儀なくさせられていく。彼らは主義理想のためでも、私利私欲のためでもなく戦う。その戦いに意味はあるのか?ACT-1の最後、リーダー格の主人公は、この仲間の側にずっといると誓う。安らぎの日は来るのか?ACT-2〜3へと続く。

10か月前

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珈琲屋の人々 ちっぽけな恋

正義感から人を殺めた過去を持つ『珈琲屋』の主人・行介と、離婚後に実家に出戻り家業を手伝う彼の幼なじみの冬子。たがいに惹かれ合いながらも、自分が幸せになってはいけないと考える行介は自分の気持ちに素直になれない。 そんな曰くつきの喫茶店には、その過去を持つ行介に罪の意識に苛まれた人々が ひきつけられるかのようにやって来る。罪は弱さから生じる。そんな弱さを持つ人々は、きっと行介の強靭な肉体の中の繊細なやさしさを欲するのだろう。やさしさは弱さでもあるから。 それにしても、この結末は……。 また、続編を読まなければならなくなった。

10か月前

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烏に単は似合わない

たぶん、ジャンル的に、自分の趣味からはいちばん遠いと思われるファンタジーと思い読み始めたのだが、いい意味で裏切られた。弱冠20歳で松本清張賞受賞しただけに、大人な読み物としても十分だし後半のさまざまな謎解きも楽しめた。 人間と鳥形の両方の姿を持つ八咫烏の一族。貴族階級ははしたない事だと人間の姿のままで暮らす。その最高位にある宗家の若宮の妃候補として、4人の姫君が桜花宮と呼ばれる宮廷に集う。いずれの姫君も美貌と個性豊かな魅力的な女性たち。しかし、その裏には、さまざまな感情と権謀術数が渦巻く。 この若き作家の優れた資質は、物語の構想を築くための想像力、そして人間、とりわけ女性に対する洞察力だろう。

10か月前

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無垢の領域

人が判断を誤る時は、どんな時なのか?どんなファクターが影響するのか?自分が誤った時にはそれこそいくつもの言い訳を用意するのに、他人の誤りには同情を装いながら自業自得だと冷淡に割り切れてしまう。 この小説の中の登場人物たちは、全て判断を誤る。誤った判断の結果を読者は突きつけられるので、いい気持ちはしない。唯一生活能力に欠ける25歳の女性のみが、人間関係のしがらみの中にいないので純粋に生きていけるはずなのだが……。 用意された「驚きの結末」も予測できるものであり、この作者にしては物足りない気がした。

11か月前

幻影の星

白石一文氏は、どこへ向かおうとしているのだろうか?どうも、迷走しているように思われる。全く同じコートが、同時に別の場所に存在する謎。その謎を追いかけて読む進めていく作業は苦ではなかった。しかし、「過去も現在も未来も全部ここにある」と太字で表記されている(201ページ)氏のこの主張に共鳴できないと、モヤモヤが残るだけだ。

11か月前

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自薦 THE どんでん返し

私は決してミステリーファンではない。謎の解明にあくせくして途中で唸りながら読み進めるというスタイルよりも、流れに沿って先を読み進めたくなるタイプという意味で。謎が解けなかったという悔しさより、完全なトリックに引っかかる快楽を好むという嗜好ゆえに。映画でも、最後の最後でどんでん返しがあるとお気に入りに入れてしまう。 名うての作家が「どんでん返し」というテーマでしかも自薦した作品を集めたアンソロジー、味わいもバラバラでそこそこは楽しめたのだが……。 法月綸太郎氏の作品の中で、ある登場人物が次のように述べるが、ミステリー作家の方々の苦悩が滲み出ているように感じられた。 「探偵小説なんて、脳軟化症の迎合主義者の読み物だ。くそみたいな演歌と同じで、聞いたことのあるメロディと聞いたことのある歌詞の順列組み合わせで成り立っている。果てしない改訂版、果てしない供給」

