08634c99 3a43 40c1 9ad5 6ba772150f2c

Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます

欧米ミステリを中心に読んでいます。 自分のは書評とかレビューみたいな大それたもんではなくて「これ面白かったから読んでみて!」レベルの感想文ですが…よろしくお願いします。

1029

コメントした本

帰還

ピューリッツァー受賞作ということで手にとってみた。ずっと外国で暮らしていた作家がカダフィ政権の崩壊に伴って祖国リビアに帰国するという話。作者の父親は元軍人でカダフィがクーデターで政権を獲った際に外交官になり~カダフィはライバルになりそうな軍人を外交官にして一種の国外追放にしたらしい~その後、職を辞して帰国、貿易商として成功するとその資金をもって反政府活動を行った結果、亡命せざるをえなくなった。作者が大学生の頃、その父親が亡命先のエジプトで拉致され行方不明となってしまう。父親の行方を追求するキャンペーンを行っていた作家にとってはただの帰国ではいのだ。裕福だけれども常にリビアからの刺客のことを意識しなければならなかった子供時代の話と帰国してから大勢の親類達~その中には父親に連座して長く収監されていた者が何人かいる~との交流が折々にリビアの歴史なども交えて描かれている。人生の大半を国外で暮らし、欧米で作家として成功、欧米人のパートナーまでいる身でも自分たちの一族に過酷な運命を課した祖国への思いはあるものなのか、と思った。父親の行方を追求するキャンペーンで当時のリビア政権とも付き合いのあったロスチャイルドから紹介されたカダフィの穏健派の次男とのかけひきは特に興味深かった。いろいろ考えさせられる作品でした。

約9時間前

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで

興味深い内容ではあるけれどややこしい話は面倒だなと思ってなかなか手が出なかった本。たまたまきっかけがあり同じ作者の代替医療についての作品を読んでみたところ分かりやすい内容だったのでこれも手にとってみました。かなりの昔から文書による意思疎通に於いて第三者に内容を見られないようにする取り組みが行われていたことに驚いた。暗号の作成と解読、そして古代文明の文字をいかに解読したかの歴史が数学が苦手な自分のようなものにも分かりやすく説明されていてやはり上手い書き手だなと改めて感心しました。特に戦争における暗号解読者達の活躍やナヴァホ族の通信兵の話などは興味深かった。そして何よりの驚きはまだインターネットによる商取引が始まったばかりの頃に書かれた作品なのに量子コンピュータにまで言及されていること。この作品中ではいつか製品化されるだろう、とされていた量子コンピュータ(作者のわかりやすい説明をもってしても仕組みが良く分からなかったが…)も既に実用されつつある今、桁違いの計算速度で従来の暗号を即時に解いてしまい無用のものにしてしまうという新しいテクノロジーに対し暗号がどのように対応していくのか非常に興味深い。とても面白い作品でした。

8日前

56758e32 65db 4e8c b56e 9ee9a58a6a2cEebd9f48 6e32 443e a601 5003cb29e171E0e9bc31 8254 435d 820d dd59b2b3ffb60970f3da 8bc1 4a63 b77a adf191cda81aIcon user placeholder7d9f429e 1f0b 4fe6 b81b b70a0cfa60bfF066bc6d 6529 4a17 a125 c0007edde0ce 13
ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

面白い本をいろいろ紹介されている方の熱の入った書評に惹かれたので手にとってみた。すさまじく長くまるで広辞苑のような分厚さと重さで読むのが非常に大変でしたが…。しかしこれは衝撃の内容。筆者はスタンフォード大学の心理学の教授なのだが前半は自身が行って物議を醸した「スタンフォード監獄実験」の克明な記録。それこそ日時で詳細に内容を紹介してある。そして後半は当時大きなニュースとなった米軍がイラクで行ったアグレイブ刑務所での捕虜虐待の分析。作者はこの虐待事件の検証にも参画していた。全体を通しての結論は、問題の所在はシステムにあるのであって生まれつき邪悪な人間が事件を引き起こすのではない、ということ。つまり普通の人と自分では思っている我々の誰もが置かれた立場と状況によっては悪魔になり得る(ルシファー・エフェクト)ということを言っている。そしてその意見にはじゅうぶんな説得力があった。きつい内容だし衝撃的な写真も載っているうえ長大なので誰にでも薦められるとは思わないが非常に重要な作品だと思いました。

14日前

95334630 3abc 43ca 90c3 8007922b1193D8f59da8 715e 4317 90eb 2805767cd0018a3718e0 3761 4b9c b4ed 829fd37e9597
アイル・ビー・ゴーン

