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Koppepantaro

身の丈五尺八寸、中盛無料と戦う日々、時々…

身の丈五尺八寸、中盛無料と戦う日々、時々大盛

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コメントした本

ライフ・ゴーズ・オン

“なにかの外側にいるような感覚。忘れかけていたけれど、ぼくはここ以外のどこにも存在したことがない。その意味で、つまり自分の居場所を確認するという意味で、嘘をつくのは最悪じゃない。最悪なのは嘘が報われないことで、もっと悪いのは嘘が報われることだ” どこにも行き着けない現実と、取り返せるはずもない“人生の負け分”。重ならない夕焼けにせめて、同じ名前をつけることが出来たら、別の何かを選べていたのだろうか。主人公がずっと、所在なさげに佇む夕方の子どものままに思えて、あらかじめ奪われた未来を考えてしまう。 東山さんの作品はどれも素晴らしいが、本作の重たい感じに直木賞の片鱗を味わせて頂いたような気がする。クールでシニカル、胸のすくようなユーモア、カッコいい小説が読みたいならこの人に決まってる。

5日前

チルドレン

傍若無人な振る舞いでありながらも常にどこか滑稽で、いい加減。そんな陣内によって少しずつ繋げられていく人々、時間、関係性…。伊坂さんの軽やかなユーモアを纏いつつ随所で繰り出されるリアリティのパンチは本作でも光ってはいるが、重いテーマを扱う話ではないので、読後感は軽い。 生まれてこの方一度もダサかったことなんてない、と豪語する陣内のダサいエピソード、入ってます。

13日前

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死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男

まず、恋をした。 矢も盾もたまらず、愛しい人の傍を選んだら、いつしか自分の手が血塗れになっていた…。 これはそんな一人の男が踏み出した苦難の一歩を、六代に渡って進め続けたとある処刑人一族のドキュメンタリーのようなもの。とにかく始まり方が凄い。こんなドラマチックなことってあるの⁈ 集英社新書で?と内心あたふたしながらもページを繰る。まるでロミオとジュリエット、映画化待ったなし!と太鼓判。とにかく冒頭で一気に掴まれてしまった。 革命以前と勃発後のフランス社会を、「処刑」というある種異様な視点から切り取って考察することができる一冊。特異点であるからこそ見える風景や抱えてきた思いが深く、考えは尽きない。タイトルは少しヘビーだが、内容は豊かで大いに学べる。おまけに(まさかの)ロマンチック!

28日前

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ガラスの街

ドン・キホーテとダニエル・クイン、そして私とポール・オースター。作中で語られる物語の中の物語と、それの意味する、あるいは意味しない事柄。重なり続けるモチーフが、複雑さを増していくほどに迷い込む狂気の路地裏。シャレた外装とはほど遠い、とんでもないお話。そしてラストの衝撃たるや。読み終わって思わず「こんな話だったの⁈」と声に出してしまった。呆然として最初のページに戻り、著者名の"ポール・オースター"を見て、あああ〜!ってなるまでがこの本の面白さなのかもしれない。久々に文学を感じ、レジュメにまとめて発表したいような気が(一瞬だけ)した。

約1か月前

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コールド・コールド・グラウンド

ジョニーウォーカーでオフィスの紅茶を景気づけ、コーヒーにはジムビーム。この辺じゃ誰もがウィスキーの川辺にテントを張っている、と嘯く男ショーンダフィ巡査部長を主人公にしたこの小説。 一九八一年、キャリックファーガス=ベルファスト=北アイルランド、という舞台設定からすでに血煙が見えてくる。謎解きに注力するというよりは、アイルランド風現代ノワール小説として正しくダーティーかつ殺伐とした日常が描かれ、ダフィの拘泥した思考と捜査を淡々と追っていく。 この時代のこの場所にあった、或いはそうあり続けた真っ黒な火種のようなものを、ページを繰りながら少しずつ学んでいくことが出来る。教科書的な意味合いもある本作、読んで良かったなと思った。