11か月前

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森は知っている

吉田作品にしては、異質な産業スパイの物語。娯楽性十分のスピード感、展開を予測させないストーリー、そして何より魅力的な登場人物たち。一気読みでした。実は、『悪人』や『怒り』をはじめとする人間の根源的な悪、または『7月24日通り』や『初恋温泉』のような恋愛、または『横道世之介』のユーモラス路線、または『パークライフ』で見せた純文学の筆致、は予測していた。しかし、この作品はいずれにもカテゴライズされない。この作者の作品は、とんなジャンルであれ水準以上のものだ。このようにして、また彼の世界にのめり込んでいく。

11か月前

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パーク・ライフ

きっと、外国に行き意味がわからない標識と出会ったらこんな感じなのかもしれない、と思わせる本。 しかも、その標識のセンスがよくてつい目をとめてしまう。そこで、はてと頭をひねる。この中にはどんなメッセージが込められているんだろうか、と。 そもそも『パーク・ライフ』の「パーク」にはどんな意味が、ポップな表紙の絵の中にどうして刃物(?)を持った人物が描かれてるいるのか、主人公が出会う女性は最後で何を決めたのか……。 考えて、考えて標識の意味がわかれば、すっきりするんだろうな。でも、現実の中にも曖昧なものって結構あるわけだし、ま、それはそれでいいかな、とも思える。

12か月前

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阿弥陀堂だより

人に本を勧めるのは、非常に難しい行為だ。だから、お勧めの本を尋ねられると「合わなければ無理して読む必要はない」などと一言付け加て紹介することになる。そんな私が、是非読んでみてと言いたくなるような本に出会った。主題、ストーリー、人物、背景、これらが全て破綻なく一つの世界を作りあげていると、この小説は思わせてくれるからだ。この中の、誰かが欠けても、何かが置き換えられてもならない。無駄な言葉もない。ああ、小説ってこういうのを指すんだなぁ。

10か月前

ストレイヤーズ・クロニクル ACT-2

漫画は小説に近づき、小説は漫画に近づいたのだろうか?限りなくその境界線をなくしつつある。同じ出自を持つ二つの敵対グループのメンバーは、それぞれ特殊能力を持つ。「僕」という一人称で登場する主人公に肩入れしつつも、どちらにも戦うべき理由や事情があり、その正義と悪の境界線も曖昧になっていく。この先、どんな結末が待っているのか?

10か月前

約束

おそらく、この作者は意図的に読者を泣かせようとしている。それがわかった上で、そこから生じる反応は二通りある。ひとつはその意図が見え透いて、読むのが苦痛になる場合。ひとつはその意図がわかった上で、それでも物語に引き込まれていく場合。この作品は、もちろん後者だ。あとがきに「(容赦ない暴力などより)病や喪失から生きることに立ちもどってくる人間を描くほうが、何倍も力強い。単純にそう信じているのです」とある。その信念がぶれないからだろう。

10か月前

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論より詭弁 反論理的思考のすすめ

野崎昭弘氏の『詭弁論理学』が、大変おもしろくさまざまな「詭弁」に興味を持ち始めのが学生時代で、その頃からなんだか素直さをなくしたような気がしてならない。確かに、詭弁によって相手をやり込められたら快感ではあるが、この本を読むことで少し自戒したい気になった。 議論(言い合い)は対等な人間関係において正当なものになるが、そういうものは現実世界では期待できない。偏った力関係の中で議論する。しかも、相手の主張や論理を論破するのではなく、相手の人格や過去を引き合いに出してやりこめる例は後を絶たない。 あとがきにこうある。 「私も詭弁の研究に精を出し、こんなことばかり考えているせいで、少しは性格が悪くなったようである。ちっとも楽しくはないが。」