テロが一番激しかった頃の北アイルランドを舞台にした警察小説の第三弾。かなり面白いシリーズと思っていたけども立て続けに邦訳が出るということはけっこう売れたんだな。良いことだ。本作だけども前作でやり過ぎた結果、刑事から制服警官に降格されて一番厳しいアイルランドとの国境警備に回された主人公。しかも物語の早い段階で警察を辞めさせられてしまう。そんな主人公の元にイギリスの諜報機関MI5がやってくる。脱獄したIRAの大物テロリストの捜査に加わるのであれば警察に暫定的に復帰させる、というのだ。大物テロリストとは幼馴染であった主人公はその機会を逃さず警察に復帰し幼馴染の行方を追う。その過程で別の密室殺人をどうしても解決する必要に迫られ…という話。荒々しい舞台設定の物語だし主人公も時にやり過ぎるけども諦めない地道な捜査が特徴、みたいなこのシリーズに上手く本格推理の密室殺人の謎解きが盛り込まれていて感心した。これはかなり完成度が高く面白い作品だった。

14日前

エネルギーの人類史 上

ビル・ゲイツが推薦していたので手にとってみました。先史時代から現代に至るまでの人類とエネルギーの関わりを綿密に網羅した作品。人類の文明の進化とはエネルギーをいかに効率的により多く使えるようにしていった過程に他ならない、ということが分かる。現代においては限りのある(しかしどのくらいの限りなのかは誰にもわからないとも指摘している)化石燃料による電気を中心としたエネルギーを主に使っている時代ではあり二酸化炭素排出が問題になっているが、その前の段階、人力と役畜をを中心とし、木材を中心としたバイオマス中心の時代にも森林破壊の問題があった、というように何が正解か、を冷静に分析しようとした作品。つまり原子力の全否定であるとか化石燃料の問題点を指摘する、とかバイオマス礼賛、という立場と目線では全くない。結論めいたこととか未来予測はなく、言わば過去経緯を示して正しい方向を共に考えましょう、みたいなスタンスかと読み取った。高校の物流や代数幾何で赤点を連発した自分のような者には荷が重い箇所がかなりあってちゃんと読めたのか甚だ疑問ではあるが…。

14日前

ポーランドのボクサー

カバーとタイトルに興味を惹かれ手に取ってみたら南米はグアテマラの作家だとか。南米っぽい作品なのかなと思って読み進めてみたらユダヤ人でしかも主要な登場人物は作者自身のような。タイトル作は作家自身の祖父がいかにしてアウシュビッツを生き延びたかという話。調べてみるとこういう作品をオートフィクションというらしい。私小説とでも言うか作者と作者の周辺の人達がほんとに体験したエピソードからフィクションを作ってしまう手法なんだそうだ。周囲の人達にしたらたまったものではないのでは、と思うのだが…。しかし作品そのものはかなり素晴らしい出来。南米というよりユダヤ臭の強いものが殆どなのだが宗教や民族のことを分かっていなくても楽しく読める。あとがきを読んで知ったのだが元々は3つの短編集に収められていた作品を日本向けに一冊にまとめたものらしい。それにしてはお互いのストーリーに破綻がなく上手くまとまっているのは編集の冴えということもあろうが同じエピソードから物語を様々に作っていく人なんだろうな。ジプシーの血を引くセルビア人ピアニストとの邂逅を廻る物語が一番印象に残った。他の作品も読んでみたい。面白かった。

23日前

1f00d153 09b9 4aef ae95 b3ca6aaf28b5C64ee4ab c710 4fea a859 9a826a78947bD487fe1c d403 4567 8828 809aeb6f9869Abb8e1fe aa2b 43fc a57f 7c4ac75ca14189e302dc 61e2 4acf b97e bf2a8c22fa0eMaman putain6 normal
ジャック・オブ・スペード

優れたサスペンスの書き手であり毎年ノーベル賞候補とも呼ばれている作者の比較的長い作品があったので手に取ってみた。主人公は作者と同じくサスペンス作家。それなりに売れっ子で割と上品な作風が特徴なののだが実は家族にも出版社にも内緒で別名でハードで下品なサスペンスも出している、という設定。それがある日、地元の老婦人から盗作で訴えられてしまう。訴訟そのものは根拠もなくまた、資産家の末裔である老婦人がなかば趣味のように訴訟を起こしている人物であることからあっさりと片がつくのだがそれをきっかけに作者の上品で地元の名士という顔の下から狂気が芽生えてきて…という話。なんとなくいけ好かない奴だなという出だしから主人公の嫌な部分がどんどん露わになってきたかと思うと最後は一気に狂気が噴き出して、という流れが怖い。実力者だけに読み応えのある作品でした。