2か月前

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BRUTUS特別編集合本・本屋好き

逆襲の本屋道。ピンポイントの需要ではなく、エゴイスティックな知の奴隷たらんとする書店の心意気が好き。旅先では必ず立ち寄ります。 ポーカーフェイスで書棚を回遊しつつも、こんな本まであっちゃうの…?こんなにあって大丈夫…?と勝手に心配して勝手に立ちくらみ、気づけば数時間コースの超大型書店も嫌いじゃないむしろ大好物。しかしながら、置きたい本だけ置いている系小規模店舗でこそ買いたい本があり、得てしてそういうお店はちょっとシャレたオリジナルブックカバーをつけてくれたりして、そういうところがまた好き。要するに本屋が好きです。だからこの本も面白かったです。

3か月前

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IQ

著者いわく、「フッドの(=低所得者の多い黒人街の通称)シャーロック・ホームズ」。知性のパワーを武器に、時に学校への通学路すら命を脅かすほどに危険な街角をすりぬけていく主人公と、元ギャングの相棒。冗談みたいなラッパーといかにもな下っ端、腹黒社長などなど、登場人物が軒並みクセが強い。 マーロウのようなスタイリッシュさとは違う、漂うようなグルーヴ感。レナードタッチで味わう丁々発止のかけ合いやハードボイルドさとも違う、ストリートの意味合いが異なる地域の熱く渇いた空気感が、独特の雰囲気を感じさせる作品。 エピローグまでが本編です。ここでまさかの…と思わせて次回作に繋げるのが何ともニクい…。

3か月前

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海と毒薬

読んでおきたかった本、という事で手にとってはみたが、期待外れだった。いわゆる戦争物、加害者側のストーリーで読ませる作品なら他に名作があるし、人間とは?のテーマはまさに文学・哲学の王道、この作品がそこに並ぶのには少し違うのでは、と思った。日本人論としても、祖先神信仰から仏教との融合、独自の風土性と合わせて論じた和辻哲郎の「風土」の方が断然面白い。いわゆる無神論は日本人の大多数に当たらないし…。クリスチャンじゃないという程度で「神の不在」を主張し、作中の精神的主犯格はその幼少期から道徳心の欠如を本人が痛感しているという土台の上で、捕虜の生体解剖事件を取り扱い、それを日本人の罪の意識とは?と広げられても何だかなぁと思う。本作で著者が描きたかったものには共感も納得もしなかったが、それでも作中に一貫する厭世と倦怠の泥沼状況、凡てどうにでもなれという投げ遣りさの振り切れ方、みんなが何かを壊され、壊してやろうとする心の曇り具合はある意味凄かった。解剖中、普段と何が違うのか、それが分からないといい、分からなかったのが全てだったのかと思った。

4か月前

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ガソリン生活

望月家とその自家用車緑デミのお話。語り部のデミオとその友車ザッパの掛け合いや、隣り合った車同士の噂話を通じて謎解きが進んでいく。伊坂さんらしいウィットに富んだ発想から生まれる、車だからこその表現や展開が楽しい。 この本には、手に汗握るエンタメ感や、夢中でページを繰るようなドラマチックさはない。ないがしかし、ゆったりと聞かせる会話の妙が確かにある。たびたび、ふふっと笑いが出てくる。自分がこれまで関わった車や二輪車(○♯▲%!)のことを思い返し、彼らの会話や日常を空想してみる。あれはワイパー動いたよね、とか、開いたボンネットが塞がらないよ、とか。 カバー裏の番外編もちょっと得した気分で何だか嬉しい。読んでいて、とても穏やかな時間を味わえる、いい本だった。

4か月前

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宇喜多の捨て嫁

同時代の梟雄には例えば松永弾正がいて、こちらは気軽に領民を燃やしたりするので全く洒落にならないのだけれど、どうやら直家はノリが違うなと感じた。 理不尽な死を強いることの方がずっと多かった時代に、とことん「死」に意味を押し込めた武将だったのかなと思った。 持ち切れないほどの非業を噴き出しながら毒を喰らい続けた戦国の梟雄、宇喜多直家は静かに格好良かった。 ただ、この人の親戚にだけは死んでもなりたくない。