10か月前

天使のナイフ

法と秩序を象徴する天秤を持ち出すまでもなく、罪と罰とバランスとることの危うさは常に私たちに不安をもたらす。犯した罪に見合うだけの罰をどのように量刑として測るのか、またそれを金銭に換算すると妥当な金額はどうなるのか、誰もが納得できる解答があるわけではないからだ。ましてや、少年の犯罪になると天秤の皿は一挙に傾く。少年であるがゆえに罪に問われることはないからだ。少年には可塑性がある、だから罪を憎んでも人を憎まず、の論理は人権を尊重する精神には心地よいが、そこには被害者やその関係者の心情がスッポリ抜け落ちている。そのような少年犯罪に真っ向から対峙したこの小説はミステリーとしてだけ読むのではなく、人間という存在を考えるテキストとして読みたい。

11か月前

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「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学

「わかる」とはどういうことか「わかる」ために読んだが、よくわからなかった。「わかる」ためには記憶と知識の網の目を密に作り上げる必要があり、それが不十分な段階ではやはり「わからない」ということになりそうだ。

11か月前

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世界は分けてもわからない

この、一冊の本の中にある魅力は3点にまとめられる。 ①知的好奇心を満たしてくれる。 ES細胞からコンビニのサンドイッチの保存料のソルビン酸の解説から、夜空の星が見えるわけ、イタリアの画家カルパッチョの絵の謎など話が多岐にわたるが、決して雑学の羅列ではなくテーマに沿った内容になっている。 ②科学に対する深い愛情が感じられる。 表現が比喩的なものになり、ご自分でも「いささか擬人的しすぎているかもしれない」と書いておられるが、それは科学に、科学をする者に、そして科学のことを知りたがっている読者に対する深い愛情が あるからだ。 ③テーマが明確で、それでいて深い。 エピローグは次の一文で結ばれる。 「世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けてもわからないのである。」 そして、これらの魅力を引き出しているのは、何よりその文体にあるのだと思う。

11か月前

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そこのみにて光輝く

もし自分に小説を書くことができるとして、実際に書くのであれば、ひとりの人間を主人公にたて、その主人公が別の人間に出会うことで話を紡いでいくことになるだろう。いや、特異な例を除いて物語はそうすることで動き出すはずだ。だとすれば、その出会いの場面がいかに自然であるかに力を注ぐべきだろう。その偶然から産み出される必然が説得力を持つ時、自分は安心して物語に身を委ねることができる。 作者は、高校時代より小説を書き始め、三度の芥川賞候補、さらに三島賞候補となりながら、無冠のまま自ら死を選んだということだ。同時代の作家として中上健次(彼もまた短い生涯だが)や村上春樹がいるが、早すぎる死を選ばなければ彼らと比べて遜色のない作品をもっと発表できたのではないかという気がする。 自分もまた、この小説との出会いから新たな発見があった。ならば、新しい物語が始まるはずだが…。

11か月前

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アカペラ

長すぎるわけでもなく、短すぎるわけでもない。ちょうどいい長さの中編が3篇収められている。ダラダラと過剰に説明されるほど長くない。物足りなさを感じさせるほどには短くはない、という意味だ。決して生きるのに器用ではない人たちの、少しだけ普通というスタンダードからずれた人生は切なさが漂う。それでいて温かい。 今年最後を締めくくる本として出会えたことに感謝したい、そう思わせてくれた。

12か月前

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ふわふわの泉

表紙やタイトルから乖離したハードSF。 とある高校の化学部部長を務める女子高生。彼女が偶然作り出した、ダイヤモンドより硬く空気より軽い物質をめぐる破天荒な物語。様々な科学的な情報・知識を下敷きにし、宇宙エレベーターやカタパルト、光子を生命活動の源にする情報知性体など本格的な内容。一方、登場人物はライトノベルに登場しそうなキャラクター。その取り合わせが、少し違和感を醸し出す。個人的には、ハードな側面を貫いてほしかった。

12か月前

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