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Koppepantaro

身の丈五尺八寸、中盛無料と戦う日々、時々…

身の丈五尺八寸、中盛無料と戦う日々、時々大盛

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コメントした本

無痛

医療を土台としつつ、とある殺人事件をメインにすえて、刑法三十九条の不条理さを問うミステリー。様々な問題が主軸の周辺で取り扱われ、刑法や医療制度の課題などが次々とあらわれてくる。考えさせられる部分も多い。 「二〇〇三年に三十九条で不起訴になった精神障害者は六百四人。そのうち七十四人が殺人を犯していた。日本のどこかで毎月六人が精神障害者に殺されている計算になる。この法律は、泥酔者、薬物使用者にも適応される。」 同年の殺人事件による被害者(死者数)は、六五七人。この年は少なくともひと月に二人程度が殺されており、その加害者のうちの七十四名が三十九条により不起訴ということになる。統計によると、殺人を犯して同法によって不起訴となる者の数は例年百人前後であまり変動しない。 とどのつまり、657分の74、となる。 この数字の意味を嫌でも考えさせられてしまう本だった。

14日前

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これは水です

"人生において、もっとも自明で大切な現実は、得てしてもっとも見えづらく考えにくいものだということ。文章にしてしまうと陳腐な表現ですが、社会人としての日々の生活の中では、この陳腐な表現が、生と死に関わるくらい重要になりえるってことを、この渇いた快晴の朝に、君たちに伝えたいのです。" 自分自身を啓蒙する、真に自由な生き方について。 最悪な主を撃ち殺して、ついでに終わってしまった優しい人の、何気ない風を装った、命懸けの警句。 諦められないものを、諦めてはいけないものを、諦めないための戦い方にも思う。 追記 このスピーチの全文訳はネットでも公開されています。

23日前

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ブラックライダー(上)

ハードボイルド終末SF×ピカレスクウェスタン。 マイナス二十度のカンザスシティから、実録マッドマックスのメキシコへ。全てが壊れた後の世界で始まる黙示録、その終わりまでの物語。 「こうなったら」ロミオは弟に言った。 「『生も死も冷たく見ながせ』だ」 「ああ」スノーが応じた。 「『行け、騎馬の男よ』」 今年読んだ中でダントツの一番面白かった本。 たぶんこの先も何回も読むと思う。

23日前

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英国一家、日本を食べる 上

ラグビーワールドカップ観戦で来日した外国人観光客と日々すれ違い、スーパーの惣菜コーナーをおっかなびっくり探索する姿をそっと見守り、そして試合日には楽しげにコンビニ前でスナック片手にホクホクと酒盛り(準備運動?)をする彼らを目の当たりにして、今こそ読むべし、と満を持して手に取った本作。 早々に、それなりに海外生活経験もあることで逆にステレオタイプなイメージを持っていた自分を発見した。スーシ、テンプーラ、テリヤーキとかしか食べないでしょ?とか、サシーミは無理でしょ?とか。まさか出汁にこだわるなんて思ってもなかったし、本ワサビの価値を切々と説かれるとは。甘いタレの魔力はそれほどなのか…とこちらが感心した。本作の主人公であるブース家の面々ががっぷり四つで向き合った料理はみな、こちらが思うよりはるかに「日本的な」日本食だった。それらを「美味しい」と感じてくれる、その不思議さや、多様性の懐の深さが何とも面白い。食感に対する鋭い考察は、外国人ならではの着眼点なのでは?文化の外側はこうやって、思いもよらない気づきを与えてくれるのだよなと改めて感じた。下巻も楽しみ。

約1か月前

オーケストラ楽器別人間学

"オーケストラは、せーの、でみんなが、それも個性長所欠点限界をいろいろに抱えた連中が、いっせいに一緒にやる、ということが必要になってくるのである。いずれもひと癖ある特殊技能者の集まりでありながら、集団でなければ成り立たないというところに、オケのおもしろさヤバさがある。" この「ひと癖」をテーマに、オーケストラをバッサリ切って独自過ぎる見解を述べたのが本書。ほとんど妄想なのにどんどん本当っぽさが増して、気がつけば猫がホルンを吹いているような気がしてくるから怖い。読みながら、自分ならどの楽器かなぁとワクワクしながらアレコレ想像してみた。気分はすっかり"オーケストラ楽器別人間学"の受講生。楽しい本です。

2か月前

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園芸家12カ月

草木のためなら、神への祈りもとことん厚かましくなれる。それが園芸家である、と。 ひたすら土と向き合い、振り回され、期待して裏切られ、時に宥めすかして懐柔するも結局、「思い遣りのない北風」などによって台無しにされる。しかしめげるどころかなお一層のめり込んでいく、この庭という世界に広がる魔力のようなもの。植物を育てる全ての人に、小さな(或いは大きな)共感を生ませる一冊。 基本的に庭からお尻しか出てないチャペックさん、それが何故かは読めばわかる。読まずにわかれば園芸家。

