異性間の友情を切なくも強く逞しく描いている作品だと感じた。
個人的に面白いと感じたのは、“女”である主人公・神名ばかりが先に回って様々な考えを張り巡らせて、それが期待であったり戸惑いになっているのに対し、“男”であるハセオはそんな神名の考えをわかっているのかわかっていないのか、自分を貫き通しているところ。
男女の考え方の違いや、考えて悩むのは女ばかりなところが現実的に表現されているように感じた。
それが女の主人公視点で描かれているから、そう見えるだけなのかもしれないが。
私自身異性との友情はあり得ると考えている。
でもそれはお互いの信頼があることと、ある一定の距離を保っているからこそ、成立するものであると思う。
どちらかがそこから逸脱した瞬間から、完全には成り立たなくなる脆いもの。
異性に性愛を抱くもの同士の友情はある意味所詮その程度。
様々な登場人物や描写で見事に異性間の友情を魅せてくれているのがこの本だと思う。