5か月前

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オーケストラ楽器別人間学

"オーケストラは、せーの、でみんなが、それも個性長所欠点限界をいろいろに抱えた連中が、いっせいに一緒にやる、ということが必要になってくるのである。いずれもひと癖ある特殊技能者の集まりでありながら、集団でなければ成り立たないというところに、オケのおもしろさヤバさがある。" この「ひと癖」をテーマに、オーケストラをバッサリ切って独自過ぎる見解を述べたのが本書。ほとんど妄想なのにどんどん本当っぽさが増して、気がつけば猫がホルンを吹いているような気がしてくるから怖い。読みながら、自分ならどの楽器かなぁとワクワクしながらアレコレ想像してみた。気分はすっかり"オーケストラ楽器別人間学"の受講生。楽しい本です。

11日前

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園芸家12カ月

草木のためなら、神への祈りもとことん厚かましくなれる。それが園芸家である、と。 ひたすら土と向き合い、振り回され、期待して裏切られ、時に宥めすかして懐柔するも結局、「思い遣りのない北風」などによって台無しにされる。しかしめげるどころかなお一層のめり込んでいく、この庭という世界に広がる魔力のようなもの。植物を育てる全ての人に、小さな(或いは大きな)共感を生ませる一冊。 基本的に庭からお尻しか出てないチャペックさん、それが何故かは読めばわかる。読まずにわかれば園芸家。

17日前

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アホウドリの糞でできた国―ナウル共和国物語

ほとんど絵本のような体裁で、10分もあれば読めてしまうぐらいあっさりした作品。けれど内容は意外と深い…かもしれない。 伝説のオーストラリア政府公式発表 「ナウルと連絡がつかない」(…⁈) 国家まるごと行方不明になったことがあるナウル。国際社会というオトナの集まりに、裸んぼの園児が如き素朴さでトコトコやってきてまぁ散々、でも悩まないナウル。ハッピーゴーラッキーをまさに地でいく彼らの紆余曲折が、寄藤さんの愛らしいイラストでユーモラスに描かれている。 とにかくダメダメだったけど、いよいよどうもならんとなった時、かつて独立を決意した時のような前向きさで、もう一度頑張ろうと立ち上がったナウル。危なかっしいけど、意外とたくましい彼らにエールを送りたくなった。頑張れナウル、でも儲け話には気をつけて!

約1か月前

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そして誰もいなくなった

“恐怖って——なんて不思議なんだろう!” “人を殺すなんて、あれだけのこと——わけなかった!” 絶海の孤島に閉じ込められた10人。一人また一人と消されて、最後には本当に「誰もいなくなる」。最後の最後で「そんなとこから見てた⁈」と驚愕、読み終わった途端、一気に最初に戻って確認したら… …ね? 初版は一九三九年。今読んで、全く古臭くもないし色褪せてもいない。端正な文体で刻々と描かれるこの殺人劇、アガサ・クリスティー流石!

約2か月前

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清須会議

現代語訳でめちゃくちゃにした清洲会議、でも実際のところ、こんな感じの濃ゆ〜い人間ドラマが繰り広げられていたのではなかろうか…と思ってしまう。肉離れだ!は本当に吹き出しました。原作とあわせて映画も是非観てみたい。個人的には前田玄以リーダーの期待値がすでに特大。

3か月前

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全ての装備を知恵に置き換えること

著者自身が語る、ある映画の紹介がまんまこの作品を言い表していたので、抜粋。 大陸から離れ、海や空を隔てて、住んでいる場所を見つめ直してみること。周縁から中心を見据え、辺境から都市を眺めると、自分の中に描いた世界が変化する。たとえ実際に空へ飛び出さずとも、ふとしたことによってあらゆる土地や考えから自分を離陸させること。この作品はそのようなきっかけになりうるとぼくは信じている。 タイトルの言葉は、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードのセリフです。

3か月前

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脳はなにげに不公平

全編を通して吹き荒れる「へえー!」の嵐。気づけばドッグイヤーだらけに。 上流階級ほどモラルが低い? お金が命の価値を軽くする? サルも恩返しをする? 実は全員嘘つき? 動物行動学も好きだけど、脳みその話はやはり別格の面白さ。読むとためになりますよレベルではなく、この本、ためにしかならない。