28日前

Icon user placeholderCd4b3225 df40 4825 8219 3bb32ccb277e
昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実

平成元年に社会人になった自分は身近に私鉄しかなかったこともあって国鉄の解体もどこか他人事だったような気がする。いつの間にかJRが当たり前になっていてそれ以前の存在感が希薄というか。国鉄という巨大な組織が何故に巨額な負債を抱えることになってしまったのか、また学生運動があれだけ激しかった時代、当然のことながら労働者の権利の主張がここまで激しいものであったのか、ということを恥ずかしながら初めて知ったような気がする。血の通ったルポルタージュとはこういう作品のことを言うのか、政治の動きはさらっと描かれているのだが労働運動と経営側の動きが丁寧にかつ迫力をもって描かれており大部の作品ではあるが引き込まれてしまい一気に読んでしまった。ストが当たり前のように行われていた時代、その現場はこのようになっていたのかという驚き、そして国鉄という組織を守ろうという人たち、変えようという人たち、そこで働く人々の権利を守ろうとうする人たち、立場は違えど各々の人が持っていた熱量に圧倒されてしまう。これはすごい作品。実に面白かった。

約1か月前

世界のすごいお葬式

最初に申し上げておくとどんな変わったことしてるんだろう、という興味本位でこの本を手に取ると肩透かしを食らわされます。現に私はかなり食らわされました(笑) タイトルどおり世界のいろんなお葬式〜取り上げられている葬儀はアメリカ、コロラドの野外火葬、インドネシアはトラジャ族の死者との関係、メキシコの骸骨のお祭り、アメリカの死体の肥料化の研究、スペインの近代的な葬儀社、日本のハイテク寺院、ボリビアの頭蓋骨信仰〜をアメリカで葬儀社を営む女性が見て回った記ではあるのだけど死者とどう向き合うのか、に力点が置かれていて風習面への言及は少ない印象。出版社も商売なんだからしょうがない部分はあるけどこういう邦題にはかなり問題があるように思う。ヨーロッパの大都市圏では既に墓地が不足していて墓石はレンタル制、ある程度の年数が経ったら遺体は納骨堂に移される、という話が個人的には一番印象に残った。少子化が進んでいく今の世の中、葬儀や墓をどうするか、は真面目に考えなければいけないテーマだと思った。

約2か月前

スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943

前からこの戦いには興味はあったのだが内容が重たいはずなのでなかなか手が出なかったのだが...ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンが愛読書として挙げていたので手にとってみました。独ソ戦の趨勢を決め、第二次大戦全体にも大きな影響を与えたスターリングラード攻防戦。両軍合わせて200万人以上が戦死、60万人いたスターリングラードの人口は攻防戦後1万人を割っていたという凄まじい戦い。しかもこの中にはドイツが進軍してくる途中で略奪を働いたりして犠牲にした民間人の犠牲者は含まれていない。元々なぜこの都市を巡ってそこまでの死闘を繰り広げたのか、が個人的には謎だった~モスクワやレニングラードなら分かるけども地味な街だし~のだがカフカス地方の油田を占領したかったヒトラーがその玄関口でありスターリンの名を冠したこの街の獲得に意欲を燃やしたこととあくまで街の死守にこだわったスターリンの意地の結果だということが分かる。カフカス地方を攻略したければ両軍ともに別のやり方があっただろうしここまでの犠牲を出す必要もなかったはず。それ故に全体主義と独裁制の愚かさがこれでもかと言わんばかりに伝わってくる。作者はイギリス人だからか独ソ双方をそれぞれ冷静かつ厳しい目で見ている。捕虜の過酷な運命などは目を背けたくなるし、守るべき住民がそばにいたほうが兵士も力を発揮する、と民間人の避難を許さなかったスターリンや、軍に玉砕を求めるヒトラーなどの異常な話は読んでいて苦しくなるほどだけどそれでも読み応えがありました。たしかに凄い作品。

約9時間前

一発屋芸人列伝

お笑いに興味を持つ者としてとても気になるテーマの作品なので手にとってみた。一世を風靡し、やがて活動が地味になっていったお笑い芸人たちの今を同じ立場の芸人である髭男爵の山田ルイ53世が取材しまとめたもの。取り上げられている芸人はレイザーラモンHG、コウメ太夫、テツ and トモ、ジョイマン、ムーディ勝山、天津・木村、波田陽区、ハローケイスケ、とにかく明るい安村、キンタロー、髭男爵。テレビでよくある「あの人は今」みたいな感じになっていないのは興味半分や面白半分では無くて自分も同じ境遇ということもあり取材対象に愛情を持っているからだろう。芸人であるからには売れたいわけでそれをどうやって達成したのか、維持できなかったのは何故か、仕事が減った現状にどうやって折り合いをつけているのか…当たり前だけどこれが各自各様でかなり興味深い。失礼ながら作者の鋭い視点と文才にもびっくり。かなり面白かったです。