2か月前

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アホウドリの糞でできた国―ナウル共和国物語

ほとんど絵本のような体裁で、10分もあれば読めてしまうぐらいあっさりした作品。けれど内容は意外と深い…かもしれない。 伝説のオーストラリア政府公式発表 「ナウルと連絡がつかない」(…⁈) 国家まるごと行方不明になったことがあるナウル。国際社会というオトナの集まりに、裸んぼの園児が如き素朴さでトコトコやってきてまぁ散々、でも悩まないナウル。ハッピーゴーラッキーをまさに地でいく彼らの紆余曲折が、寄藤さんの愛らしいイラストでユーモラスに描かれている。 とにかくダメダメだったけど、いよいよどうもならんとなった時、かつて独立を決意した時のような前向きさで、もう一度頑張ろうと立ち上がったナウル。危なかっしいけど、意外とたくましい彼らにエールを送りたくなった。頑張れナウル、でも儲け話には気をつけて!

3か月前

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そして誰もいなくなった

“恐怖って——なんて不思議なんだろう!” “人を殺すなんて、あれだけのこと——わけなかった!” 絶海の孤島に閉じ込められた10人。一人また一人と消されて、最後には本当に「誰もいなくなる」。最後の最後で「そんなとこから見てた⁈」と驚愕、読み終わった途端、一気に最初に戻って確認したら… …ね? 初版は一九三九年。今読んで、全く古臭くもないし色褪せてもいない。端正な文体で刻々と描かれるこの殺人劇、アガサ・クリスティー流石!

4か月前

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清須会議

現代語訳でめちゃくちゃにした清洲会議、でも実際のところ、こんな感じの濃ゆ〜い人間ドラマが繰り広げられていたのではなかろうか…と思ってしまう。肉離れだ!は本当に吹き出しました。原作とあわせて映画も是非観てみたい。個人的には前田玄以リーダーの期待値がすでに特大。

4か月前

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全ての装備を知恵に置き換えること

著者自身が語る、ある映画の紹介がまんまこの作品を言い表していたので、抜粋。 大陸から離れ、海や空を隔てて、住んでいる場所を見つめ直してみること。周縁から中心を見据え、辺境から都市を眺めると、自分の中に描いた世界が変化する。たとえ実際に空へ飛び出さずとも、ふとしたことによってあらゆる土地や考えから自分を離陸させること。この作品はそのようなきっかけになりうるとぼくは信じている。 タイトルの言葉は、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードのセリフです。

5か月前

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ハサミ男

あるところまでは、物語は淡々と進んでいった。少しずつ狭まる包囲網、徐々に現れ出す証言、じっくりと読み進め、そこでこうくる。 「きみがハサミ男だったんだね。」 本来なら、そうか!お前が!と楽しめる種明かしの開幕が、…え? ……え⁈ と混乱のど真ん中に叩き落される、この衝撃たるや。 これがいわゆる、叙述トリックというやつなのですね…となかば放心しているうちに気がつけばエピローグ。ズルい、でも凄く面白い。作者が丁寧に掘った落とし穴にスポーンとハマる気持ち良さが味わえる小説。

20日前

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ブラックライダー(下)

ブラックライダーだってそうさ、 世界がどんなに泣こうがわめこうが、おしまいまで自分のちっぽけな理由を失わなかったんだよ。 「逃げたきゃ、お前ひとりで行け」

23日前

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英国一家、日本を食べる 下

ビール片手にスタジアムで合唱する時。 同じ情熱に価値を感じ、それを讃えあえる事が出来る瞬間は文句なしに楽しいものだ。 そして、たまにはハイネケンも悪くない。 コンビニスナックの魅力を知ってしまった彼らが、アチチチ!となりながら白くてふわふわの肉まんを嬉しそうにパクつく姿とすれ違う度、ああそれはオイシイやつね、と思わず頬が緩む。 「楽しい」と「美味しい」を分かち合う事が出来れば、ひとは仲良くなれる気がする。そのどちらにも、言葉は必要ない。 「英国一家、日本を食べる」上下巻を読み終わったちょうどその頃に、ワールドカップも決着した。食べること、飲むこと、そして楽しむこと。 異なる視点からもこのお祭りを味わってすっかり満足してあー楽しかった、と思いつつ試合後の夜道を歩いていると、相変わらずコンビニ前でホクホク大合唱中。しこたま飲むなぁと感心していると、よく見れば彼らの多くが手にしているのは日本の発泡酒&焼き鳥串。すっかり馴染んじゃって…と思わず笑ってしまった。

