孤独への色づけ。って表現が一番合ってるような作品だと思う。キッチンから見える星空は一段と輝いて見えて、その空間が自分の孤独にマッチして落ち着く安らぎの空間へと変わっていく。自然と訪れる孤独への向き合い方は難しく、誰もが目を逸らしがち。孤独と真正面から向き合うと、辛酸や苦渋を味わって抜け出すのが難しくなるけど、そういう情を貴重だと考えて一生懸命受け入れていけば、自分が今まで作り上げていた世界がほのかに色づき始める。そのほのかな色づきこそが人間らしくて、吉本ばななが大切に表現してることだと思った。そういうふとした瞬間にしか味わうことができない貴重な感情を綺麗に表現するのが吉本ばなななんだなとも思った。
キッチンはドラマチックな場所らしい。それを教えてくれたのは吉本ばななでした。