4か月前

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13階段

ジェノサイドでハマった高野和明さん、二冊目。 命を奪った者たちが集まり、悩み、力を合わせてあるべき正しい過去を探し出そうとする話。その成果が必ず未来に繋がると信じながら。 この作者の作品はエンタメ要素をしっかり備えつつも、読者に考えさせる明確なテーマが用意されており、今回はそれが「死刑と応報」であると思った。単純な存続論・廃止論にならず、執行者という第三の視点も交えて繰り広げられる、文字通り命を懸けた行いを通じて、本当に色々な事を考えさせられた。死刑に関しては、その数や、具体的手順など、知らなかった事が沢山あった。命を奪うという行為そのものが、いつまでも誰かの何かを削り続けていく。そして、応報の是非とは。 重苦しいテーマを扱いながら、推理小説としてきっちり成立させているところがこの人の巧さだなぁと感じた。楽しませて、考えさせる。高野さん好きの人も、そうでない人も、おススメです。

4か月前

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死神の浮力

黒い背広に、細身のネクタイ。背は高く、痩せ型。行儀の良い子どものように律儀に背筋をまっすぐに伸ばしながらママチャリに乗って、雨の道をするするとやってきた。降り止まない雨の中、決して迷わないあの死神がやってきた。 参勤交代から始まって、静電気(⁈)アタックに武家諸ハット、そして場違いなミュージック。全くブレないあの死神の名前を、心の中で何度も呟き、或いは叫ぶ。 相当な期間、この仕事を続けているにも関わらずトンチンカンさが有り余ってしまう場面で「千葉さん…(呆)」、肝心なところでも文脈一切無視してミュージックを見つけてしまい「千葉さん!(怒)」、絶体絶命をものともしない死神パワーに狂喜しながらの「千葉さん!(ヒャッハー!)」、そしてまさかのクライマックスで魅せる驚異の姿に思わず「千葉さん…!(感動)」。 非常に重い物語の背景や人物像に沈み込みそうにもなるが、そんな時でもふっと浮力を感じることが出来る、不思議地蔵のような存在にフラフラと導かれながらの520ページ。あっという間だった。

4か月前

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月と六ペンス

初めは好意的に、格式張って窮屈な社会生活をうっちゃって自らの衝動に命をかけたストリックランドを応援する気持ちで読み出して、ストルーヴェとブランチが絡み出した頃にはすっかり大嫌いに。ストリックランドはクソだ!と何度も心の中で叫んだ。それに引き換えストルーヴェの清廉なことよ、と。魂が美しいから、だから絵が凡庸なのだと思った。ストリックランドの凶悪で醜い人間性が逆に壮絶な美を表現するのだと。この性悪画家のモデルになったのはかのゴーギャンで、おかげですっかりゴーギャンも嫌いになってしまった。この辺りで物語は折り返し地点に立つ。いよいよ、かの島に旅立っていくのである。 「彼がこの島にきて多少なりとも優しくなったとは思えないし、利己的でなくなったとも、残忍でなくなったとも思えない。まわりの人間が好意的だったのだ。はじめからここで暮らしていれば、普通の人間として暮らしていたかもしれない。ストリックランドはこの地で、祖国の人間には期待も望みもしなかったものを手に入れた。つまり、理解を。」 常人には理解できない憧れを孤独な魂に秘め、想像力をかき立てる未知の島へと旅立つ姿に、思わずエールを送りたくなる。ロンドンでも、マルセイユでも、そこで当たり前とされたいかにも現代的なものさしで測れば、彼は間違いなく狂人だった。けれど、南海の島に渡ればそんなものさしなんてどこにもない。ただあるようにある、そんなかたちを受け入れてもらえたその島で、男は奇跡の絵を描く。 ずっと、苦しんでいたのかもしれない。狂おしい情熱の奴隷、最後はそんな風に思った。友達になれるとは思わないけど、6ペンスぐらいなら貸してあげてもいい。

5か月前

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