8日前

028d77ed a285 4e4c bec1 758e36993306F11ae2d9 53da 4ea1 b9f9 9e32ab412d4e62f8b43a 27bf 42f9 8e42 d14b2e3b4575Icon user placeholderF42c9bc6 3205 4a7f a4d0 18cd6f5ef935883f2a9c f4ba 4fdd b1d7 26bc64e04093639debcd 0dab 4134 8500 ba86c4fece06 8
狐花火 羽州ぼろ鳶組

もしかしたら今一番面白い時代小説かもしれないこのシリーズの七作目。不幸な事故から凄腕の放火魔になった天才花火職人。主人公たちの活躍で火刑に処されたはずの放火魔の手口を思わせる放火が相次いで、という話。正直なところストーリーには少しマンネリを感じなくもなかったがそれでも読ませる力はさすが。主人公とその周辺の花形火消たちが一同に会して難しい火事の消火にあたるシーンがすごい迫力でもしかしたらストーリーは二の次でこの凄い消火シーンがとにかく書きたかったのかな、とも思った。面白かった。

14日前

721ff227 6404 486e a136 194741a375b41525b978 75b4 4758 ae92 afa4d5728ad4
パノニカ

本作のタイトルを含め彼女に捧げられた曲がたくさんあることからジャズファンには馴染みの深いニカ夫人について姪にあたる人がまとめた伝記。ロスチャイルド家に産まれ自身が莫大な資産を持っていたうえにフランスの男爵と結婚して広大な屋敷に住み、5人の子供に恵まれていた夫人が突然、家族を捨ててアメリカに単身渡りジャズミュージシャンのパトロンとして生きることになったのか、をまとめた作品。驚いたのは彼女の生涯で、男爵夫人だったもののナチスドイツにフランスを追われて夫が自由フランス軍に入隊した時に子どもたちをアメリカに送って自分も夫の後を追い軍に加わって爆撃機まで飛ばしていたらしい。富豪であってもユダヤ人ということで差別を受けていた一族のため周囲との交流も少なく金はあっても不幸せな人生を送っていた~作者自身も一族の人だから多少割り引く必要はあると思うが~彼女がジャズに自由を見出し好きなように後半生を生きた物語は予想以上に興味深かった。彼女の名前がついた曲は沢山聴いてきたがちょっと聴こえ方が変わるかもしれない。ユダヤ人の側から見た迫害と抵抗の歴史、といった側面もあり面白かった。

23日前

00a6cf1a c5e2 4331 ad04 f26bd088f92079887820 f565 4157 afbd 20a48b6202a7
人喰い

カニバリズムの話とかほんとに嫌なんだけどなぜか手が出てしまう…ということで手に取った本作。アメリカの大富豪ロックフェラーの御曹司がパプアニューギニアで行方不明になった、という有名な話に魅せられた筆者が一体何があったのか、を追求した作品。タイトルもそうだけど冒頭の数章でエンジン故障した舟で漂流していることに耐えられなくなった御曹司が助けを求めて陸地まで泳ぎ着いたもののそこで原住民たちに殺され食べられてしまった、という作者の説が示される。本作では当時オランダの植民地であったことから宣教師や植民地の役人たちの残した文書の当たるとともに現地に赴き現地人たちと生活を共にしながら、何故、彼らが白人を殺して食べるに至ったか、ということを追求していく内容。少々記述がくどいところがあるものの説得力はじゅうぶん。植民地行政が上手くいってると思わせたいオランダの意向もあって公式には溺死とされている事件だけどもこれ以外には考えられないという説が提示されている。迫力もあってかなり読み応えのある作品。面白かった。