約1か月前

ライフ・ゴーズ・オン

“なにかの外側にいるような感覚。忘れかけていたけれど、ぼくはここ以外のどこにも存在したことがない。その意味で、つまり自分の居場所を確認するという意味で、嘘をつくのは最悪じゃない。最悪なのは嘘が報われないことで、もっと悪いのは嘘が報われることだ” どこにも行き着けない現実と、取り返せるはずもない“人生の負け分”。重ならない夕焼けにせめて、同じ名前をつけることが出来たら、別の何かを選べていたのだろうか。主人公がずっと、所在なさげに佇む夕方の子どものままに思えて、あらかじめ奪われた未来を考えてしまう。 東山さんの作品はどれも素晴らしいが、本作の重たい感じに直木賞の片鱗を味わせて頂いたような気がする。クールでシニカル、胸のすくようなユーモア、カッコいい小説が読みたいならこの人に決まってる。

約2か月前

チルドレン

傍若無人な振る舞いでありながらも常にどこか滑稽で、いい加減。そんな陣内によって少しずつ繋げられていく人々、時間、関係性…。伊坂さんの軽やかなユーモアを纏いつつ随所で繰り出されるリアリティのパンチは本作でも光ってはいるが、重いテーマを扱う話ではないので、読後感は軽い。 生まれてこの方一度もダサかったことなんてない、と豪語する陣内のダサいエピソード、入ってます。

2か月前

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死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男

まず、恋をした。 矢も盾もたまらず、愛しい人の傍を選んだら、いつしか自分の手が血塗れになっていた…。 これはそんな一人の男が踏み出した苦難の一歩を、六代に渡って進め続けたとある処刑人一族のドキュメンタリーのようなもの。とにかく始まり方が凄い。こんなドラマチックなことってあるの⁈ 集英社新書で?と内心あたふたしながらもページを繰る。まるでロミオとジュリエット、映画化待ったなし!と太鼓判。とにかく冒頭で一気に掴まれてしまった。 革命以前と勃発後のフランス社会を、「処刑」というある種異様な視点から切り取って考察することができる一冊。特異点であるからこそ見える風景や抱えてきた思いが深く、考えは尽きない。タイトルは少しヘビーだが、内容は豊かで大いに学べる。おまけに(まさかの)ロマンチック!

3か月前

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ガラスの街

ドン・キホーテとダニエル・クイン、そして私とポール・オースター。作中で語られる物語の中の物語と、それの意味する、あるいは意味しない事柄。重なり続けるモチーフが、複雑さを増していくほどに迷い込む狂気の路地裏。シャレた外装とはほど遠い、とんでもないお話。そしてラストの衝撃たるや。読み終わって思わず「こんな話だったの⁈」と声に出してしまった。呆然として最初のページに戻り、著者名の"ポール・オースター"を見て、あああ〜!ってなるまでがこの本の面白さなのかもしれない。久々に文学を感じ、レジュメにまとめて発表したいような気が(一瞬だけ)した。

3か月前

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コールド・コールド・グラウンド

ジョニーウォーカーでオフィスの紅茶を景気づけ、コーヒーにはジムビーム。この辺じゃ誰もがウィスキーの川辺にテントを張っている、と嘯く男ショーンダフィ巡査部長を主人公にしたこの小説。 一九八一年、キャリックファーガス=ベルファスト=北アイルランド、という舞台設定からすでに血煙が見えてくる。謎解きに注力するというよりは、アイルランド風現代ノワール小説として正しくダーティーかつ殺伐とした日常が描かれ、ダフィの拘泥した思考と捜査を淡々と追っていく。 この時代のこの場所にあった、或いはそうあり続けた真っ黒な火種のようなものを、ページを繰りながら少しずつ学んでいくことが出来る。教科書的な意味合いもある本作、読んで良かったなと思った。

4か月前

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BRUTUS特別編集合本・本屋好き

逆襲の本屋道。ピンポイントの需要ではなく、エゴイスティックな知の奴隷たらんとする書店の心意気が好き。旅先では必ず立ち寄ります。 ポーカーフェイスで書棚を回遊しつつも、こんな本まであっちゃうの…?こんなにあって大丈夫…?と勝手に心配して勝手に立ちくらみ、気づけば数時間コースの超大型書店も嫌いじゃないむしろ大好物。しかしながら、置きたい本だけ置いている系小規模店舗でこそ買いたい本があり、得てしてそういうお店はちょっとシャレたオリジナルブックカバーをつけてくれたりして、そういうところがまた好き。要するに本屋が好きです。だからこの本も面白かったです。

5か月前

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IQ

著者いわく、「フッドの(=低所得者の多い黒人街の通称)シャーロック・ホームズ」。知性のパワーを武器に、時に学校への通学路すら命を脅かすほどに危険な街角をすりぬけていく主人公と、元ギャングの相棒。冗談みたいなラッパーといかにもな下っ端、腹黒社長などなど、登場人物が軒並みクセが強い。 マーロウのようなスタイリッシュさとは違う、漂うようなグルーヴ感。レナードタッチで味わう丁々発止のかけ合いやハードボイルドさとも違う、ストリートの意味合いが異なる地域の熱く渇いた空気感が、独特の雰囲気を感じさせる作品。 エピローグまでが本編です。ここでまさかの…と思わせて次回作に繋げるのが何ともニクい…。

5か月前

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