28日前

書物の破壊の世界史ーーシュメールの粘土板からデジタル時代まで

なんとも魅力的なタイトルに心惹かれ手にとってみた。文字を発明し保存するようになってから今日まで我々人類がいかに書物を破壊してきたか、ということで凄まじい量の破壊の事例が網羅されている。大きく分けて古代、中世から十九世紀、二十世紀から現代に分けられて入るのだけどもとにかく事例の量に圧倒されてしまう。大雑把に言うと、征服戦争で勝者による略奪の一貫で破壊される、自然災害などある種の不可抗力によって破壊される、思想を排除するために破壊される、の三通りくらいなのかな、という印象。古代エジプトはアレクサンドリアに大規模な図書館があったというのは知っていたのだけども古代から現代に至るまであらゆる文明がこんなに図書館を建設していたということに驚いた。ローマでは図書館利用規定みたいな石碑も発見されているらしい。作者がベネズエラの人で図書館学の権威~イラク戦争後の被害状況評価にも派遣されている~ということもあるのか中東、欧州、南米の事例が多く、アジアはほんの少しだけ触れられているだけというところは少し気になるけども記述が簡潔でとても読みやすく興味深い内容。破壊については戦争よりもむしろ思想、特に宗教による破壊~キリスト教原理主義が圧倒的~が最も徹底的でタチが悪いなという印象。本好き、歴史好きの人には特におすすめしたい内容でした。非常に面白かった。

約1か月前

00a6cf1a c5e2 4331 ad04 f26bd088f9205c50f524 f6b7 412a b19b e458d59db9fdA99bbda7 f60b 47fc 94d9 253de8151b0d387f6c2a f53b 47f1 848d faf9e4c5cc4fEaf4a5f0 bc3b 4b28 b90f a039ca5c7ba8630f18eb 9648 4c9e b07b 1f79de355c4995ecefc8 1fb3 4784 9b5e 215a9a3ed5dd 10
コンゴ・ジャーニー〈上〉

あのカズオ・イシグロが大絶賛している、ということをどこかで見かけて手にとってみた作品。タイトルそのままイギリスの紀行作家というか冒険作家がアフリカはコンゴの奥地にある湖まで旅した旅行記。さすがイギリス人というか凄まじくひねくれた内容。そもそも作者の目的がコンゴ奥地にある湖で目撃情報があるという恐竜モケレ・ムベンベを見つけたい(そして儲けたいと)いうことだし、旅行記そのものもリアルというかこれを読んで自分もこういう旅をしてみたいという人は恐らく精神的に病んでいるであろうと思われる内容。賄賂をすぐに要求してくる政府の役人、害虫だらけで危険だらけの旅に呪術を真面目に信じている人々に振り回される日々。冒険に同行してくれることになった政府の役人兼学者とその親族も一癖も二癖もある連中で旅の途中で会う人々もどこかおかしな人がほとんど。そもそも原題は「No Mercy」だし。しかしそれだけならあの大作家が絶賛するわけもなく…めちゃくちゃな旅の記録ではあるのだけど全く美化されていない内容の中に深く考えさせられる記述がちらほらと出現し飽きさせない。旅に同行したアフリカの学者が思いの丈を吐き出すシーンなどは壮絶ですらある。そして無事、旅を終えて出国しましためでたしめでたし、とは全く異なるラストには驚かされた。長さもさることながら内容もヘヴィなので力のある時に読まれることを勧めます。すごい作品。面白かった。

約1か月前

引導

ずっと楽しく読ませてもらっている時代物を息抜きと言っては失礼ながら久しぶりに。相変わらず許せない悪があり最後に正義がそれをぶった切ってすっきり終わる...はずだが全体を貫く大きな流れが終章に入って大きく動いたところで終わってしまい次作をいち早く読まねばならないことに...面白かったけれども単体でなるべく完結するようにしてもらいたい…。

約1か月前

鷹の王

邦訳が出るたびに読んでいるこのシリーズももう11作目だとか。アメリカの田舎ワイオミング州の更に田舎の猟区管理官を主人公としたミステリ。我々には馴染みのない職業だがいちおう法執行官の一人で密漁や違法な狩猟を取り締まるのが仕事。自然豊かなのどかな地でそういう仕事の人物を主人公にしてよくシリーズが保つな、と思うのだが、自然保護や代替エネルギー問題、反政府主義者の存在などむしろ都会より今日的なテーマを取り上げやすいようにも見える。このシリーズのもう一つの魅力である主人公はちょっと融通が利かないほどの正義漢でかって州知事にも違反切符をきった伝説を持つ男。しかし家族の問題に悩み射撃はまるで下手くそ、人並み外れたサバイバル能力もなく組織の中では上司に恵まれずむしろ冷遇されている。それでも大事件を解決していく姿がよいのだがちょっとずるいのは本当に危ない時には超人的な相棒が現れて主に暴力面の手助けをしてくれるところで...。本作はシリーズのスピンオフという位置づけでこの相棒が主人公。超人的な能力を持ちながら山奥で隠遁生活を送っており謎の組織に命を狙われているらしいこの男に遂に謎の組織が本格的に攻撃をかけてきて、という話。男を取り巻く謎が一気に解消されるカタルシスと見事なアクションシーンが素晴らしく面白い作品でした。

約2か月前